【インタビュー】WOMCADOLE、激しさと抒情性を併せ持った独自のロック感に磨きをかけた2ndシングル「ライター」

ポスト

WOMCADOLEの2ndシングル「ライター」が11月28日にリリースされた。彼らならではの激しさと抒情性を併せ持った独自のロック感を継承しつつ、楽曲やアレンジ、プレイ、サウンドといったあらゆる要素にさらなる磨きが掛かった同作は注目の一作といえる。「WOMCADOLEのことを、もっと知りたい!」というリスナーの声の高まりを受けて、BARKSは彼らをキャッチ。WOMCADOLEの素顔に迫るべくメンバー全員に集まってもらって、ロング・インタビューを行った。

■「ライター」の歌詞は一瞬で書けた
■この曲は自分を救ってくれた曲になった


――WOMCADOLE結成について教えてください。

樋口侑希(以下、樋口):結成したのは2011年で、もう7年目に突入するところです。元々俺とギターのノリ(古澤)は幼なじみで、高校生のときにオリジナルをやるバンドを一緒に始めたんですよ。二人は好きな音楽が似ていたけど、バンドを組んだときに、こういう音楽をやろうという話はしなくて、自分の中から自然と出てきていいなと思う曲をやるという感じでした。活動を重ねていく中で引き出しが増えていったし、やりたいことも増えていって、曲の幅はかなり広がりましたね。いろんな曲がやれるWOMCADOLEの柔軟性や対応力は、自分でもすごいなと思います。

――自由なスタンスで音楽を創られているんですね。では、それぞれの音楽的なバックボーンは?

古澤徳之(以下、古澤):僕は中学生の頃にRADWIMPSさんやBUMP OF CHICKENさんに出会って音楽に目覚めました。ギターを始めたのは姉の影響です。姉が、親父が昔弾いていたギターを家の小屋で拾って弾くようになったんですよ。姉がギターを弾きながら歌っているのを聴いているうちに自分もやりたくなって。で、樋口は僕より一つ年下なんですけど、僕より先に音楽に目覚めていてドラムをやっていたんです。それで、一緒にコピーバンドを始めて2年ほどやっていたけど、僕は高校に入って別のバンドを組むんですね。その頃樋口は作曲を始めて歌うようになったと言っていて。樋口の曲と声を聴いてシビレて、一緒にバンドをやることになりました。それがWOMCADOLEの始まりです。その頃の僕は歌モノが好きだったけど、それ以降聴く音楽は変わっていきましたね。toeさんを始めとしたインストゥルメンタルを聴くとグッとくるし、最近はポストロックが好きでよく聴いています。

安田吉希(以下、安田):僕は三人兄弟の末っ子で、兄が高校生のときにバンドを組んでいて、その練習場所が家の小屋だったんです。僕らの地元は田舎なので小屋が多いんですよ(笑)。兄がバンドをやっているのを見て、中1の頃に自分も楽器をやりたくなったんです。小屋に全部の楽器が置いてあったからひと通りの楽器はできるようになっていました。高校に入った頃に友達とバンドを組もうという話になって、本当はギターがやりたかったけど、ドラムがいなかったんですよ。すぐにバンドを始めたかったから自分がドラムをやることにして今に至っています。好きなアーティストはSlipknotやマリリン・マンソン、リンキンパーク辺りですね。WOMCADOLEの音楽性とは違っているので、ビックリされることが多いんですけど(笑)。どちらかというと、邦楽よりは海外のニュー・メタルやデスコアを聴いていました。WOMCADOLEでもそういう要素を出したいなと思いつつ出し過ぎると崩壊してしまうので(笑)、適度に入れていきたいなと思っています。邦楽だと9mm Parabellum Bulletさんみたいに暗めで、重めのバンドが特に好きだけど、RADWIMPSさんやBUMP OF CHICKEN、それにヴィジュアル系も聴いていました。


