【インタビュー】BIGMAMA、『Roclassick』シリーズに終止符を打った理由

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■大喜利にするか、全うするか

──今作には7曲が収録されていますけども、どう作り進めていったんですか?

柿沼:最初に金井が「誰が為のレクイエム」と「LEMONADE」のデモを作ってきて、まずその2曲はやろうっていうことになったんですよ。

金井:これは『SLAM DUNK』の話になっちゃうんですけど──

柿沼:今日どうした?(笑)

金井:僕はそこで線引きをしたんですよ。最初にその2曲を持っていって、今回一番派手な曲が「誰が為のレクイエム」で、一番ポップスなのが「LEMONADE」っていう。それが、湘北対陵南のときだったかな。魚住が4ファウルをもらっていて、次にファウルをもらうと退場になっちゃうんだけど、ここまでは大丈夫だっていうシーンがあって。

柿沼:あったあった(笑)。「魚住は今、線を引いた」みたいな解説が入るところね。

金井:まあ、今回の曲の振れ幅はここからここまでOKだと。そこから曲を作っていくにあたって、これまでの作品とサイズ感は揃えたほうが気持ちいいから、7〜8曲にしようと。順番的にはまずその2曲があって、「高嶺の花のワルツ」と「the Last Song」は全然違ったアプローチで、全然違った魅力がある曲だと思ったから、先に4曲をレコーディングして。残りの3曲は他とのバランスで決めていきました。

──「誰が為のレクイエム」は、ヴェルディの『レクイエム「怒りの日」』を元にしていますね。

柿沼:「レクイエム」っていろんなところで流れているから、タイトルを知らなくても聴いたことがある人って多いじゃないですか。だから、金井がやりたいって言ったときに、僕はちょっとベタすぎるかもと思ったんです。でも、そのイメージを聞いて実際にやってみたら、ハードなところとクラシックの声のパートの相性がよくて、これを生で表現できたらめちゃめちゃおもしろいよなと思って。あと、ネタみたいな早弾きもあって、最初はこれ弾くの嫌だな〜って思ったんですけど(笑)、それこそ挑戦でしたね。



──歌詞はどう書き進めていったんですか?

金井:『Roclassick』の歌詞を書くときは、その曲についてとにかく調べるんですよ。どういう意図があったのか、どういう気持ちで作られたのか、どういうことがこの100年の間で起きたのか、とか。「誰が為のレクイエム」は、レクイエムって“鎮魂歌”って訳されるけど、それは間違っているという説があって。海外では教会で魂を葬送するときに、魂を沈めるのではなく、昇天させる。天に昇っていくのを見送るニュアンスなんだけど、日本語に訳すときにそうなっちゃったんですよね。“魂を鎮める曲”だと、ちょっと子守唄のような感じがあるけど、そういうアプローチではなく、魂を解放させる曲にしようと思って書いていきました。そっちのほうが捉え方としてもしっくりきたので。

──なるほど。その曲の逸話についてかなり調べるんですね。

金井:『Roclassick』シリーズって、僕の中では大喜利にするか、全うするかのどっちかなんですよ。どっちにするかは曲のシリアス度にもよるんですけど。ただ、“この曲でこういう思いを伝えたいんです”ってクラシックに乗って言われても(笑)、俺はそんなに響かないし、求められてないとも思うし、ここでそういうことをすべきではないと思っているので。それに、『Roclassick』の歌詞はおもしろいほうがいいって、周りも思っていると思うんですよね。そこはタイトルも含めて。

柿沼:僕、斉藤和義さんが大好きなんですけど、年末のフェスでお会いしたときに“すいません、聴いてください!”って『Roclassick』を渡したら、パっと裏を見て、“「走れエロス」……”って言ってくれて(笑)。そのときに、確かにこれって気になるよなって。改めて見ると、そういうタイトルが結構多いんですよね。

▲柿沼広也(G&Vo)

──ニヤっとしちゃうものが多いですよね。

柿沼:そういう意味では、めっちゃ大喜利してるというか。

金井:だから、これは俺の心の「IPPONグランプリ」なんですよ。

──ははははははは(笑)。確かにそうですね。

柿沼:俺らはそのタイトルになった過程を聞いていなかったりするから、訳がわからないことも結構あって。

金井:今回でいえば、「あなたの声で僕の名を呼んで」も、よくわからないだろうなと思っていて。この曲の元になっている「メヌエット」の語源って、フランス語で“小さい”という意味から来てるんですよ。でも、“小さい”で歌詞を書くの難しいなと思って(笑)。

柿沼:漠然としてるからね。バカっぽい曲だったら、下ネタとかでいけるかもしれないけど(笑)。

金井:で、「メヌエット」って、「バッハのメヌエット」として楽譜になっていたり、動画があがっていたりするんですけど、実は「(クリスティアン・)ペツォールトのメヌエット」だったことが最近わかったんですよ。だから、ペツォールトは“これは自分の曲だ”って気付いて欲しかっただろうなって。そういうところからこのタイトルにして、歌詞を書いたっていう。そうやって針の穴に無理やりねじ込むような書き方をしましたね。

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