【インタビュー】安達勇人、地元茨城から届けるエール「もっと夢を」

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国内外でライブを行うアーティストであり、数々の舞台を経験してきた俳優であり、声優としても活躍している安達勇人。茨城県出身の彼は“いばらき大使”としての顔も持ち、茨城を盛り上げるべく、柔軟な発想と抜群の行動力で日々精力的な活動を続けている。茨城では圧倒的な知名度を誇る彼はどうしてそこまで地域に密着し、茨城の活性化にこだわるのか。エンタメの世界を夢見た子供の頃のエピソードから、数万人規模での開催を目標としている町おこしフェスにかける思い、そして最新作『ONEWAY』についてじっくりと語ってくれた。

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■諦めずに目指して欲しい

──今回は3rdアルバム『ONEWAY』がリリースされるということで取材をさせていただくのですが、まずは安達勇人って何者!?というところを伺えればと思いまして。

安達:僕は今32歳で、声優、俳優、アーティスト、そしていばらき大使をやっています。地域密着を大切にして茨城県を中心に活動しているんですが、毎年日本だけでなく海外でもツアーを開催して、ファイナルは必ず茨城県の大きなホールなどでやらせてもらっています。また、茨城をもっと活性化させたい、茨城に僕のワールドを作りたいという思いから、4年前に「ADACHI HOUSE」という名前のプロジェクトを立ち上げました。数年後に数万人規模の町おこしフェスを開催するためなんですが、そこに向けて茨城県笠間市で大好きなファッションのブランドを立ち上げ、「ADACHI HOUSE CAFE」や「ADACHI HOUSE農園」なども展開しています。

──先日、JA水郷つくば大使に就任されたというニュースもありましたね。

安達:はい。農業関係もどんどん充実させていこうということで就任させていただいたんですが、その町おこしフェスに向けて、また農業を通して何か町おこしのためのエンタメが作っていけないかなということで、JAと一緒にADACHI HOUSE村を作ろうという動きも始まっています。

──そういった一連の展開の真ん中に、安達さんのアーティスト活動があると。

安達:そうなんです。ライブがない日でも、普段の生活の中でADACHI HOUSEとか町のいろんなものに触れながら茨城の魅力を感じてもらえたらと思って。今後は笠間焼(国指定伝統的工芸品)とコラボした陶器とか、笠間稲荷神社の御朱印帳を作れたらとか、そういうことも実現できたらいいなと思っているところです。

──今日の取材もそうですが、いわゆるマネージャー的な立場の方はいらっしゃらず、おひとりで動かれているんですよね。

安達:はい。一応去年、株式会社ADACHI HOUSEとして会社を立ち上げたんですが、スタッフは誰もいないんです。でも、先日やったLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演も、年末年始にやるZeppツアーも、これまでのいろんな繋がりから150人ぐらいの方がスタッフとして動いてくれています。本当に、みんなのおかげなんです。



ライブ写真:2020年11月15日(日)東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演より

──安達さんがこんな風に夢を抱いて動き出したのは、何かきっかけがあったんですか?

安達:僕は18歳の時にスカウトされて、『Fine』という雑誌のモデルとしてデビューしたんです。もともと役者をやってみたいとかいろんな憧れもあったんですが、やっぱり田舎ですから、そういうことを言うと笑われてしまうんですよ。オーディション雑誌を買うのも恥ずかしい。東京ならまだしも、茨城のど田舎で芸能なんてもう夢の世界みたいな感じだったから。こんな田舎じゃ絶対に無理、出来るわけないって散々言われて、悔しくて泣きました。でも僕は、10年後にこの環境を絶対に変えてみせると。絶対にいばらき大使になるってその時に決めて、実際10年後になることが出来たんです。

──有言実行ですね。

安達:どうしてこんなに地域密着で茨城県に拘っているのか、僕の真髄はそこなんです。茨城県で暮らしている子供達とか、夢を持っている人達にもっと夢を見てほしい。諦めずに目指して欲しいって、その気持ちがあるんです。自分がそうだったから。田舎にいても芸能やっていいんだよ、夢見ていいんだよってことを伝えたいし、そのためにも、茨城にいたってエンタメ作れるよ、すごいもの見ること出来るよ、こういうやり方もあるんだよっていうのを、見せられたらなって思っているんです。そしてひとつのモデルとなれれば、そこを目指す人達もやりやすくなるんじゃないかなと思って。

──自分自身の根っこに紐づいた動機だったんですね。

安達:夢は叶えていかないと、僕自身も納得出来ないんですよ。そうじゃないと、ファンの方や応援してくれている方々も夢を見られなくなりますからね。それに、口で語るのは簡単だけど、目に見える形にして初めて人ってついて行こうって思うものだと思うし、何より、この人本当に叶えたんだなって思うじゃないですか。

