【ライブレポート】大槻ケンヂミステリ文庫、大人ムードたっぷりのツアーファイナル

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2月6日、大槻ケンヂミステリ文庫(略称「オケミス」)が、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて<オーケンナイトニッポン4 大槻ケンヂ生誕祭 オケミスSP アウトサイダー・アートツアーファイナル>と銘打ったライブを開催、観客を不思議な夢見心地へといざなった。

◆ライブ画像(全10枚)

1月中旬より大阪、岡山、名古屋と巡ってきたこの旅の千秋楽は、大槻ケンヂ(Vo)の53歳の誕生日。昨年末にリリースされた、オワリカラと髙橋竜のダブル・プロデュースによるライブ・レコーディング・アルバム『アウトサイダー・アート』の世界観は、各地でライブを重ねるごとに強力なものとなり、ここ東京でひとつの完成形を見た。

この夜、大槻のパフォーマンスを支えたのは、友森昭一(G)、髙橋竜(B)、長谷川浩二(Dr)、おおくぼ けい(Key)という優れた技量を持つミュージシャンたち。彼らが奏でるスリリングなグルーヴの上で大槻が自由に楽しむさまが非常に心地よい。


洗練された疾走感の「タカトビ」で宴の幕を開けると、「スポンティニアス・コンバッション」「退行催眠の夢」といったポエトリー・リーディングを絶妙に交えた楽曲が場内にミステリアスな空気をもたらしてゆく。相変わらずの“おもしろMC”で場を和ませつつも、ここぞとばかりにダンディズムを炸裂させる大槻の姿がまぶしい。

大槻ケンヂミステリ文庫のオリジナル曲が続くなか、電車の「お別れの背景」と筋肉少女帯の「高円寺心中」といったセルフカバー曲が披露されると、フロアの空気はより濃密になる。さらには、かまやつひろしの「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」のカバーを歌い上げたこのブロックの情緒は、今宵のハイライトのひとつだろう。大槻の長年のステージ経験に基づいたショウの構成力に感じ入るひと時だった。


その後、アルバム『アウトサイダー・アート』のリード曲「ぽえむ」の穏やかな風合いが場内を包むと、「美老人」「探偵はBARにいてGHOSTはブレインにいる」「奇妙に過ぎるケース」といった軽妙洒脱な楽曲でフロアはますます華やかな気分に。どのナンバーにも、特有の哀愁とポップなきらめきとが同居しているところが素晴らしい。大槻のペンによる一筋縄ではいかない歌詩を味わいながら、横ノリを楽しむという稀有な空間がここに広がっている。本編最後は、椅子席の観客を総立ちにさせての「オーケンファイト」。己を鼓舞するかのように歌い踊る大槻は、心の底から楽しんでいる。この楽曲が着地点に至ると、ステージに向けて、あたたかい歓声と拍手が注がれていた。

まだまだオーケンの誕生日を祝福したいオーディエンスに応えて、アンコールが披露される。ラストは盟友・NARASAKI(COALTER OF THE DEEPERS、特撮)をゲストに迎えて、特撮の「荒井田メルの上昇」「企画物AVの女」で雰囲気たっぷりに終宴。大槻が着席スタイルのオーディエンスに向けて、にこやかに語っていたように、まさに「座っていても心は踊り続ける」ような音楽だった。この感覚は、素敵な本を一冊読み終えた時の満足感に似ている。“大槻ケンヂミステリ文庫”という表現形態だからこその新鮮な面白さを感じたライブだった。


いついかなる時もオーケンはオーケン。彼は誰にも真似しようのない個性で、おおいにオーディエンスを沸かせてくれる存在だ。手練れのミュージシャンの演奏にのせて、人間の真理を突いた歌詞を歌うそのスタイルは病みつきになる。ファンキーでジャジーでブルージーな世界観を心ゆくまで味わうことのできる“オケミス”から今後も目が離せない。更に大槻ケンヂソロ、UNDERGROUND SEARCHLIE のアルバム5タイトルが3月27日に最新デジタルリマスタリングSHM-CD仕様でユニバーサルミュージックより一挙再発されるが、これを記念して4月12日に新宿LOFTでのライブも決定したのでこちらも楽しみだ。


TEXT BY 志村つくね
PHOTO BY 斉藤明

セットリスト

1.タカトビ
2.スポンティニアス・コンバッション
3.退行催眠の夢
4.とん平のヘイ・ユウ・ブルース
5.お別れの背景
6.高円寺心中
7.ゴロワーズを吸ったことがあるかい
8.ぽえむ
9.去り時
10.美老人
11.探偵はBARにいてGHOSTはブレインにいる
12.奇妙に過ぎるケース
13.オーケンファイト
EN
1.荒井田メルの上昇
2.企画物AVの女


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