【インタビュー】THE LITTLE BLACK、ライヴ活動で研ぎ澄まされてきたサウンドが凝縮されたミニアルバム『THE LITTLE BLACK』

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元WHITE ASHののび太(Vo,Gt)と彩(Ba)がオーディションで加入したドラマー・マットと共に結成した新バンドTHE LITTLE BLACKが、デビュー・ミニアルバム『THE LITTLE BLACK』を10月10日にリリースする。待ちに待った、というファンも多いだろう。結成以来1年間、ライヴ活動で研ぎ澄まされてきたサウンドが凝縮された5曲は間違いなくその期待に応えてくれるはず。今回、結成時のエピソードから、今作の楽曲についてまで訊かせてもらった。後半でのび太が語ってくれた、楽曲作りの背景にある「ロックバンドと時代の関係」はとても興味深いものとなった。是非多くに人に読んでもらいたい。

■WHITE ASHとは別物っていうことをわかりやすくするために
■編成が違う3ピースにしようと思ったんです


――最初に訊いておきたいんですけど、THE LITTLE BLACKの「THE」は読まなくて良い んですか?

のび太(Vo,Gt):はい、「THE」は読まないで「リトル・ブラック」で大丈夫です。アルバム・タイトルも同様に読んでください。

――わかりました。のび太さんと彩さんがWHITE ASHを解散後に始めたのがこのバンドなわけですが、最初から3ピース・バンドにする前提だったんですか。

のび太:WHITE ASHを2017年3月に解散して、彩さんと一緒に新しくまたバンドをやろう かっていう話になったんですけど、前のバンドとは違う形でやりたかったんです。「別 物」っていうことをわかりやすくするために、編成が違うというのがわかりやすいなと。 それで3ピースにしようと思って、2017年4月に「一緒にバンドやりたい人募集!」っていうツイートをしたら、100人くらいの応募があったんです。そこから3ヶ月かけて3次4次審 査くらいまでやって、最終的に選ばれたのがマットです。

――マットさんはアークティック・モンキーズのドラマーのマット・ヘルダースに似ているということからマットと名付けられたそうですが。

マット(Dr):ははははは、そうです。

のび太:そうなんですよ。オーディションのときに髪を切ったばかりで、それがアークティック・モンキーズのマットの髪形に似ていたんです。でもその時点でマットはアークティック・モンキーズのマットをそんなに知らなくて。僕ら側で「あっ!マットっぽい」っ て思ったんですけど。でも、今は全然髪型が変わっちゃって。髪型きっかけでマットになったものの、今はもうその制約を無視して自由にやっていますね。

マット:制約を突き破ってやってます(笑)。


――そもそも3ピース・バンドでやること自体、彩さんは異存なかったんでしょうか。

彩(Ba):勝手に、また四人バンドを組むものだと思っていて、「ギタリストをもう一人入れないとね」って話したら、「あんまりイメージないんだよね」って言われたので。ということは3ピースなんだなと。ちょっと意外でした。あんまり3ピースの経験もなかったので。

のび太:だから、「3ピース・バンドをやろう」という形から入った感じですね。一応、全員ドラマーさんを見て、一緒にやるイメージを大事にしたいなと思っていました。

――マットさんのどんなところが一緒にやる決め手になったんですか。

のび太:オーディションのときからそうだったんですけど、一度聴いたら「なんじゃこりゃ」っていうクセがスゴいドラマーで。得意なジャンルはヒップホップやR&Bといったブラック・ミュージックなんですけど、オーディションのときもそういう曲で演奏を披露して。そのときにすごく個性的だなって思ったのがまずありました。どういうドラマーがいいか考えたときに、純粋にロック、ロックンロールが好きで得意なドラマーを入れるというのと、もしくは全然ロックンロールじゃないドラマーを入れてロックンロールをやるっていう2択を考えていて。ロックが好きな人がロックを叩くのは想像がつくけど、ロックがルーツじゃない人が叩くロックンロールって、たぶん普通にロックをやったとしても、ちょっと違和感があるというか、面白いロックンロールになるんじゃないかと思って。マットは一緒にやって色んなことを試してみたいなって思わせるドラマーだったので、これはすごく面白くなるなと。それでマットに決めました。