──それ以上の説得力はないですよね。でもここに至るまでにはきっと、とんとん拍子だったわけではないんでしょうね。

安達:両親も応援はしてくれていたんですが、「大学を卒業したら就職どうする?市役所?」みたいな(笑)。

──それはそれ、これはこれだと。

安達:はい(笑)。でも僕はその頃ちょうど美輪明宏さんの舞台で全国を回っていて、いろんな教えをいただいたんですね。芸能って素敵だなという気持ちもどんどん高まってはいたんですが、まだ(僕の存在は)茨城の人達には浸透していない。どうしたら両親が納得してくれるんだろうと考えて、芸能ではなく、笠間観光大使というのに応募したんです。普通に履歴書を書いて。それまで女性の方がほとんどだったんですが、ちょうど「ハンカチ王子」以降の盛り上がりもあってか、山口市長が「この子、面白いね」と。そこから3年間やらせていただきました。

──すごい発想と行動力ですね。

安達:その後初めてのミュージカル<忍たま乱太郎>で善法寺伊作という役をいただき、座長として公演をやらせてもらったんですが、そこで初めて全国にファンが広がって。そこからいろんな人気舞台やミュージカルに出ることになり、その流れで声優業にも挑戦することになったんです。その中でたまたまメインに抜擢していただいたのが『アクエリオンロゴス』で、その後も『ALL OUT!!』など主役級のお仕事が続いていきました。

──で、2017年にはADACHI HOUSEのプロジェクトがスタートして。

安達:そうです。その年に笠間特別観光大使に任命されて、次の年には、県のほうからいばらき大使にというお話をいただきました。先ほどもお話ししましたけど、ここまで10年かかりました。東京では全然ですが、茨城ではおじいちゃんおばあちゃんから子供達までいろんな人が声をかけてくれるんですよ。今NHKの『いば6』という番組に出ているので、その影響力も大きいですね。茨城のみんなに支えられているなって実感しています。ちなみに僕、例えば日本武道館に立ちたいとか、アリーナでやりたいとか、そういうのはあまり興味がないんですよ。もちろん根本には、手伝ってくださっているスタッフさんにそういう景色を見せたいという気持ちはあるんですけどね。それよりもどれだけ茨城を盛り上げることが出来るかが大事なんです。

──なるほど。

安達:あの大泉洋さんも最初は、全国では知られていなかったけど北海道では知らない人がいないっていう存在だったじゃないですか。僕も、茨城の大泉洋さんになれたらいいなと思っていて。

──大泉洋さんの地元愛もアツいですからね。

安達:そうなんですよ。全国区になるのは後々でもいいし、茨城が盛り上がってくれたらそれで全然いい。僕の場合は全部人と人とが繋いでくれていて、その出会いと運と皆さんの思いで活動出来ているんですよね。嬉しいことに最近は市長さんも会いにきてくれて、いろんな相談をいただいたりするんです。なかなかないですよ、こんな変なヤツですから(笑)。でもいろんな市町村の方が「今度のイベントはどんな感じがいいかな」って相談してくださったりして、だからこそ地域密着、全市町村と手を組んでいろんなことをやっていきたいんですよね。ファンが1人もいない時から僕は茨城県に支えられてきたから、その恩返しという気持ちでもあります。


──そんな中、先日嬉しい発表もされたんですよね。

安達:はい。来年<ADACHI HOUSE FESTIVAL 2021>と題して、笠間で3日間フェスをするんです。最後は、花火を上げようと思っているんですよ。コロナで難しい部分もあるとは思うんですが、上を向くきっかけというか何か起爆剤になればということで、背水の陣で挑もうと思っているところです。僕らの活動は、町とか県、仲間のために。仲間や県の方々は、ADACHI HOUSEや僕のために動いてくださっている。この2つが交わった時に、最大の町おこしフェスが出来るんじゃないかなと思っているんですよね。

──先ほども話に出ましたが、こういったアーティスト活動を通していろんなメディアに露出したり、海外ツアーをしたりすることが、結果的に茨城の活性化、エンタメの充実に繋がっていくわけで。

安達:そうなんです。今年は行けませんでしたが、これまで台湾、上海、香港、韓国、タイ、シンガポールに行っているんですね。そんなに大きな規模ではないですが、それでも待ってくれている方がいて、しかもツアーファイナルを茨城でやるとなると、各国から20人ずつくらいは来てくれるんですよ。

──きっとその逆もあるでしょうから、それは嬉しいですね。

安達:本当に嬉しいんです。僕のライブでインバウンドとアウトバウンド、老若男女が一緒になって、その国の魅力や日本の魅力、茨城の魅力を知るきっかけになるってすごく嬉しい。もっと大きくなったら、茨城空港とか、いろんなタイアップで行けるんですけどね。

──空港まで!

安達:茨城空港さんも、すごく応援してくださっているんです。来年のフェスは何らかの形で提携を組もうかなと考えているんですけど。

──さっきの説得力の話じゃないですが、安達さんはこうやってひとつひとつ実現させていくんですね。

安達:やっぱり僕の中に有言実行という信念がありますから、叶わないことは絶対に言わないです。叶える自信があることは、必ず言います。今までもそうだったように、今言っていることは2年後の僕がやっていることで、それが毎年の自信になっているんです。それが止まった時は、僕が引退する時だなと思っているんですよ。それまではいろんなことを叶え続ける。それが僕のポリシーです。

──ちょっと変な質問ですが、1日24時間で足りてます(笑)?

