【インタビュー】Chicago Poodle、10周年を語る_最終章「長くリピートできる曲を生み出そう」

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デビュー10周年記念ベストアルバム『10th Anniversary Best』を今夏リリースし、全国ツアーの真っ最中のChicago Poodle。BARKSでは10周年アニバーサリー特別企画として、Chicago Poodleの歴史を辿るインタビューを3回にわたって展開中だ。

◆Chicago Poodle 画像

その最終回は2014年から現在までの5年間のChicago Poodleがテーマ。泣ける名曲「タカラモノ」、『名探偵コナン』のエンディングテーマとなった「君の笑顔がなによりも好きだった」で新たな引き出しを開いた彼らの心境の変化とは? 制作にとりかかってはいたものの世に出ることはなかった幻のアルバムが存在したというエピソードも明かされつつ、未来への目標を明確な言葉で語ってくれた。

   ◆   ◆   ◆

■子供さんは『名探偵コナン』で
■お母さんは「タカラモノ」

──全三回にわたってお届け中の連載インタビュー最終回では、2014年から現在までの5年間を振り返ってお聞きしたいと思っています。メジャーデビューからの5年間を前期、そのあとを後期と分けるとすると、前期と後期ではどんな変化がありました?

花沢:前期の後半ではプロデューサーが変わって、僕らのいい部分を汲んでくれつつ、Chicago Poodleがやりたいことを理解してくれたんですよね。コミュニケーションをとることによって、新たな発見があったり、今までChicago Poodleが見ていなかった部分を引き出してくれた。これまでと違うやり方に時間はかかったけれど、馴染むようにしていってくれたんですね。中でも「タカラモノ」(2013年)は、僕らの中でも“こういうバラードもあるんだ”って思わされた曲です。出会ってプロポーズして結婚しておじいちゃんとおばあちゃんになって最期まで幸せにっていう物語で、そういう長いスパンの曲を作ったことがなかったので、“こういう世界が僕らには求められているんじゃないか”って思い始めたというか。


──長いスパンで捉えたライフソングというか。

花沢:毒づいたり攻撃的なことを歌うバンドもいますけれど、理想や幸せの追求だったり、家族愛を歌うバンドがいてもいいやんって思ったというか、自分たちにとってもしっくり来たんですよね。自分らが歌っていることは現実からかけ離れているかもしれない。それこそ毎日生きるってけっこう大変なことなんだけど。だからこそ、「タカラモノ」みたいな歌があってもいいんじゃないかって考えられたというか。

──変化とまではいかないけれど、価値観がプラスされたんでしょうか?

花沢:そうですね。特に歌詞は今までと勝手が違ったので、例えば山口はプロデューサーとやりとりした上で書いたりと、大変やったと思うんですけど。

▲花沢耕太 (Vo&Key)

山口:キラーワードじゃないですけど、僕の中で想定外な言葉を提示してくださったというのはありましたね。今まで開けてなかった引き出しを開けてもらったみたいな。僕らは新曲をデモテープで最初に聴くので、どうしてもデモの仮歌の語感に縛られがちだったんですよ。でも、“歌詞は歌詞だけで読んでも成立したほうがいい”というアドバイスをもらって、まず文字数を制限せずに書いて、メロディを変えてでも言葉を乗せてみたりとか。そういう部分も新しいスパイスになったんですよね。

──想定外の歌詞というのは例えば?

山口:例を挙げるならば「シナリオのないライフ」(2014年発表シングル)の“君になって欲しいよ「ワイフ」”というフレーズは僕の中では恥ずかしかったんですけど、楽しい曲なので、花沢が歌ってもいいのかなって。あとで曲を聴くとその部分が頭の中に残っていたのも発見でした。



──同じく歌詞を書かれる辻本さんは?

辻本:僕自身は山口のような経験はなかったんですが、2014年にリリースしたアルバム『Life is Beautiful』の中に「泣いたらええ」っていう曲があって。この曲は歌詞が関西弁なんですよ。

──ブルージーな曲ですよね。

辻本:そうなんです。Chicago Poodleが関西弁で歌うとは思ってなかったんですけど、さっき山口が話した歌詞の書き方も然りで、勝手にNGだと思っていたこともやってみたら意外と自分たちの曲として成り立つねんなって思ったんですね。関西在住なので、ふだんの言葉で歌われるとメッセージもより伝わってきて、歌詞を書いた山口もすごいなって。その前アルバムとなる『3.0』は3人で作るということをテーマにしていたんですが、『Life is Beautiful』ではそのときでしか歌えない恋愛や人生のことを素直に歌うことに挑戦したんですね。いま振り返ると“自分たちが書きたいこと、やりたいことだけじゃなくて、まわりの意見を柔軟に取り入れられるようになってきたのかな”って思いますね。花沢くんの歌い方にも幅が出てきて、歌詞に関しても「もっとこうしてほしい」とか、意見を言うようになったのがこれぐらいの時期かなと思いますね。

──曲の世界が広がった時期ですね。

花沢:そうですね。ライブはずっと定期的にやってきたんですけど、“Chicago Poodleってバラードが好きな人が多いな”って。バラードってやっぱり歌やと思うんですよね。その時期ぐらいから曲がいちばんという考え方だったのが歌に重きを置くようになってきて、“あ、歌聴いてくれてるんや”って(笑)。

辻本:最初から聴いてくれてたんちゃいますか(笑)?

花沢:ははは。

▲<Chicago Poodle -10th Anniversary Tour->

──「タカラモノ / 君の笑顔がなによりも好きだった」、「シナリオのないライフ」は代表作だし、いろんな反応が返ってきた時期でしょうしね。

花沢:“自分が褒めてもらいたいのは曲なんやけどな”と思っていたんですけど、少しずつ歌や歌詞を意識するようになったというのはありますね。中でも「タカラモノ」はいろんなところで歌う機会が多くて、フリーイベントでたまたま通りがかった人が泣いてくれたりとか。そういう体験はそれまではなかったので自分の中では衝撃的でしたね。

──多くの人が聴いてくれるようになった中、環境の変化はありました?

山口:なんかあった?

辻本:いま花沢くんが言ったことと重複するんですが、ライブをやっているときに、初めて聴いてくださった人にも“伝わってるな”って感じましたね。曲の力だったのか、花沢くんの歌い手としての意識の変化だったのかわからないですけど、そういう変化はあったのかもしれないですね。


山口:周囲からの反響という意味では、「君の笑顔がなによりも好きだった」がアニメ『名探偵コナン』のエンディングになったときのほうがあったかもしれないですね。それまで僕らの曲を聴いていることも知らなかった友人から「CDにサインください」って言われたりとか。

花沢:『名探偵コナン』がキッカケとなって、いろいろな場所でフリーイベントをやったことで多くの人が聴きに来てくれて。「タカラモノ」も歌ったので、そこでChicago Poodleのファンになってくれた感じはありましたね。

辻本:あるかもあるかも。

──『名探偵コナン』のテーマ曲は子供たちも大好きでしょうし。

山口:そうですね。ファミリー層が見にきてくれて。

花沢:子供さんは『名探偵コナン』で、お母さんは「タカラモノ」みたいな。

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