――マットさんご自身は、どんな気持ちで応募したんですか。

マット:もう、めっちゃ熱い気持ちでした。最初にメールを送った時点で「僕は今震えています」みたいな文章を送って(笑)。もともと高校生の頃にライブを観たこともあった ので、「この人たちとライブをやったら面白そうだな」って思ったんです。ヒップホップ やR&Bはずっと好きなんですけど、ドラムを始めた時点ではロックを聴きまくっていて、その中でWHITE ASHのライブを観たりもしていたので、急に真新しいことをやるというのではなくて、自分が一度通ってきた道だから、そこで今自分ができることを一緒にやった ら面白いことになるだろうなって思っていました。


▲のび太(Vo,Gt)

――マットさんとやることになったときには、今回の曲は既にあったんですか。

のび太:今作の中では2曲目の「波紋」と4曲目の「夕焼けはなぜ」はあらかじめ作っておいた曲で、残りの3曲はマットが入ってからまっさらな状態で作った曲です。最終オーディションで「このバンドでやる曲をやります」って言って、今作には収録されていない曲をやったんですけど、そのときにマットのフィルにビックリしたんですよ。リズムをちゃんと取ると合ってるんですけど、一聴しただけだと、リズムが合ってるのか合っていないのか、自分がリズムをキープしていないと、どこで入ったらいいかわからなくて(笑)。と にかくトリッキーなんです。最初にやってみたときに、「あれ?思ったよりやりづらいかも?」って。

彩・マット:ははははは(笑)。

のび太:でも、合わせているうちにクセになってくるというか。リズムはちゃんと合ってるから、このフィルに自分がちゃんと乗れれば合わせたときに気持ち良いから、これは面 白いなって。

――「受け入れろ!」の途中でドラムソロがありますけど、どういうルーツの人なのかなって思いました。

マット:「受け入れろ!」は、最近の打ち込みのドラムみたいなフレーズがカッコイイなと思っていていつも練習しているので、それを使った感じです。古いものは古いもので良いとは思うんですけど、もっと新しめの音楽が僕の中で根付いているっていうのが出ていると思います。

のび太:「受け入れろ!」に関しては、2番のサビの後のドラムが見せ場で、「こういうド ラマーなんですよ」っていう、マットを紹介するのに一番適した曲だなっていうのがありますね。この曲自体は、Beckの新譜『Colors』に入っている「I'm So Free」を聴いて、こういうのをやりたいなと思って。それプラス、NirvanaやBlurとか自分が好きな洋楽のエッセンスを入れて、なおかつ最近のヒップホップのトラップっていうリズムを入れたりしたら 面白そうだし、マットが生きる曲にもなるなって。僕は結構ミーハーなので、古いものも 新しいものもごちゃ混ぜにして、カッコイイと思ったものをとにかく自分の中でミックス させてやっちゃおうみたいな感じがあるので。「受け入れろ!」は好きなものがギュッと詰まった曲ですね。


▲彩(Ba)

――それは、マットさんとやったからできたということですね。

のび太:それは、どの曲もそうですね。4曲目の「夕焼けはなぜ」はもともとあった曲だっ て言いましたけど、初期のバージョンは、少しノッペリした感じというか、三人で初めて 合わせてみたときに「これはギターがもう一人必要かもしれない」っていう感じがして。 最初に曲を作っていた頃って、自分の中でまだ「3ピース脳」が構築できていなくて。どっちかというと、4ピースでハマるような曲になっちゃっていたんです。マットが入った後にアレンジをし直して、三人でも寂しく聴こえない、三人で1曲として成立させるようにしたのが今回収録したバージョンの「夕焼けはなぜ」です。マットだからこそ浮かんでくるアイデアだったり、「マットにこのリズム、このフレーズを叩いてもらったらよりカッコよくなりそうだな」っていうインスピレーションを与えてくれますね。