安達:僕、趣味=ADACHI HOUSEみたいなもんですから(笑)。毎日がこんなに楽しくていいのかなっていうくらいですよ。もちろん大変な時もありますけど、いろんなことが趣味化しながらどんどん創作出来ているような感じですからね。意外と休まなくてもやっていけている気がします。

──夢の力ってすごいですね。

安達:本当にそう思います。僕の楽曲に「夢」という曲があるんですが、結構正直な歌詞で。



──ご自身で作詞された曲ですね。

安達:はい。僕は常に等身大というか、ステージに立ってもこのままなんですよ。たまに照明でキラキラッとさせてもらいますけど(笑)、全然キラキラしてない。

──気負わずに臨んでいるから、何事も楽しめるんですね。

安達:だと思います。結局、それが親しみやすさなどに繋がっているのかなとも思いますし。

──当たり前かもしれませんが、ご自分のことをすごく冷静に見ていらっしゃるんですね。

安達:やっぱりいろんなことを具現化していく中で、自分のことも、全体的なことも、客観的というか冷静に見渡さないとダメだなって思うので。固執してしまうと、見えなくなったりするものもありますからね。

──30代になって、考え方や物の見方に変化が生まれたりもしました?

安達:例えば県の方とお話をする時も、これまでのように「頑張れよ」じゃなくて「頑張りましょう」になったことで、責任感みたいなものもより感じるようになりました。後は背負っているもの──皆さんからの期待もそうだし、チームとして支えながら動いてくださっている方々の思いって言うんですかね。今日もこの後Zeppツアーの打ち合わせをするんですが、セトリを決める時もみんなアツいんですよ。もちろん皆さん素晴らしいプロの方なんですけど、仕事仕事していないというか。

──愛があるんですね。

安達:ちょっと話が逸れてしまうかもしれないんですが、僕、幼稚園の頃から高校3年生までずっと剣道をやっていたんですね。高校に入る頃はビリだったんですが、渡辺謙さんが出演された『ラスト サムライ』という映画を観て刺激を受け、いろいろ頑張ってやっとレギュラーになって、全国大会で優勝することが出来たんです。今僕がやっていることにも通じるところがあるなと思っていて、例えば経歴とか経験、肩書きみたいなものを気にせず、それに頼らないで、「人間・安達勇人」として仲間やファンを増やしていきたいなという思いがあるんです。

──なるほど。

安達:それこそ武士じゃないですが、刀一本持って突き進んで行く。鉄砲があろうと、いろんなものが飛んで来ようと、それには負けない仲間がいて愛がある。そこだけ大切に背負って行けば、「何でこんなことが出来るんだ!?」って、人がびっくりするようなところまで行けるんじゃないかって思うんですよ。普通の事務所とか普通のやり方じゃ出来ないものが、生まれてくるんじゃないかなって。

──それがすでに、現在の茨城での展開ですね。

安達:はい。それがもっと説得力のある万人のフェスになった時に、来てくれたお客さんも、出てくれたアーティストの人達も、スタッフのみんなも、参加してくれた地域の人達も、みんながひとつに繋がるっていう本来の楽しみ方みたいなものを、安達勇人から音楽業界へのアプローチとして提示出来たらいいなと思うんです。舞台と同じだと思うんですよ。スタッフがいて、ひとりひとりの出演者がいて、アンサンブルがいるからこそ主役が生まれるっていう中で、ひとつの作品が作られていく。茨城の人達は輪を大事にしますから、そういうものを大切にこれからも進んでいきたいなって思っています。

──安達さんのその思いが、みんなの心を動かしているんですね。

安達:ありがたいです。ちなみにこれは県内のCDショップの話なんですけど、12月からの売り出しが、LiSA、NiziU、安達勇人なんですよ(笑)。売り上げは全然違うのに同じくらいの展開をして頂いてて、だからこそ恩返しをしなきゃなって。地元から「あぁ、安達勇人知ってるよ」「前から世話してるんだよ」って、自分のことのように誇りに思ってもらえるような存在になりたいし、そう思ってもらえる人をどんどん増やしたいんですよね。それが一番の恩返しかなと思うので。

──そのために、有言実行で突き進んで行くと。

安達:僕、叶うも叶わないも、やるかやらないかだと思うんですよね。ADACHI HOUSEって常に新雪を滑るようなもので、盛大に転ぶこともあるけど(笑)、自分が滑ったところにコースが出来て、その先で誰も見たことのない景色を見ることが出来るんです。その喜びを知ってしまったら、もう勝るものはないというか(笑)。もちろん怖いと思う気持ちもあるけど、それを乗り越えて誰かがやらないと何も変わらない。僕は、僕にしか行けない道をアクセル踏んで突き進んでいる感じですね。

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