【インタビュー】AK-69、使命を胸に

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■俺たちしか持ってないスピリッツを
■なんでこうなっちゃったんですかね(笑)

──アンセムといえば、やはり「Stronger」。AKさんの父親に贈るこの歌についてはさんざん語られてきましたけど、あらためてすごい曲。

AK-69:この歌は特別です。もちろんライブでも歌ってますけど、今でもまともにこの音源に向き合えない、と言うと変ですけど、PVも未だにちゃんと見れないし、特別な曲だなと思いますね。まともに向き合うと泣けてくるんです。歌う時は、うまく歌わなきゃいけないとか、テクニック的なことを気にしたりするんで、気は紛れますけど、ひとたび感情が入りすぎちゃうと、歌えなくなる。それだけ思いのある曲で、そういう経験をしたからこそ、俺のアンセムという刀に磨きがかかったと思いますね。

▲AK-69/「Stronger」

──そしてアルバムのラストを締める壮大なバラード、Toshl(X JAPAN)さんが参加した「BRAVE」。これまた、すごい曲としか言いようがない。

AK-69:言い方は悪いですけど、そもそもToshlさんをここに連れて来れたのも奇跡ですしね。あの人の声は本当に特殊というか、この曲をロック・リミックスにしようが、何リミックスにしようが、それに応じて威力を発揮する声だと思う。オリジナルにもストリングスを入れてますけど、オーケストラでやってみたいと思って、新しいバージョンを作りました。去年のコラボレーション・アルバムにも入ってるんで、もう一回同じバージョンで収録するのは、お金出して買ってくれてるファンに失礼かなと思ったし、せっかくToshlさんとやれたし、違うバージョンをもう一つ作れるのは光栄なことでもあるんで、このバージョンを作らせてもらいました。

──ロック調の曲も、いいアクセントになってますね。パチンコの「ゴジラ」に提供した2曲。

AK-69:いいバリエーションになりましたね。実はけっこう前に作って提供したんですけど、「I’ma “G”」はそのままで、もう1曲「One More Time」は、だいたい今みたいな感じに作ったあと、先方の注文でいろいろ変わったんですよ。いろいろ考えたけど、アルバムにはその形で入れたくなかったんで、自分たちの納得いく形に直して収録しました。日本人として「ゴジラ」を使えるというのはすごい特権で、だからこのオファーを受けたんですけど、結果、アルバムの中のバラエティの一つになって良かったなと思ってます。

──日本代表感、出てます。さっきの話ですけどね、たとえば今年のグラミー賞で、最優秀レコードのノミネートの半分がラップで、チャイルディッシュ・ガンビーノが獲った。あちらとこちらの状況はまったく違う。

AK-69:日本も、もっとそうなってほしいんですけどね。しかもアメリカの場合、ヒップホップの中でもただのイージー・リスニングみたいな、酒飲んでパーティだとか意味のない曲もあれば、ケンドリック・ラマーみたいなメッセージのある曲も、チャートの上位に刺さってくるわけじゃないですか。日本も『フリースタイルダンジョン』の効果とかもあって、昔よりはヒップホップがお茶の間に出てきましたけど、一般の人からしたらまだ実体がよくわからない。「YOYOって、悪口言い合うやつでしょ?」ぐらいに思ってる人もいっぱいいると思う。その中で、聴きさえすれば「いい曲じゃん」「メッセージが入って来る」みたいな曲もあるということを早く知ってほしい。もちろんフリースタイラーもヒップホップだし、メッセージを大事にしてる俺みたいなラッパーもいるし、ファッション的にサウンドが今の海外っぽいねというところに重点を置いてる奴もいるし、いろんな奴がいて、それがお茶の間を賑わせてる状態に早くなってほしいと思ってますけどね。

──AKさん、今は日本だけを考えてる?

AK-69:今回のアルバムは、正直日本のリスナーのことしか考えてないです。でも日本のヒップホップとして海外の人が聴いた時に、何を言ってるかは伝えたいので、英訳の詞はいつも載せてるんですけど。実は今水面下で、海外は曲のアプローチが全然違うんで、海外のプロデューサーで……という楽曲を録り溜めています。それはまた別のミッションとして、やろうとしていることなんですけどね。良くも悪くも日本は特殊で、アジアの国々と比べても、受け入れられる音楽がちょっと違うんですよ。

──確かに。アジア圏の韓国、東南アジアも違う。

AK-69:韓国はUS感のある曲で、アイドル好きな子たちが熱狂してる。でも日本のアイドルは完全に特殊な感じで、悪く言うわけじゃないけどパターンが決まってる。でもBTSとか、あれだけ本格的な曲をやってても、日本にファンがめっちゃいるじゃないですか。あれをなんで日本で出来ないのかな?って、その謎はまだ解明しきれてないんですけど。とはいえ俺も日本で育って、作りたいように作ってこうなってるから、さほど意識はしてないです。海外を見た時に、俺の持ってるサムライ魂、武士道みたいなアティテュードは、世界に通用することだと思うんですよ。楽曲でワナビー・アメリカになっても世界では勝てない。でも俺たちしか持ってないスピリッツを海外向けのフィルターに通して発信すれば、可能性があると思うんですね。それは今水面下でやってます。