黒野滉大(以下、黒野):僕は中学のときにX JAPANさんを聴いてロックとヴィジュアル系を知って、そこからthe GazettEさんとDIR EN GREYさんが大好きになりました。当時の僕はバスケ部だったんですけど、部内でその2バンドがメッチャ流行っていて、バンドを組んで学祭に出ようということになって。そのときに、それぞれ楽器は何にするかという話になって、最終的にベースが余ってしまって、僕がベースをやることになったんです。それで、the GazettEさんのコピーバンドを組んで、学祭に出ました。当時はREITAさんに憧れていて、それこそシグネチャー・モデルも買うくらい超好きでした。その後高校で軽音部に入って、ロックというのはヴィジュアル系以外もあるんだということを知って(笑)、いろんなバンドを聴くようになりました。

樋口:ノリから話が出たように、俺は元々はドラムをやっていました。ドラムを始めるきっかけになったのは、小学4年生のときに、なかなかのイケメンが転校してきたんですよ。そいつと一緒に遊んでいれば、絶対にモテるみたいな雰囲気があった(笑)。それで仲良くなって、彼の家でゲームをするようになるんですけど、何時間もゲームをすると疲れる。疲れて、休憩しようぜとなったときに、彼の家の2階に初めて上がったら本格的なスタジオがあったんですよ。彼の家は、ゴリゴリのハードロック一家だったという(笑)。スタジオにはドラムも置いてあって、叩いてみてと言われて、なにもわからなかったけど鳴らしたんですね。そうしたら、もう稲妻が走ってしまって、クソ感動して、ゲームは売りました。

一同:それ、あまり関係なくねぇ?(笑)

樋口:いや、ある。ドラムが買いたくなって、金が必要やということでゲームは売ったんです(笑)。そうやってドラムを始めて、転校生のお父さんがベースをやっていたのでリズムのことをメッチャ教えてもらって、レッド・ツェッペリンとキングスXの練習をずっとしていました。でも、ある日その転校生と大喧嘩をしてしまって、それから俺は不登校になるんです。その頃にRADWIMPSさんを聴くようになって、中学に入ってからノリとコピーバンドを始めるんです。そのバンドはすごく楽しかったけど、ノリが卒業したら終わってしまって。で、その頃の俺はメチャクチャ好きな子がいたんですよ。これは、カッコいいところを見せて、バチバチにイカした感じでコクろうと思って(笑)。それで、歌の練習も始めて、中3の夏にコピーバンドで学祭に出たんです。けどね、ヘタレだったんで、バンドはやったけど告白ができなかったんです。

――ええっ!? ダメじゃないですか(笑)。

樋口:でも、それが良かったんです。自分に自信がないから人の曲でしか伝えられないのかなと思って、自分の歌を作ってしっかり伝えようと思って、曲を作るようになったから。そうやって初めて作った曲をノリに披露して、それがWOMCADOLEに繋がりました。


▲「ライター」【初回限定盤】


▲「ライター」【通常盤】

――では、最新シングル「ライター」について話しましょう。表題曲の「ライター」は、疾走感に溢れたサウンドと力強いボーカルを活かしたロック・チューンです。

樋口:僕らは今年の3月に1stフル・アルバム『今宵零時、その方角へ』をリリースしして、その後ツアーをまわったんですね。そのツアーでは満足しない部分も多々あって、ツアーを振り返ったときに作ったのが「ライター」です。この曲の歌詞は一瞬で書けました。“おおっ! こんなにスラスラ言葉が出てくることがあるんや”みたいな(笑)。僕が曲を作るときは、自分のために作ることもあるんですよ。たとえば、日々生活の中で音楽を聴いていて、どのアーティストを聴いても今の自分の気持ちじゃないなと思う瞬間があって、そういうときに生まれる曲もある。「ライター」はまさにそうで、それこそ自分を救ってくれた曲になりました。

――自身がツアーで感じたことを綴った歌詞ですが、“自分らしく生きるために戦え”というメッセージ・ソングとも受け取れますね。

樋口:そう。「ライター」の歌詞に共感してくれる人は、すごく多いみたいです。この曲はまだリリースしていないけどライブでは結構やっていて、すでに落ちサビを観客が一緒に歌ってくれるんですよ。そういう情景を見るたびに、“みんな、こういうものを求めてるんやな”と感じています。

古澤:僕らが曲を作るときは樋口が素材を持ってきて、それを僕が噛み砕いてキャッチボールを二人で繰り返して固まっていくことが多いんですけど、「ライター」は樋口からこのリフを弾いてほしいという強い要望がきたんです。それが僕的にもハマったので清書するくらいにとどめて、そのうえでサビ裏とかAメロ、Bメロに自分なりのリフを散りばめました。


