【インタビュー】ReN、「何より効いた痛み止めが音楽だった」

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■ 余裕のあるライブをすると、ダメな気がする

── エド・シーランの曲は研究したんでしょうか。

ReN:めちゃくちゃ研究したし、たぶん僕以上に知ってる人はいないんじゃないかっていうくらいですね(笑)。小さい時から、物事を研究したり分析したり、分解するのが好きで。おもちゃもよく壊してました。出されたごはんとかも、これとこれとこれが入ってるのかなって食べてみて考えるのが好きなんです。音楽も、聴いた音楽を自分で表現するときに分解していくのも好きで、そこに発見が必ずある。そういう“あ!”っていう発見を、ずっとずっと音楽で経験していたいんですよね。それはエドだけじゃなく、コールドプレイとか本能的に好きなアーティストについてもそうで、なんで自分が好きなのかっていうところを知るために分解していく。それで、こういうのが好きなんだなってわかると、自分の音楽がわかってくるというか。

── その、“こういうの”っていうポイントは言葉にするならどういうものでしょうか。

ReN:邦楽でいうと、心に刺さる言葉だったりを、自分の母国語として語りかけてもらっているというのが邦楽の良さとしてあると思っていて。洋楽に求めるものは、ある種、僕たちは母国語になり切らないからこそ聴けるチャンネルの聴き方があると思うんです。そこで、1曲のなかで全部が気に入ったものもちろんあるんだけど、この曲の1フレーズのこの声とか、こぶしの感じとか、その人が垣間見える感情の言葉とかがひっかかってきたときに、「もう一回そこを聴きたい」っていう衝動から、僕は音楽にどんどん入っていくんです。そのフィーリングが合う人たちとは、朝まで話したりとかできるくらい(笑)。そういうマニアックなポイントが好きだったりしますね。



── 先ほど、バンドの名前も上がりましたが、自分でバンドを組んでフロントマンとして歌うという発想はなかったんですか。

ReN:今でもそれはあるんです。バンドもすごく好きだし、みんなでグルーヴを奏でるかっこよさは、いつ見ても鳥肌が立つんですよね。ひとりで作り出す音楽の素晴らしさもわかるし、みんなで奏でる音の素晴らしさもわかるから、自分はトライしてみたい気持ちはいつでもあるんです。ただなぜ今こうなってるかというと、自分の音楽にたどり着くきっかけが、先ほど話したような出来事だったからこそ、仲間というものがいなかった。自分がフロントマンになるからって、経験者を後ろにつけるのもちがうなと思った。将来的にはいつかバンドを組んでみたい気持ちはあるけど、自分には足りないものが多すぎるので(笑)。一回、自分ひとりでやってみて、ここから先、自分の音楽を気に入ってくれた人たちが集まってきてくれたら、その人たちと最高のグルーヴでひとつの音楽を作りたいなって思いますね。

── ひとりでできる限りの表現をしたいということが、ループステーションを使った多重演奏につながっているんですか。

ReN:そうですね、やっぱりギター一本では物足りないなっていう気持ちがあって。音でもそうですけど、自分がレースをやっていたときは全身を使って操縦していた感覚があるから、車を降りた直後にギターと歌だけっていうと、なんか疾走感が足りなくて。いっぱいいっぱいの状態ででここまできたからこそ、余裕のあるライブをすると、これじゃダメな気がするっていう──。

── 追い込みすぎですよ(笑)。

ReN:自分もそれでおかしくなって、マネージャーとケンカしたりもしたんですけど(笑)。音楽には、同じことを繰り返すよさっていうのもあるんですけど、自分の良くないところっていうのは、ここでいうのもアレですけど、飽き性でもあるし、やっぱり自分が今までやっていたことに余裕が生まれた時点で、もっと次は汗かくことをしないとダメなんだって思ってしまう。それですごい、悩んだこともありました。スポーツをやってきたから練習が大好きで、いくらでも自分の可能性を広げることに時間を費やしてきたんですけど、今になって思うのは、音楽って肩の力を少し抜いて奏でるものが意外とお客さんには聴こえがよかったりもするんですよね。そういう塩梅を自分でも楽しみながら、今日は力みすぎたけど、もうちょっと軽く歌ってみよう、って思うのも新しい発見になっているので、今はいろんなことにトライしている期間かなと思います。

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