【インタビュー】RAY「レゲエに引き込みたい」、J-POPとの架け橋目指す

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■歌の中で嘘はつきたくない

──話をアルバムに戻して。最後に入ってる「世界征服(仮)」って、これって(仮)のままですか。

RAY:仮のままですね(笑)。最初に書いた時に、歌の中で一番パワーのあるワードが「世界征服」やったんで、とりあえずそれをタイトルにしておいたんですけど。タイトルだけ見たら怖そうな曲じゃないですか。でもむちゃくちゃええ歌なんですよ。そのギャップというか、聴いてもらったらわかるんですけど、意味が分かると楽しいと思うんですよね。この曲、アルバムの中でもむちゃむちゃ好きなんですよ。

──ストーリーがあるじゃないですか。平凡な毎日や、子供のころからの生い立ちを振り返りながら、一番では“大人になるってちょっと退屈なんやな。”と言ってたのが、最後の最後に“大人になるってのも悪くはないよな。”になって終わる。そこがぐっとくるポイントで。

RAY:そこ、気づいてくれるのはうれしいです。これも774くんのオケなんですけど、何を書こうと思ったわけでもなく、オケに合ったまんま書きましたね。あ、でもね、映画の『20世紀少年』はちょっと想像しました。“帰り道、どこからかカレーの匂いがした”のくだりとか。なぜかわからないけど、オケを聴いたときに『20世紀少年』が浮かんだんですよね。一番はフォークとかポップスの感じで、二番はレゲエな感じで、歌詞も気に入ってます。

──RAYの歌詞は、基本的に人生を肯定しますね。いいことも悪いこともあるけど、今を生きていこう的な。

RAY:あんまり自分に自信がないんで、それを自分の曲で奮い立たせる感はありますね。ファンの子らも、引っ込み思案ぽい子が多いんですよ、僕が見る限り。はっちゃけてパリピ〜みたいな子は少なくて、だからそういう子には響くのかもしれないですね。「世界征服(仮)」とかは特にそうかなと思います。

──“平凡な毎日でもそれは幸せやって 思える心に感謝です”とか、ある意味レゲエらしくない、内省的な表現だけども。

RAY:俺がそういう奴なんで。そういう人に響く音楽を作ろうと思って作ってるわけじゃないんですけど、そうなってるみたいですね。歌の中で嘘はつきたくないんです。フィクションは有りですけど、嘘つくのは無し。だから「女の子をはべらかして」とかは絶対に歌わないです(笑)。でも、俺ができないことをやってる人はかっこいいと思いますね。音楽的にも人間的にも。

──「人と心」の、“マイナス思考ばかり先行 そんな自分が嫌になる傾向”とかもそうだけど。それはRAYの永遠のテーマですね、ネガティブ志向からの脱却というのは。

RAY:そうですね。僕、1stアルバムが『ポガティブ』っていうんですけど、ポジティブってネガティブありきだと思ってるんで、ネガティブありきの歌が多いですね。ポジティブだけを歌う人も多いですけど、それになじまない人もいると思うし、そういう人たちの星になれたらという感じです。音楽って、人を元気にするもんやと思うんですよ。音を楽しむ、なんで。でも僕は、人を考えさせる音楽も好きなんです。レゲエの陽気なイメージとは重ならないと思うんですけど、レゲエも知っていけばそんな曲はむちゃくちゃあるんですよ。今後はそういう部分も出していけたらと思います。


──あんまりレゲエ詳しくない人も、ウェルカムな音楽なので。みなさんぜひここから。

RAY:そうですね。僕的に気に入ってるのは3曲目から4曲目の流れです。「卒業の歌、友達の歌。」が平成の歌で、「JUMP UP」の最初の歌詞では“時代は変わって令和から 盛り上げにきたRAYがまた”と言ってて。ガラッと曲調も変わるんで、アルバムとしてのストーリー性がそこにできてるんですよ。

