ルクレシア・ダルト、9月リリースの新作ALからの先行2nd EP「Seca」リリース&MV公開

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コロンビア出身で現在はドイツはベルリンをベースに活動しているエクスペリメンタル・アーティスト、ルクレシア・ダルトが2020年9月11日にリリースするニュー・アルバム『No era sólida』からの先行セカンド・シングルとなる「Seca」がリリースされた。またスペインの振付師キャンデラ・キャプテン、映像ディレクターのペドロ・マイアとコラボレートしたアーティスティックなMVを公開した。

◆ルクレシア・ダルト 関連動画&画像


Pitchforkで8.0点の高得点を獲得し、各所で高い評価を得た前作『Anticlines』は、地質工学エンジニアでもある自身の仕事に触発されたものだったが、新しいアルバムは“リア”という架空のキャラクターを中心に描かれている。本作ではダルトは媒介者となり、懸濁状態の中で現象的な世界と表象的な世界の間でダルトとリアが出会う取調室という設定だそう。それぞれの曲はリアが経験した異なる状態を識別し、Disuelta(“溶解した”)で始まり、Seca(“乾燥した”)、Ser boca(“口になる”)、Espesa(“濃厚”)などの曲を通して変化していく。曲が進むにつれて、架空の人物リアは原始的で感覚的な状態から、Revuelta(反乱)やEndiendo(理解する)のような感覚的で活動的な状態へと変化していくように見える。ダルトが休眠していた存在を生命の中に呼び覚まし、育てるように、これらの移行はそのプロセスを示唆している……という凝った内容だ。

そして最後のタイトル・トラックに到達したとき、呪縛は解かれ、リアは話すことができるようになり、ダルトは母国語のスペイン語で、リアが彼女に投げかけた質問を声にする。“麻痺は人を物に変えることができるのか?”。禁断の存在は、自分の存在と新たに発見された感覚のニュアンスを叙情的に弄び、結晶のようなメロディと、シリンダーの上の埃のように静寂をかき分けていく。リアのパンスペルミア説(生命の起源に関する仮説のひとつ)に対する詩的な考察は、どこか他のエーテルから来た彼女の出自を反映しており、音を媒介とした生命体としてのリアの本質は、創造者ルクレシア・ダルトの探求的な本能の中に具現化されている。

潜在意識のざわめき、宇宙振動、予測不可能なパーカッションに導かれた浮遊感のある幻聴によって構成されており、テープ・ディレイでのハーモニック・ディストーションの新しい試みと、ダルトのパーカッションとパルスの抽象化の継続によって、このアルバムのサウンドは構築されている。ミニマルで不穏なサウンドのコラージュに幽玄なボーカルが溶け込みながら感覚を麻痺させるような世界観に引き込んでいく……それはまるでグルーパー(リズ・ハリスのプロジェクト)とジュリア・ホルターがジョイ・ディヴィジョンをバックに静謐なセッションをしているかのようなミステリアスなサウンドで、摩訶不思議な中毒性は唯一無二のアルバムと言えるだろう。


『No era sólida』

2020年9月11日(金)リリース
PLANCHA / RVNG Intl.
ARTPL-136 2,000 yen + 税
※日本独自CD化
※ボーナス・トラック1曲収録
※解説:天井潤之介

■TRACK LIST:
01. Disuelta
02. Seca
03. Coatlicue S.
04. Ser boca
05. Espesa
06. Di
07. Suprema
08. Revuelta
09. Endiendo
10. No era sólida
11. Ná (Bonus Track)

◆ルクレシア・ダルト オフィシャルサイト
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