【インタビュー】NoGoD、メタリックでエモーショナルな路線の最新形ニュー・アルバム『神劇』

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NoGoDが、前作から1年7ヶ月ぶりとなる新作『神劇』を4月10日にリリース。18年4月の華凛(b)脱退を経て、4人編成で新たなスタートを切った彼らの第一弾となる同作は、ここ数年のNoGoDが追求しているメタリックな路線の最新形を提示すると同時に、しばらく影を潜めていたエモーショナルな側面がフィーチュアされていることが印象的だ。ドラマチックな楽曲と現在の彼らの心情をダイレクトに描いたように感じられる歌詞と相まって、強く心に響く一作に仕上がっている。NoGoDが苦難を乗り越えてさらに先に進んでいくことは、『神劇』を聴けば誰もが確信するに違いない。

■NoGoDの芯の一つになっているShinnoさんのエモーショナルな曲がいい
■だから「シアン」があがってきたときはすごくいいなと思いました


――『神劇』の制作は、どんなふうに始まったのでしょう?

Kyrie:2018年の1月から制作は始めていました。最初にできたのがShinno君が持ってきた「シアン」で、2月の中旬くらいに団長が「そして舞台は続く」の原形を持ってきたんです。そんなふうに曲が出てきていて、一つの作品として形にしようということになったのが6月頃だった。その段階ではコンセプトはなかったけど、ある程度曲が揃ってきて、「masque」ができたときにミニ・アルバムのコンセプトを意識し始めました。「masque」は舞踏会みたいなイメージを出したくて、そこから派生して「そして舞台は続く」は元々は全く違う歌詞が乗っていたんですけど、今の歌詞に書き直してもらったんです。今までのNoGoDだったら「シアン」と「そして舞台は続く」みたいな曲があったら、多分どっちかだけを入れていたと思うんですよ。でも、今回は両方入れられるようにしたいなというのがあって、そのために「そして舞台は続く」の歌詞を書き直して「masque」とリンクするようにしてもらったんです。だから、今回の『神劇』は、わりとその3曲がキーになってできあがった作品と言えますね。

Shinno:NoGoDで曲を作るときは前もって作品のテーマがあって、それに沿って曲を作るというのが基本的なパターンなんです。でも、2018年の1月頃はメンバーそれぞれが自由に楽曲や素材になるものを出そうということになっていたんです。いつもは曲を作っても、これはNoGoDらしくないなと感じたら出さないけど、そういうことに関係なく、それぞれがいいと思うものをどんどん出していこうと。それを受けて「シアン」の原形を作って、バンドに持っていきました。

Kyrie:前作の『proof』(2017年9月)を完成させた後、すぐに次の制作に入ろうということになって、18年1月の頃はもっとメンバーからのアウトプットをいろいろ募りたいなと思っていたんです。そういう中で、Shinno君が「シアン」の原曲を持ってきてくれた。それで、ツアー中にどういう曲にしようかという相談を2人でして、作り込んでいきました。本当はもうちょっと早い時期に仕上げるはずだったんですけど、その後NoGoDはなんやかんやありまして(笑)。華凛ちゃんがやめるということで、ゲスト・ベーシストを決める必要が出てきたりして、制作が後手後手になっていったんです。「ああ、今月もできなかったね」という状態が続いてしまっていたけど、ミニ・アルバムを作ろうと決めたときに「シアン」はある程度できあがっていたので、この曲に関してはスッとアレンジが仕上がりました。

団長:ここ数年Shinnoさんの「シアン」みたいなエモーショナルな曲は、あまり作品として出していなかったんですよね。昔はよくやっていたんですけど、ここ数年のNoGoDはメタル/ハードロック・バンドとしての認知度が高くなって、そういうものはあまり求められていないのかなという気がしていたから。でも、いろいろ環境が変わって、最初に手をつけるならNoGoDのパブリック・イメージからは遠いけど、NoGoDの芯の一つになっているShinnoさんのエモーショナルな曲がいいだろうというのがあったんです。だから、「シアン」があがってきたときは、すごくいいなと思いました。

K:「シアン」は最初に聴いたときから、この曲は絶対にやりたいなと思いました。純粋にいい曲だし、決して明るい曲調ではないけど、楽しく演奏できそうだなという印象を受けたんです。実際そういう曲になったし、ここ最近のNoGoDにはなかったテイストという意ことも含めて、聴いてほしい1曲です。


――「シアン」のような曲は、ヴィジュアル系とメタルのハイブリッド・バンドともいえるNoGoDだからこそ、いい形に仕上げられたことを感じます。「シアン」の歌詞についても話していただけますか。

団長:Shinnoさんがベーシックを持ってきた時点でメロディーも乗っていて、それを聴いたときに、この曲の肝はサビの置いていくメロディーのところだなと思ったんですよね。なので、そこにどんな言葉をあてるかということだけに集中したら、わりとすぐに“君はシアン”という言葉が出てきたんです。シアンは色の3原色の一つで、シアンがないと色彩は成り立たない。だから、すごくドラマチックな言葉が降ってきたなと思って、そこからイメージを広げて歌詞を書きました。その頃から自分が書く歌詞は、淋しさを歌ったものが多くなっていたんですよ。それまではわりと奮い立たせるような歌詞を書く傾向があったけど、そういうものばかりというのは無理しているんじゃないかというのがあって、もうちょっと自分の作風を広げたいという気持ちがあったんです。それを形にするのに、「シアン」は最適だった。メタリックな曲や激しい曲はナイーヴな歌詞は書きづらくて、“ドラゴン”だったり“ソード”だったりみたいなことになるけど(苦笑)、エモーショナルな曲調は自分の引出しが開くんですよ。「シアン」は今の自分が感じていることとリンクさせやすい曲だったので、歌詞は書きやすかったです。

――良い時期に、いい曲があがってきたんですね。「そして舞台は続く」の原曲は、どんなふうに作られたのでしょう?