──アルバムってそういう楽しみができるから、いいですよね。

RAY:だからCD買ってくれる人はほんまありがたいなと思いますよね。曲間にもこだわって、「あと1秒早くですね」とか、そこの間ってダウンロードじゃ伝わらないんで。そこの空気も含めてアルバムなんで、CD買ってほしいですね。ライブの入ったDVDも付いてるし。ライブ映像は、まだ世に出てないんですよ。

──ライブ映像は…おー、12曲も入ってる。しかもミュージックビデオも7曲。

RAY:DVDの規格でぎりぎりいっぱいやったらしいです。

──それで税抜き3500円。安い。買いましょうみなさん。

RAY:買ってほしいです(笑)。最近YouTubeチャンネルを立ち上げたんですけど、そこでもライブ映像を何個か小出しにしていこうかと思っているので、YouTubeのほうもチェックしてほしいです。まだMVしか挙げてなくて、企画はやってないんですけど、ほかのチャンネルではドッキリを仕掛けられることが多いので、今度は俺のチャンネルで誰かに仕掛けようかなと思います(笑)。そんなのもやっていくんで、『シンガーレイのチャンネル』をチェックしてほしいです。

──今ちょっと、ライブが難しい状況ですけどね。再開できたら、みなさんぜひライブへ。

RAY:来てほしいです。でもそれこそYouTubeでレゲエを調べる人が増えれば、それだけでもいいかなと思ってるんです。レゲエの一番の入口って、湘南乃風さんやと思うんですよ。あと、三木道山さんとか、MINMIさんとか。おそれ多いですけど、あれぐらいの入口になれればなと思ってます。ちょっとタイプは違いますけどね、僕はしっとり系なんで。今回のアルバムも最初の3曲とケツの3曲は、むっちゃしっとりで、夏っぽいのは間の曲だけなんですよね。実は僕、夏が好きじゃないんです(笑)。

──あはは。爆弾発言だ(笑)。そういうところは本当に独特だし、そもそも、アコギで弾き語りもやるレゲエマンってあんまりいないというか、いないでしょう。

RAY:ほぼいてないですね。楽器弾けるという人がまず少ないんで。ただ僕も、アコースティックライブの時はレゲエのリズムではあんまりやらないです。ジャカジャカ弾いて歌ってます。アコースティックライブは楽しいですね。基本は音源をかけて、クラブで歌うのがメインですけど、クラブは30歳超えたら来にくい空気とかあるじゃないですか。そういう人らもアコースティックライブは来れるんで、僕の中では強みになってますね。

取材・文◎宮本英夫



3rd Full Album『オーバーレイ』

2020年8月26日(水)発売
■初回限定盤(CD+DVD)
VIZL-1784 ¥3,500+tax
■通常盤(CD)
VICL-65408 ¥2,700+tax

[CD]
1.My melody
2.癒し(Album Version)
3.卒業の歌、友達の歌。
4.JUMP UP
5.MOVING
6.騒ぎな feat HISATOMI
7.無我夢中 feat APOLLO
8.夢の中
9.人と心
10.世界征服(仮)

[DVD]
―Music Clips―
1.人間(Music Video / A Version In Raw-Resolution)
2.アイライフ(Music Video)
3.鼻歌(Music Video)
4.I&I(Music Video)
5.人と心(Music Video)
6.卒業の歌、友達の歌。(Music Video)
7.癒し(Music Video)
8.LIVE FILM レイシング RELEASE TOUR FINAL in BIG CAT

―Live Films―(Shot at BIG CAT on 2018.4.13)
※すべてLIVE RECORDING
1.レイシング
2.Yu Know mi
3.遊び
4.どんどん
5.DEH YAH
6.NIGHT PLAYER
7.人と心
8.621
9.鼻歌
10.MC with HISATOMI
11.RIDDIUM JACK feat. HISATOMI
11.この音が
12.アイライフ

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