【インタビュー】Rollo and Leaps、“多様性”をコンセプトにバンドの可能性を一気に広げる意欲作『ROADSIDE PLANET』

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Rollo and Leapsというバンドを知っているだろうか。都内の大学に通うメンバーで結成され、「RO JACK for ROCK IN JAPAN 2017」優勝という経歴を持つ若い才能溢れる4人組だ。最新ミニアルバム『ROADSIDE PLANET』はプロデュースにいちろー(東京カランコロン)を迎え、シンプルなギターロック然としたたずまいから、打ち込みでビートを強化したダンスロック、ダークにうねるグルーヴィーなミドルチューン、壮大なバラードに至るまで、バンドの可能性を一気に広げる意欲作。革新的なアルバム制作と、バンドが目指す未来について4人全員に語ってもらおう。

■このアルバムには“多様性”というテーマがあって
■「いろんな人がいていいんだよ」ということを中心に置いています


──バンド・コンテスト優勝が2年前ですか。

石岡和樹(以下、石岡):早いですね。あっという間です。

──そのあと、メンバー替わったんでしたっけ。

河野翔太(以下、河野):僕は去年の5月に入りました。下っ端です(笑)。

──元々は友達バンドですよね。

石岡:3人は同じ大学で、ここ(石岡&JACKSON)が静岡で高校も一緒。彼(高谷)が大阪から上京してできたバンドです。

河野:僕は千葉の船橋です。

──県民性ギャップ、ないですか。

河野:特にないですね。

石岡:そんなに方言も出ないんで(笑)。

JACKSON kaki:東京に来て4,5年経つので…。

石岡:かぶれちゃいました。

──人聞き悪い(笑)。東京いいじゃないですか。

石岡:東京はめちゃ好きですよ。一番情報が集まる場所なので。情報が新鮮だし速いし。

──確かに。それってバンドの音楽性に影響してると思います?

石岡:してると思います。東京はいろんな文化が集まる場所で、街ごとにカルチャーも違うし、渋谷は渋谷のカルチャーがあって、新宿はもっと雑多な感じで、下北沢があって、高円寺があって。大崎とかも、オフィス街だけどちゃんとカルチャーがあって、東京は面白いところだと思います。それは楽曲にも影響を与えていると思うし、今回のアルバムは“多様性”をコンセプトにしていたので、多様性のある街が集まっているというのも一つのインスピレーションになりますね。街ごとに住んでる人も全然違うんで。


──ああ、その例えはすごくわかりやすいですね。1曲ごとに街があり風景が違う。

石岡:それを感じていただけたらすごく嬉しいです。そういった意味で、東京は僕らの曲に影響を与えている街だと感じてます。

──ちなみに東京の中でもホームグラウンドといえば。

JACKSON:今は新宿が多いですね。

石岡:多様性と言ってる以上、いろんなところでやることが大事かなと。数で言うと新宿、渋谷、下北沢が中心にはなりますけど。

──バンド仲間はどのへんのシーンですか。

JACKSON:「若者のすべて」周りの友達とか、元KOTORIの周りも仲いいですし。下北沢BASEMENT BARとかに出ているバンドとも仲いいです。

石岡:90年代の渋谷系のリバイバルをやってるバンドとも対バンしますね。Bluemsとか。

JACKSON:幅広いというか、インスピレーションをいろんなところに感じるんだろうなと思うので。おのおののアンテナが高いぶん、一つに寄ることがないのかなと思います。


▲石岡和樹(G)

──そういうものも踏まえて、今回のアルバムのテーマとして、まず「多様性」というのがあった。

石岡:そうです。曲調の多様性は聴いていただければなんとなくわかると思うんですけど、まずオーソドックスなロックの曲が2曲ぐらい入って、僕は洋楽が大好きで、90年代、2000年代初期のガレージロックリバイバルやオルタナのバンドが好きなんですけど、4曲目の「フラクタル」は、そういうふうに冷たい空気感の中でそんなに激しいサビはないまま淡々と進行していく曲で、洋楽と邦楽の合体みたいな曲で。「夕凪」は彼(高谷)らしい感じでだいぶ曲調が変わって、6曲目「Wednesday」は楽しいポップな曲で、リズムもハネてるし、ギターソロはウェス・モンゴメリーみたいな感じだし。そして最後の「スロウハイク」はスローテンポで、お気に入りの曲なんですけど。

河野:隠れ名曲みたいな。

石岡:ゆっくりと淡々としてだんだん盛り上がって、そして消えてゆく。このアルバムは、まず“多様性”というテーマがあって、歌詞もけっこうバラバラなんですけど、いろんな人を認める…というと上から目線で良くないですけど、「いろんな人がいていいんだよ」ということを全ての中心に置いています。排他的だったり多様性を受け入れない風潮が日本にはあると生活していて思うことがあるので。ニューヨークに行った時、たくさんのカルチャーを受け入れて日本とは全然違う多様性を形成してると思ったし、東京という街は多様性に溢れていると思うんですけど、それでもまだ排他的なところはたくさんあって、そういう人たちをちゃんと認める歌詞なら、心にスッと入ってくるかなと僕は思っているので。歌詞はそういうことがテーマになっています。