彩:私はもう、「好きにやりなさい」っていうお母さんみたいな感じで(笑)。支える方 に向かうっていう、温かい気持ちですね。

――彩さんは「波紋」でギターのようなベース・ソロを弾いてますね。

彩:今までの活動の中でベース・ソロって初めてなんですけど、私もおいしいところを与えられてます。


▲マット(Dr)

――それは3ピース・バンドならではですよね。

のび太:ギターが2本あると、片方はバッキングで片方はリフやソロを弾くっていうことになると思うんですけど、3ピースの場合はギターが1本しかないので、コードを弾いたらそれ以上はできない。でも僕の中でカッコイイフレーズがあったときに、それをちゃんと前に出したいっていうのがあって。そう考えたら彩さんがそれを担うしかないなと。それで 彩さんにこういうフレーズを弾いてもらおうと思ったんです。だから、すごく役割が増えていますね。

彩:三人しかいないので、持てる武器を全部使うみたいな。4ピースのときよりも、コーラスをみんなでやるようになったりとか、そういう工夫がありますね。

――全員が目一杯力を出そうと思って演奏すると、ゴチャゴチャに聴こえてしまうことも あると思うんですけど、スマホの小さなスピーカーから流していても、しっかり三人の音 がハッキリ聴こえるんですよね。音作りに関してはどんなことを考えましたか。

のび太:音作りに関していうと、メジャーのときからずっと一緒にやってくれているエンジニアさんで、僕たちのクセや一番生きる音作りをわかってくれているんです。あとは、三人しかいない分、それぞれが他の音を補うというか、例えばギターが足りない分、ちゃんとベースが補う、それをドラムが支えるっていうバランスがすごく上手く行ってる気はし ますね。

――WHITE ASHのときから、ライヴでもすごく出音が良いなって思ってましたけど、3ピースになってめちゃめちゃ練習してます?

のび太:練習は嫌いなんですよ(笑)。曲作りの段階からそうなんですけど、いかに難し いことをせずに楽をしてカッコイイ曲を作るかみたいな感じで。難しいことをやっていないから、ちゃんと弾けるんです(笑)。

――自分の範疇を越えたプレイに手を出さない?

のび太:そうなんです。ただ、THE LITTLE BLACKに関して言うと、そのセオリーから外れていて。カッコイイフレーズが浮かんだときに、弾けないことが多々あるんですよ。でもそれをちゃんと弾けるようになったときの達成感を味わえるようになったので。だから 毎回曲を作るたびに、誰かしらがちょっとしたハードルを越えないとできないっていう感 じがあります。

彩:できたなって思ったら、また難しい曲が出てきたりとか、コーラスもしなくちゃいけなかったりとか。

――マットさんは、バンドに加わってチャレンジしなければいけなかったような部分もありますか。

マット:例えばセッションすると、さっきのび太さんが言ったようにトリッキーなプレイをしたりしても、みんなが確実についてこれるっていうのがあって。最初のセッションの ときはまずそれを説明するところからスタートして。わかりやすいところから出さないと、理解してもらえなくて結局ボツになってしまうだろうなと思って。だから、難しいことをやるにしても、拍をしっかり出せるようにと思って、そういう練習はすごくやるようになりました。

のび太:マットは、リズムに対してすごく厳しいんですよ。三人で音合わせして録音して みんなで聴いたときに、「のび太さん、ちょっと突っ込んでますね」とか(笑)。今回、本来は6曲入れるつもりだったんですけど、そのうちの1曲が三人がバシっと合ってないと気持ちが悪い曲だったんです。レコーディングのときは、そのときの自分の最大限でやったんですけどね。今作は今年の頭にレコーディングしたんですけど、そのときにはビシッ としていたつもりが、3~4ヶ月経ったときに聴いてみたら細かく聴ける耳が育ってきて、実際はちょっとズレているところがあって気になり出しちゃって。「気持ち悪いから、これはいったん見送ろう」って、1曲外したんです。それくらい、マットによってリズム感を ビシバシ鍛えられたんです。

彩:それはあったよね。

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