──楽しみです。

AK-69:日本人って、海外でちょっとでも受け入れられたら、両手広げて受け入れるじゃないですか。日本でヒップホップ好きな奴は、好きでも嫌いでも俺のことは知ってるし、嫌いな奴を振り向かせることはできないし、する必要もないと思うんですよ。だけど唯一ある方法として、もしも海外で認められたら、さすがに否定してた奴も「やっぱりすげぇんだな、あいつ」って言うだろうなと(笑)。

──ありそうだなあ(笑)。

AK-69:それだけじゃないですけどね。単純にLAやNYでセッションすると、視野が広がるんですよ。これだけ世界にマーケットがあるのに、なんで日本のことだけにこんなに一生懸命になってるんだろう?って思う。そういう、海外に行った時に思うことは、忘れないようにしたいと思ってます。アジアに広がるだけでもすごいと思うし、可能性はむちゃくちゃあるんで。

──そしてアルバムのリリース後には、3月30日と31日、武道館2DAYS。まるで違うことをやるとか。

AK-69:一緒にすれば楽だったんですけどね(笑)。あえてそういう道を選択しちゃう癖、なんとかしたいです。

──サブタイトルを見ると、年代に分けて、セットリストを変える感じですか。

AK-69:そうです。別物と考えてもらって間違いないです。2日間やれれば初日の反省点も生かせるし、精度も上がるんで、同じことをやりたいんですけど、なんでこうなっちゃったんですかね(笑)。演出も2日分になるし、マジめんどくさいですけど。

──アーティストの性(さが)ということじゃないですか(笑)。

AK-69:まあ来てくれた人が、2日間見て「本当に良かった」と言ってもらえるライブにはするんで、頑張ります。それが終わったら少し休んで、次のことを考えたいですね。次のアルバムはこういうふうにしたいというのは、なんとなく頭にあるんですよ。

──もう? 早い。

AK-69:それを作るためにも、インプットの時間がほしいんで。武道館が終わったら休める、それが今のモチベーションです(笑)。

取材・文◎宮本英夫
撮影◎金子優司

リリース情報

▲通常盤

▲初回盤A

▲初回盤B

New Album『THE ANTHEM』
2019年2月27日(水)発売
■通常盤 CD(UICV-1107)¥3,024(税込) ¥2,800(税抜)
■初回盤A CD+DVD(UICV-9301)¥4,104 (税込) ¥3,800(税抜) ※スリーブケース仕様
■初回盤B 2CD(UICV-9302/3)¥4,104(税込) ¥3,800(税抜) ※スリーブケース仕様

[CD]
01. THE ANTHEM
02. THE RED MAGIC BEYOND
03. Lonely Lion feat. 清水翔太
04. Divine Wind -KAMIKAZE-
05. I'ma "G"
06. One More Time
07. MINAHADAKA feat. Lui Hua, OZworld a.k.a R’kuma, Hideyoshi
08. You Mine feat. t-Ace
09. I Still Shine feat. Che'Nelle
10. Stronger
11. BRAVE feat. Toshl(X JAPAN) -Orchestra ver.-

[初回盤A DVD]
MUSIC VIDEO集
「Flying B」「We Don't Stop feat. Fat Joe」「With You 〜10年、20年経っても〜」「KINGPIN」「Forever Young feat. UVERworld」「Hangover」「Baby」(Lyric Video)「上ヲ向イテ」「I Still Shine feat. Che'Nelle」「Stronger」「ONE LIFE feat. UVERworld」「THE RED MAGIC BEYOND」「Divine Wind -KAMIKAZE-」収録

[初回盤B DISC2(LIVE音源)]
「LIVE TOUR 2018 at 新潟LOTS, 水戸LIGHT HOUSE」
1. IRON HORSE -No Mark-
2. Ding Ding Dong 〜心の鐘〜
3. Only God Can Judge Me
4. YELLOW GOLD
5. A Hundred Bottles
6. CHAMPAGNE BOYZ
7. THE RED MAGIC BEYOND
8. THE RED MAGIC
9. MIC TEST
10. IWFWY / Kalassy Nikoff
11. Because You're My Shawty
12. And I Love You So
13. ICU
14. Stronger
15. START IT AGAIN
16. Flying Lady feat. CITY-ACE, HIDE春
17. MC
18. Flying B
Encore
19. CUT SOLO

ライブ情報


<AK-69 THE ANTHEM in BUDOKAN "REDSTA is BACK -2004〜2011->
2019年3月30日(土)東京・日本武道館
OPEN 17:30 / START 18:30
Feat. Guest
般若 / MACCHO / G.CUE / HOKT / Kayzabro(DS455) / BIG RON / “E”qual / HI-D / TWO-J / LIL’J / ZANG HAOZI / Kalassy Nikoff / DJ RYOW / DJ NISHIMIA

<AK-69 THE ANTHEM in BUDOKAN "RED MAGIC BEYOND -2012〜2019->
2019年3月31日(日)東京・日本武道館
OPEN 15:00 / START 16:00
Feat. Guest
Toshl / UVERworld / 清水翔太 / SWAY / NORIKIYO / t-Ace / Lui Hua / OZworld a.k.a R’kuma / Hideyoshi / CITY-ACE / HIDE春 and more…

[チケット料金]
2日通し券(非売品LIVE DVD付):¥14,000(税込)
1日券:¥7,500(税込)
※DVDは当日会場でのお渡しです
※全席指定です
※3歳以上有料。3歳未満のお子様はひざ上鑑賞の場合のみ入場無料(ただし、お席が必要な場合は有料です)
※チケット一般発売中

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