【ライブレポート】THE FOREVER YOUNG「俺らはこの夜を永遠に続けるから」

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2019年10月25日(金)東京・TSUTAYA O-WESTにて、エバヤンことTHE FOREVER YOUNGが<THE FOREVER YOUNG pre. 「ビューティフルユースツアー2019」>東京公演を行い、集まったアツすぎるファンと共に、アンコールまで全24曲を汗だくで歌い切った。

◆ライブ画像(全13枚)

「君、泣くの早すぎよ(笑)」。ライブ開始から10数分経った最初のMCで、クニタケヒロキ(Vo&B)がフロアの真ん中あたりに向けてそう言った。どうやら、早くも歌いながら泣いているファンがいたようだ。アツい。とにかく、エバヤンのライブはバンドもファンも、暑苦しいぐらいに、アツいのだ。しかもまだ、3曲が終わったばかり。「まだ序盤、序盤。死ぬほどやるけん」とクニタケ。そう、今日はワンマンライブなのだが、ファンは1曲1曲を最初から全力で感情移入しながらライブを楽しんでいる。

オープニングは、オガワリョウタ(Dr)、タカノジュンスケ(G)、サポートギタリストのリョウが定位置に着きクニタケが最後に登場すると、最新アルバム『ビューティフルユース』の1曲目「TO THE END」から静かにスタート。この日の東京は暴風雨が吹き荒れていたこともあり、「みんな、マジで来てくれてありがとう!」と感謝を示す。「あの街へ帰れない」「WORLD END」とアップテンポな曲が続き、ステージ前方でコブシを突き上げる観客一人ひとりにクニタケがタッチしたり、ステージ上に駆け上がりフロアにダイブするものがいたりと、徐々にヒートアップ。涙ぐむファンに向けて歌うように始まった「笑っていようぜ」から、「くそったれ」と、ニューアルバムからのハイパー・パンクチューンが続く。オガワの狂ったようなドラムプレイが、ますます観客を煽っていく。



「<ビューティフルユースツアー2019>渋谷O-WEST。ワンマン。俺らのことを好きなやつしかおらん。俺らも好きなやつしかおらん。最高の一日にしようぜ!!」と呼びかけるクニタケに場内はさらに熱量がアップしたようで、実際に会場は外の肌寒さとは真逆にものすごくアツい。彼らのライブは激しくストレートな演奏ではあるものの、“青春パンクバンド”とひと言で言ってしまうには、その楽曲はあまりにも個性的だ。特に中盤で聴かせた「チュウベイビー」「アイラビュベイビー」「ミッドナイトライナー」の流れは、歌メロの良さ、ポップセンスと泥臭さが同居したもので、エバヤンならでは。ファンもこのあたりの曲では、盛り上がって合唱してはいるものの、ダイブなどはせずに歌の良さを楽しんでいるように見えた。

セットリストは何曲かごとにブロック分けされているようで、中盤は静かなアルペジオから始まった「希望の痛み」で場内を静まり返らせた。「この思いを浄化するためにこの曲を作って、浄化するどころか、あんたの住んどる街で1人酔っぱらってこの曲を聴いたら、涙がほろほろ出てきて。一番最後に会ったときに、“嘘みたいな曲作るんじゃねえ”って言われて。でも、ちげえ。ごめん。嘘つきだけどさ、くだらねえけどさ、たぶん俺この気持ちは一生変わらないから、久しぶりに歌います “12月15日”」と、まるで歌詞のように独白したMCから歌われた「12月15日」は、ひと際クニタケの内面を表現したもので、しゃくりあげるように“好きだよ まだ好きだよ”とダイレクトに歌うサビは胸に迫るものがあった。