団長:「そして舞台は続く」は“バンドマンあるある”ですけど、寝ているときに夢の中でメロディーが降ってきたんです。それで、パッと目が覚めて、すぐにそのメロディーを録音して…というところから入っていきました。いつもは1コーラスを作ってメンバーに聴かせて、これを本格的にやろうということになるとKyrieさんがアレンジしてフル・コーラスをあげるんですけど、今回はメンバーのアウトプットをなるべく活かしたいということで、自分でフル・コーラス作りなさいという指示がありまして。それでフルサイズのデモを自分で作りました。この曲もメロディーが物悲しいので、エモーショナルな曲になりましたね。

――憂いを帯びた味わいが本当に魅力的ですし、特にサビは“グッ”ときます。

団長:「シアン」もそうですけど、これも、「リード曲じゃないの?」と言われることが多いんですよ。自分はこの曲はNoGoDとしてのリード曲としてはちょっと違うのかなと思っていたから、意外な感じがするんですよね。「そして舞台は続く」がリード曲みたいに感じるということは、それだけ今回はメロディーが映える曲が多いということだろうなと思います。

Shinno:さっきKyrieから話が出たように、この曲は一度書いた歌詞を書き直すことになったんですよ。そのときに団長が、かなり抵抗していました(笑)。

Kyrie:かなりゴネていたよね。わりと本当にゴネていたね(笑)。

団長:だって、ぶっちゃけ、めんどクサいなと思ったから(笑)。でも、Kyrieさんの話を聞いて納得して、書き直すことにしました。

――「そして舞台は続く」は、“絶望や孤独に苛まれても、それでも人は生きていくしかないんだ”ということを歌っていますね。

団長:自分は歌詞に救いを求めてしまうというのがあって、「はい、絶望でぇーす!」というのはあまり好きじゃなんです。でも、「masque」という曲ができあがったときに、オープニングSE後の実質的な1曲目と最後の曲をリンクさせて、コンセプチャルなミニ・アルバムに仕上げたいという話になって、絶望をテーマにした歌詞を書いてほしいと言われて。“ええっ?”と思ったけど、そういう作品にするのは賛成だったし、自分の中でもイメージがあったので、わりとスムーズに書けました。

Kyrie:元々団長が書いていた歌詞も、この曲の雰囲気に合った良い歌詞だったけど、僕の中には終わらない、続きがあるというイメージでミニ・アルバムを締め括りたいという気持ちがあったんです。なので、“舞台は続く”という言葉を使って書き直してほしいと団長にお願いしました。

団長:NoGoDのファンの人達は、不安を感じているところがあると思うんですよ。2018年は音源がない1年になったから、活動が止まってしまうんじゃないかとか、それこそ終わってしまうんじゃないかとか。そういう不安に対して、もちろん我々も無傷ではないけど、それでも進んでいくということを最後に示す作品にしたかったので、書き直して良かったなと思います。「そして舞台は続く」の歌詞から、無観客のホールでアーティスト写真を撮るということも思いついたし。ポスターは、ステージ側から無人の客席を撮った構図なんですよ。アーティストの写真で、誰もいない客席をバックにした写真というのはないなと思って。こういうことは舞台の人はやれるんでしょうけど、バンドでは珍しい。今回のアーティスト写真には、「客席に誰もいなくても自分達はやり続ける」という強いメッセージが込められているんです。

――そうやって、「シアン」と「そして舞台は続く」ができて、その後Kyrieさんが「masque」を書かれたんですね?

Kyrie:2018年の6月頃に「masque」と「DOOR」を、ポンポンと続けて作りました。その時点ではまだ作品のコンセプトはなくて、ちょっと一癖あるものを作ろうと思ったんです。「masque」はアレンジが2パターンあって、一つはもっとストレートでNoGoDがシングルやMVにするような感じのアレンジで、もう一つがアルバムに収録されているパターン。どっちにしようかというところで自分の中でも結構悩んだけど、僕が書くものはあまり普通じゃなくていいやと思って。それで、面白いほうでいくことにして、今のアレンジのほうをチョイスしました。

――「masque」は少しオリエンタルな香りがあるハード・チューンですごくカッコいいですし、間奏でワルツに移行する構成も秀逸です。

Kyrie:ワルツ・パートはバース部分のオリエンタルな雰囲気から空間の広さみたいなものを感じて、そこから西洋の古めかしい社交場のイメージが浮かんできたんです。舞踏会にはワルツが付きものだろうというところから、3拍子のセクションを入れ込むことにしました。「masque」は途中まで僕が書いた歌詞があったんですけど、今作に関しては全曲団長の歌詞でいこうと思って。前作の『proof』のときはわりと僕が作詞をして、それはそれで特に悪いこともなかったけど、今回はこの4人で出す最初の作品なので、そこは団長の言葉のほうがいいなと思ったんです。自分で書くのがめんどクサいなというのもあったけど(笑)。

一同:おいおいっ!(笑)

Kyrie:ハハハ(笑)。それで、“仮面を被って生きていく”というテーマで…ということを団長に伝えたら、僕が意図したものをちゃんと汲み取って歌詞を書いてくれました。

K:「masque」はオーソドックスというと変ですけど、今回の曲の中で一番しっくりきましたね。途中でワルツになったりするけど、僕の中ではトリッキーな感じはなくて、すごく良い展開だなと思った。逆に、「そして舞台は続く」は、一番癖があるなと思ったんですよ。僕が持っていないものを要求される曲で、自分の中で昇華するのにちょっと苦戦しました。

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