──歌詞はついては、あとでもっと掘ります。まずはアルバム完成の手応えを一人ずつ。

JACKSON:今までは自主制作自主リリース、プロデュースも自分たちでやってきて、いちろーさんが入って、音の作り方、サウンドのあり方、それを世の中に出して行く姿勢も教えてもらって、全国流通という今までと違うフェイズの中で音楽をやることを実感したアルバムです。

河野:去年の9月末ぐらいからレコーディングが始まって、途中でまだこれじゃダメだということで…。

石岡:スタッフさんからもっと強い曲がほしいということで。


▲JACKSON kaki(Dr)

河野:それで「それでも夜は明ける」「夕凪」を作って。その2曲を今年の4月にレコーディングしたんですけど、その2曲は曲作りの最初から参加してるから納得のいくものができました。

石岡:最後の2曲が加わったことで、みんなの納得いくアルバムになったところはありますね。

高谷瞳二(以下、高谷):今までは自分達だけで作り上げて、自分達なりにこだわったつもりでしたけど、まだ雑な部分が多かったんだなと。今回いちろーさんをはじめ、いろんな人の声を聞くことで、今まではとにかくいいものを詰め込んだれ!という感覚があったんですけど、今回は引き算もできたんじゃないかな?と。今までとは全然違うクオリティになったと思います。

──確かに1曲目「それでも夜は明ける」から今までの音をとだいぶ違うというか、打ち込み入ってるし、ボーカルはダブルトラックだし。

石岡:今までは、細部の音にこだわることができなかったので。あの曲はドラムに効果音が入っていたり、ボーカルがダブルだったり音の処理がシンセっぽかったり。

河野:シェイカーが入ったり。ちゃんとプリプロして一緒に構成を練っていったので。

石岡:さっき言ったみたいに今回は引き算が多くて、特に「それでも夜は明ける」と「夕凪」は引き算が多かった。「それでも夜は明ける」はもっとギターロック寄りで、どうしてもそこから脱却できないのが悩みだったんですよ。僕らはもっといろんな音楽を聴いているのに、それをちゃんと表現できてないってことじゃないですか。ギターロックも大好きですけど、今回は影響を受けてきた音楽をしっかり消化したくて、こういうアレンジになりました。ギターのリフは背景に身を潜めて、メインは歌で、ドラムは電子音ぽくて、そこを目指して作った曲です。


──この曲のテーマって何だろう?と思うんですね。“狭い箱の外へ走り出してゆく”というフレーズがすごく耳に残って、学校のことかな?とか。

石岡:狭い箱というのは、僕としては田舎の街をイメージしてます。僕は静岡の浜松で生まれ育って、すごく好きなところなんですけど、一方で田舎特有の閉塞感がどうしてもあって。

JACKSON:僕もそれが嫌で東京に出てきたところはあります。

石岡:土地は広いけどコミュニティは小さい。自分の住んでいた浜松市東区が世界の全てで、狭い箱で、ここで生きていくんだろうなと思ってきたんですけど、高校や大学受験でいろんな人に出会って、東京を知って、いろんな音楽があることを知って、浜松を出たいと思うようになった。それで東京に来て今こうやって音楽をやっているという、そういう歌ですね。狭いコミュニティを大事にするのもいいことだと思うんですけど、そこでくすぶっている子もたくさんいるだろうし、そういう子たちが曲を聴いてハッと何かに気づいて、「外に出てみようかな」という勇気を与えられたら、曲として成功だし、それが僕の目指している歌詞なので。

──はい。なるほど。

石岡:聴いてくれた若い子が…僕もまだ若いですけど(笑)。若くない人でも全然いいんで、曲がきっかけになったら嬉しいです。

──「フラクタル」もそうだけど、歌詞にはティーンエイジャーの思いが強い気がする。

石岡:歌詞を書く上で、ティーンエイジャーというのは大事な概念です。

──もう違うでしょ?

石岡:とっくの昔に違いますけど(笑)。この前24歳になったんで。でも自分の信念として、心は少年のままで大人になるというのがあって。子供でいるのは良くないと思うけど、夢を見ていたり好きなものは好きと言えたり、そういうところでは少年の心を持っていたくて、そういうのもあって若い人に聴いてほしい気持ちがあって曲を書いています。ティーンには人生の分岐点があって、一番可能性があると思うので、その世代の人が僕らの曲を聴いてくれて、変わるきっかけになったり、良い方向に行くかどうかはその人次第だけど、「聴いてくれた人に良い未来がありますように」という意味を込めて、ティーンエイジャーに向けて曲を書いてるところはあります。

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