バンドは終盤に向かって走り出す。「サヨナラにさよなら」ではオガワが効果的に鳴らすライドシンバルが疾走感を演出して、「夢だけに酔っていたいぜ」ではスネアとクニタケのヴォーカルのアクセントが重なる瞬間に爽快感があった。長年の盟友でありリズム隊でもある彼らのピッタリ息の合った演奏の上で、新加入のメンバー・タカノとレコーディング、ライブでサポートを務めるリョウはギターをかき鳴らしながら、顔を見合わせてジャンプ。心の底から楽しそうだ。タカノは激しくストロークして弦を切ったのか、ギターをストラトからテレキャスにチェンジしている。キャッチーな胸キュンソング「ひみつとデート」を歌い終え、クニタケがマイクに向かう。

「今日は、ライブ来て欲しかった。すげえ景色見せたかった。でも、本当に俺が言いたいことは、来れるときに来てくれたらいいよ。電車は止まるもん。金が全然ないかもしれん。ライブに行くような気分じゃないかもしれん。でも、“ああ〜ムシャクシャするわ”ってときは、おいで。“今月携帯止まってもいいからはっちゃけてぇ!”って思ったら、おいで。心が寂しくなってさ、独りぼっちだなって思ったら、おいで。それがいつになってもいいよ。来年でもいい、5年後でもいい。安心しとけよ、THE FOREVER YOUNGは永遠やけん、またあんたが来るときまでここでやりよるけん。そんな君たちに捧げます。友だちに捧げます。俺らはこの夜を永遠に続けるから」


そんなMCから、これまでのどの曲よりも美しく、ギターのアルペジオが広がって行く。ニューアルバムからの「ファンファーレ」だ。煌びやかな照明がステージを照らす中、ギュッとバンドが一体化して、丁寧に歌われる旋律は、激しく尖がった演奏とは一線を画す、温かな包容力を感じさせた。ライブはクライマックスへ。スケールの大きな「素晴らしき世界」での合唱に続いて、クニタケがさらに「大合唱しようぜ〜!!」と呼びかけてから始まったのは、ニューアルバム収録曲の中でも話題となっている、チューリップのカバー「心の旅」。ライブでも、エバヤンのオリジナル曲と言ってもいいぐらいにハマっている。拳を突き上げて、会場中が大合唱となった。ショートチューン「一生青春突撃宣言」を叩きつけると、しばし間を置いてからアンコールの声に応える。


STEP UP RECORDSのオムニバスアルバム『…OUT OF THIS WORLD 6』収録の新曲「アウトオブディスワールド」から、「青春は、俺たちが終わらせない!」と叫んでの「YOUTH」では、フロアが大沸騰。ステージに続々と上がってはダイブしていくファンに対し、クニタケは歌いながら一人ひとりとグータッチ。続く「GO STRAIGHT」でも、ステージに上がってクニタケの横でマイクに向かって歌う者が続出した。最後は「今日という日を忘れませんように、今日という日が、一生続きますように」との言葉から、再び「一生青春突撃宣言」で締めくくった。ライブ中、冒頭から何度も何度も、「来てくれて、マジでありがとう」と口にしていたクニタケ。こちらこそありがとうと言いたくなるような、胸がアツくなる、魂のこもった全力疾走のライブを見せてもらった。

取材・文◎岡本貴之
撮影◎浅井千賀子

セットリスト

<THE FOREVER YOUNG pre.「ビューティフルユースツアー2019」>
2019年10月25日(金)東京・TSUTAYA O-WEST
1. TO THE END
2. あの街へ帰れない
3. WORLD END
4. 笑っていようぜ
5. くそったれ
6. I WANNA BE SHINE
7. 終わらない旅
8. 明日はいらねぇ
9.チュウベイビー
10. アイラビュベイビー
11. ミッドナイトライナー
12. 希望の痛み
13. 12月15日
14. サヨナラにさよなら
15. 夢だけに酔っていたいぜ
16. ひみつとデート
17. ファンファーレ
18. 素晴らしき世界
19. 心の旅(チューリップのカバー)
20. 一生青春突撃宣言
アンコール
EN1. アウトオブディスワールド
EN2. YOUTH
EN3. GO STRAIGHT
EN4. 一生青春突撃宣言

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