【インタビュー】ヤユヨ「わたしたち、普通の大学生なんですよ」

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▲左からはな(B&Cho)、リコ(Vo&G)、ぺっぺ(G&Cho)

古き良きと語るには新鮮で、斬新な次世代と言うには懐かしさも孕んでいる。そんな不思議な魅力を放つのが、大阪発のガールズバンド、ヤユヨだ。2019年1月に高校の同級生で結成され、そこから僅か4ヶ月でインターネット上にアップされた「さよなら前夜」が注目を集め、晴れてこのたびmuffin discsのTALTOからミニアルバム『ヤユヨ』で全国デビューを果たす。6月に先行配信リリースされてから、そこにアコースティックバージョンの音源2曲を加えた待望のCDリリース。ふたりのソングライターの思考やポリシー、心境に迫りながら、ヤユヨというバンドの生態を探っていった。

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■わたしたち、普通の大学生なんですよ

──いろいろ過去のインタビューを拝見したのですが、リコさんはもともとヤユヨというバンド名をあんまり気に入っていなかったというエピソードに笑ってしまって。

リコ(Vo&G):(笑)。発案者のぺっぺがバンド名に込めた想いとかを理解できてないままだったので……。

──ぺっぺさんはなぜヤユヨというバンド名に?

ぺっぺ(G&Cho):まずガールズバンドっぽい名前にしたかったのと、あとは日本で活動していることに誇りを持っていることが伝わるバンド名にしたくて。それで“50音は日本人にしか思いつかないワードなんちゃうかな?”と思って、50音表を見たときにパッと目に入ったのが“ヤユヨ”やったんです。それでメンバーに提案したら、リコ以外からはいい反応をもらえて(笑)。

リコ:最初は“ちょっとダサくない? あとヤユヨって言いにくくない?“と思っちゃって(笑)。でも個人的に略されるバンド名は避けたかったので、短くてキャッチーでパッと目に付く名前がいいなとは思っていたんです。だからライブで“こんばんはヤユヨです”とあいさつをしたりしていくうちに、ヤユヨのメンバーである自覚も出てきましたし、名前に愛着も湧いてきました。

── “イロハ”や“アカサタナ”だとベタで古風になるけれど、“ヤユヨ”だと日本に根付いた要素とカタカナ単語感、あと文字の羅列というよりは名前っぽさがありますものね。ありそうでなかったチョイス。

ぺっぺ:フェスのタイテやライブハウスのフライヤーみたいな、バンド名がたくさん並んでいるところに紛れ込んでいてもすぐ見つけられるし、馴染みがあるぶん一瞬で覚えられるのもいいなって思ってますね。

▲ヤユヨ/『ヤユヨ』

──ヤユヨのメンバーは高校の同級生同士だそうですが、どんな高校生だったのでしょう?

リコ:ぺっぺは音楽が好きな子。朝絶対に教室でひとりでギターの練習をしてたり、軽音楽部でも誰よりも真面目に音楽に取り組んでいて。わたしは高校に入って初めてバンドに興味を持ったので、わたしが知っているバンドはだいたいぺっぺから教えてもらってます。

ぺっぺ:リコは高1の秋に軽音楽部に入ったんですよ。それまではただクラスが同じの子って関係やったんで“軽音楽部ちょっと入りたかってん”と言っているのも“あーそうなんやー”くらいに聞き流してたんです。でもあるとき“軽音でなにやりたいん?”と聞いてみたら“ボーカルとか歌う系がいい”と返されて……どんだけこの子自信あるん? めっちゃ自信あるやん!って(笑)。それで軽い気持ちで“歌ってみて”と頼んだら、リコが好きな……たぶんaikoさんの曲を歌ってくれたと思うんですけど、それがめっちゃくちゃうまくて、めっちゃいい声で、すぐ軽音部の入部を勧めたんです。“恥ずかしくて入られへん”とか言うてたけど無理矢理入部させました。

──もじもじしていたリコさんをぺっぺさんが引っ張ってきたと(笑)。その後軽音楽部で一緒に活動をして、高校を卒業するタイミングでぺっぺさんがリコさんをバンドに誘ったけれど、リコさんは最初それを断って、ぺっぺさんは同じく軽音楽部の部員だったベースのはなさん、サポートドラムのすーちゃんさんとバンドをやるようになるんですよね。

