【インタビュー】chay、3rdアルバム『Lavender』に同世代が抱える悩み「20代で作ってきたアルバムの集大成」

■どんどんシンプルになっていく
■そこはかなり大きな心境の変化

──年齢的な成長とかの変化もありつつ、chayさん自身も今、歌以外のチャンネルが増えてきてますよね。それによって歌う意味が変わってきたり、影響を受けたことってありますか？

chay：先日映画に出演させていただいた際は、すごい役……相当トリッキーな役だったし、初めてのことだらけで目の前のことをこなすのに精一杯でした（笑）。楽曲やCDを作り上げていくことも、みんなで一丸となって作り上げていく過程自体は変わらないんですが、映画はものすごい規模なんです。関わっている人数も全然違いますし、そういった規模のなかで、ゼロからみんなで作り上げていく過程を体験して、それが完成した時の喜びとか達成感とか感動を味わったことは、今までとちょっと違った感覚でした。それは楽曲の制作にも繋げていけるんじゃないかなと思いました。

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──ステージで歌うこととはまた違う表現ですよね。

chay：全然違います。でも私の感じている感覚は、女優さんとか俳優さんの感じている感覚とは違うというか。映画『ダンスウィズミー』の役柄がシンガーだったこともあって、演じるということはあまり意識してなかったです（笑）。“こういうふうにして”……みたいなことを考える余裕もなく、体当たりで演じていました。でも、とても楽しかったですよ。

──改めて、歌うことが自分の軸だという感覚もありましたか？

chay：もちろんそうです。ずっと変わらず、軸には必ず歌があります。でもやはり今の時代、CDを手に取って聴いてもらうってこと自体のハードルがすごく上がっているから、自分の曲に辿り着いてくれるような入り口は多いほうがいいんじゃないかなって私は思っています。たとえば雑誌『CanCam』で知ってライブに来てくださる方も多いですし、映画を見て知って、CDを聴いてくださった方もいますし。そうやって歌とは別軸のことでも、トライするということに関してはすごく前向きに捉えてます。だから、歌につながるのであれば、これからも色々なことに挑戦していきたいですね。

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──29歳でアルバム『Lavender』ができて、次は30代になるというステップアップが待ってるわけですけど。これからこんなことを歌っていきたい、というイメージはありますか？

chay：先ほど言ったことと重なるんですが、毎回、今しか書けない言葉、今しか感じられない気持ちを書いてきたからこそ、今回も自然とこういったテーマになっていったということもあって。きっと30代だからこういう曲にしよう、ということは考えなくても、作ってみたらそうだったということになると思うんです。でも、ひとつちょっと思っているのは、20代を通しての、1stアルバム、2ndアルバム、3rdアルバムは、アレンジもかなり華やかなサウンドが多くて。それがchayらしさのひとつでもあるのかなと思うんですけど、そういうポップスを作るということに関しては、今作が20代で作ってきたアルバムの集大成のようなイメージもあるんです。

──なるほど。

chay：だから、この先もこういった華やかな音楽もあるかもしれないけど、どんどんシンプルになっていくんじゃないかなと思っています。そういう、すごく音数の少ないアルバムも作ってみたいなって。そこはかなり大きな心境の変化な気がします。とにかく足して足して、盛って盛ってというのもすごく好きなんですけどね。でも、やはり環境の変化だったり、年齢を重ねていくごとに、気持ちも、魅力的に思うものも変わっていって当然だと思うので。どんどんシンプルなものの魅力に気づき始めている気がするからこそ、今回出し切れたんだと思います。

──これからも自然体で新しいことに挑戦していけるのが楽しみですね。

chay：そうですね。自分にどういう環境の変化があって、どういう曲を書くのかはわからないので、自分でもすごく楽しみです。

取材・文◎後藤寛子
撮影◎緒車寿一