▲樋口侑希

――この曲の古澤さんは、ずっと単音弾きですね。

古澤:はい(笑)。僕はリードギターなので、2番目のボーカルでありたいという気持ちが常に自分の中にある。目立ちたいということではなくて、樋口が創ってくる世界観を一番良い形で伝えたいんです。僕は誰かに楽曲を無理やり押しつけるんじゃなくて、聴いてくれた人が、もう1回聴こうという気持ちに自然となってほしいんですよ。そういうものにするのが2番目のボーカルの使命だと思っていて、「ライター」もそういう意識でギターを考えました。レコーディングするときも使うギターによっては良くない形でギターが前に出てしまうので、信頼しているテクニシャンと相談して一番合うギターを使ったんです。そうやって、今まで以上にちゃんと録れたことを感じています。

安田:僕もWOMCADOLEは樋口君が歌うメロディーと歌詞が一番目立っていて、その後ろでメンバーそれぞれが個性を出しつつ楽曲に沿ったものを構築するのが理想形だと思っているんです。今回もそういう“WOMCADOLEのドラム感”でいくことにしつつ、前と同じことをしても面白くないなというのがあって。それで、ちょっと冒険することを考えて、普通の8ビートをちょっと崩したり、落ちサビの前に6連符を入れてウネリを出したりしました。

――サビだけビートをハネさせているアプローチや、生々しいビート感などが光っていますね。

安田:ありがとうございます。サビは、僕も気に入っています。それに、今回自分の中の裏テーマとして、なるべく修正しないというのがあったんです。修正してしまうと、自分が叩いている意味がないから。だから、1曲を通して叩いて、ちゃんといいテイクが録れるように、かなり練習してから録りに臨みました。

黒野:基本的にいつもそうですけど、ベースのフレーズは一番最後にできるんです。みんながやっていることを聴いて、自分はどうするかを決めるから。「ライター」はドラムがいつもと違うことをやっていたり、ギターも単音が多かったりするので、ベースはどっしり構えるようなフレーズをイメージしました。僕はヴィジュアル系が好きだったので、いつもはきれいにハイポジのフレーズを入れたりするんですけど、今回はどっしりいきましたね。


▲古澤徳之

――ボトムを支えるだけではなくて、サビではメロディーの合間にウネるフレーズを入れていますし、Aメロの埋めないベースもセンスがいいですね。

黒野:Aメロはパーカッシブな感じが合うと思って、ああいうフレーズにしたんです。それに、そこはスラップのサム(親指で弦を叩く奏法)で弾いているんですよ。最初は普通に指で弾いていたんですけど、そうするとローのモアッとした感じが出て、キレが良くなくなってしまって。それで、サムで弾いたら解消できたんです。頭を柔らかくして、イメージしたところに持っていけて満足しています。

樋口:歌に関しては、自分達の中で絶対的に大切にしているのはニュアンスなんですよね。だから、歌録りのときも誰かが「これで、いいんじゃない?」と言っても自分が満足いかなかったらOKは出さない。「ライター」も満足いくまで馬車馬のように歌いました(笑)。最高のテイクが録れるまで、絶対に妥協したくなかったんです。「ライター」は自分を勇気づけるための曲でもあるから、明るい歌い方はしたくないというのがあって。それで、“アー”という声の抜け方ではなくて、“ア゛ー”みたいな歌い方をしました。今まではそういうことがあまり自由にできていなかったけど、今回はできた。だから、歌の表現力も上がってきているんじゃないかなと思います。元々俺は人間臭いボーカルが好きなんですよ。声を聴いただけで、この人はこういう人なんやということがわかるシンガーっていますよね。そういう人が好きだし、僕は着飾る気もないので、自分というものがそのまま歌に出ていると思います。

――まさにそういう歌になっていて、70年代のフォークシンガーっぽいなと思いました。

樋口:それ、よく言われるんですよ。なんか、昔の人っぽいねと。さっき話したように、僕はレッド・ツェッペリンやキングスXといった洋楽のハードロックから入っていますから、自然と耳に入っていたんですよね。それで、当時の時代感とかが、自分のルーツになっているんじゃないかなという気がします。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報