ぺっぺ:高校時代の気楽な関係で、わいわい集まって音楽をやっていた関係性の延長線上というか、“遊び程度でいいから気分転換でスタジオ入ろうよ”くらいの感じでした。ほんま、大学生の息抜きですね。

リコ:一度ぺっぺからのバンドの誘いを断ったけれど、やっぱりぺっぺとバンドが組みたくて相談をしてそこに入れてもらいました。高校時代から知っているから、どういう練習をしているか、どういう音楽を好きかもわかってるし、ヤユヨになる前から信頼関係があって。いまも安心してバンドをさせてもらってます。

──ちなみにはなさんはどんな方なんですか?

リコ:はなは優しくて、もそもそしてるというか……(笑)。弱そうなイメージがあるんですけど、頑固なところや真面目なところもあって。穏やかにメンバーをまとめてくれるリーダーです。

ぺっぺ:わたしがけっこう演奏に関して“もっとドラム見いや”とか“リズム全然合ってへん”とか“下向いてへんともっとお客さんのほう見んと”とか遠慮なくガツガツ言っちゃうんですけど、はなは内気なので、それを全部受け止めてすぐしゅんとなってしまう。でも意外とテキトーな部分も多くて(笑)、妹みたいだなって。

リコ:たしかにぺっぺとはなは姉妹みたい(笑)。

──ははは。どうやら3人ともキャラクターはばらばらのようで。

リコ&ぺっぺ:ほんとばらばらです(笑)。

──結成から4ヶ月で音楽プラットフォーム「Eggs」にアップした「さよなら前夜」が注目を集めましたが、当時の心境はいかがでしたか?



リコ:まずはうれしかったです。自分たちの作ったものがこんなに早くいろんな人に聴いてもらえるようになるとは思ってもみなかったし……アプリってすごい! でもこうやって聴いてもらえたことで、“うちらと同じように力を入れて活動してるバンドがこんなにおるんやな”と知って、本気で活動していく意識は強まりました。

ぺっぺ:「さよなら前夜」を作ったときからこの曲は絶対に届くっていう自信があったんです。だから徐々に聴いてもらえるようになって、“順調順調! よし!”と思ってましたね(笑)。次ももっといい曲作ろうって前向きに思ってました。

──そこからどんどん加速して、結成から1年半で全国デビューを迎えます。はたから見ればかなり上り調子ですが、そういう状況に立った人にしか生まれない感情もあるのかなと。

リコ:最初は正直怖かったです。基本的に自信がないので、前向きに捉えようとしてもちょっと後ろ向きになっちゃうところがあるんですよ。何年もライブを重ねてやっとデビューできた方々や、小さい頃からずっと楽器をやってきた方々と比べて、まだまだ実力もないし大丈夫かな……怖いな……って。でもそんな自分たちにこんな素敵な機会がいただけるなんて、本当にありがたい。自分でやると決めたことですし、見つけていただいたからには頑張ろう!って思っています。両極端な気持ちが混ざってますね。

ぺっぺ:けっこうポジティブな人間なわたしでも、デビューアルバムを作ったり、「さよなら前夜」の再生回数が急に上がったときは、メンバーに影響されてか“これうちら大丈夫かな……?”と不安になってきて(笑)。わたしたち、普通の大学生なんですよ。

──“普通の大学生”?

ぺっぺ:ずーっと音楽をしてきたとか、ずーっと“音楽頑張ろうね!”と言い合って下積みをしてきたんじゃなくて、普通に高校に行って、普通に大学受験して、普通に大学生活を送っていた4人がバンドを始めて、この1年間は普通の大学生としての生活と音楽活動の割合が1対1になって──そういう“うちら普通の大学生やのに”という混乱はありました。でも聴いてもらえてることは本当にうれしいし、YouTubeやTwitterで“ヤユヨ気になってる” “すごくいい!” “この曲めっちゃ好き”というコメントを見つけるたびにみんなでシェアして。そういうなかで“わたしたちバンドやってるんやな”と自覚してきました。変わっていく状況のなか、みんなで鼓舞しながら過ごしてきた1年間でした。

──ヤユヨの音楽がエネルギッシュだけど切なさや痛みを孕んでいる理由は、いまおっしゃっていただいたことと通ずるかもしれませんね。

リコ:あははは、たしかに(笑)。

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