【インタビュー】OHTORA、1stアルバム『EMPTIE LAND』に昇華させた目まぐるしい変化の日々

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昨年末から配信でのリリースがスタートしたOHTORAの「ツレナイズム」。年が明けるとすぐに台湾のSpotifyバイラルチャートで1位を獲得し、その後も上位にランクインし続けるという好アクションを記録してきたのだが、3月に発表された初のアルバム『EMPTIE LAND』もまた、アジア圏内での人気を確かなものにしているようだ。R&Bやファンク、シティ・ポップなどを落とし込んだ上質なソングライティングで、国内外のリスナーを魅了しているOHTORA。今回は最新作『EMPTIE LAND』の制作エピソードを中心に、「目まぐるしく変化している」と語る自身の音楽観などを聞いた。

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■今自分が作りたいものを、貪欲に作る

――アルバム『EMPTIE LAND』の配信が始まって1ヶ月ほど経ちますね。

OHTORA:そうですね。僕にとっては人生で初めてのアルバムを出せましたから、すごく嬉しく思っています。自分が今やりたいこと、好きなことを詰め込んだアルバムになりました。

――今はシングルとかアルバムとかあまり気にせず「曲」として聴く人が多いような気がするんですが、やはりアルバムという形で出したいと思っていたんですか?

OHTORA:出したかったです。僕自身幼い頃からCDをたくさん買っていて、シングルよりもアルバムって感じだったんですね。それに、自分が気になっているアーティストとかを考えても、やっぱりシングルよりはアルバムの方が特別感あるなって思うから。とはいえ、自分がこんなに早く出せるとは思ってませんでした(笑)。「アルバム、出そう!」って言われて、「出したいです!」ってことで新しい曲をいくつか作ってそれをまとめたんですけど、制作はめちゃくちゃ楽しかったです。

▲OHTORA/『EMPTIE LAND』

――いつぐらいからアルバムに向けての作業をしていたんですか?

OHTORA:いつだったかな?たしか、リリースの2ヶ月ぐらい前だったと思います。作り溜めていた曲があったから、新しい曲を2〜3曲作れば出せるみたいな状態だったので。

――すごいスピード感なんですね!

スタッフ:インディーズだと特に早いですよね。CDではないので、曲が揃えば1週間後にはリリース出来るくらいのスピード感で出来ますから。思いついたら、その1〜2ヶ月後にはリリース出来るぐらいの感じで今はいけますね。

――なるほど。ちなみにCDをよく買っていたというOHTORAさんが初めて手にしたCDは何だったんですか?

OHTORA:最初はシングルだったんですけど、SMAPの「freebird」でした。小さい頃はジャニーズとか、アイドルが好きだったんです。結構、CDとかは親が「買っていいよ」って言ってくれる家だったんですけど、近くの本屋に行くと父は本を読むのが好きだから本のコーナーにいて、僕はひとりでCDのコーナーに行って、いろいろ探ったりしながら買ってもらうっていうのが定番でした。月に2〜3枚はアルバムを買っていたような気がします。

――前回のインタビューでは、好きなアーティストとして高橋真梨子さんやジェームス・ブラウン、チャイルディッシュ・ガンビーノなどの名前が上がっていましたが、それだけでなくもっとたくさんの音楽がOHTORAさんの血となり肉となってきたわけですね。

OHTORA:だと思います。ジャンルもバラバラだったし、本当にいろいろ聴いていましたので。

――その後自分で曲を作るようになり、「ドラウニングヒル」をはじめとするOHTORAさんの楽曲は海外からも注目されるようになりました。アルバムもリリースされてますます注目度が上がっている状況だと思いますが、ご自身の音楽観について、変化した部分や変わらない部分などがあったりしますか?

OHTORA:今は本当に目まぐるしく、自分の中で変化していっている時期だと思います。たまたま僕は今チルポップが好きだからそういった曲ばかり作ってますけど、これから先はまた違うジャンルもバーッと作っていくだろうし、そうやってこの先も曲作りは続いていくんだろうなって思っていて。ひとつのジャンルだけに絞ってやっていくことはたぶん今後もないと思うんですが、R&Bを極めたいというのはずっとあるので、そのR&B色が聴いて一瞬で伝わるような曲作りはしていきたいなと思っています。


――そのあたりのモードが、今回のアルバムにも反映されているということでしょうか。

OHTORA:今回『EMPTIE LAND』というタイトルをつけたんですが、直訳すると「乾いた場所」。つまり潤いを欲しているという状況をタイトルにしたかったんです。今自分が作りたいものを、貪欲に作るという意味を込めて。だからすごく、アルバムとしてジャンルレスになっていますよね。「After Summer」だったら結構R&B色が強いし、「ツレナイズム」は完全にチルポップだし。

――今回はかなり初期の楽曲も収録されていますよね。

OHTORA:最初に作ったのは「In My Videotapes」で、2年半前くらいかな。当初は僕自身、サウンド的にまだ甘いなと感じる部分があったんですね。でも(現在所属している)ササクレクトの方が「すごくいい」と褒めてくれたことで初めて「そうか、この曲いいんだ」と思い(笑)、今回アルバムに入れようということになりました。そこから「After Summer」があって、ササクレクトに所属してからリリースした曲が「ドラウニングヒル」、「ドラマティックス」、「BYAKUYA」、「ツレナイズム」、「ロンリーロンリー」。新曲としては「Utopia」、「アイリーアイ」、「Silly Love」の3曲になりますね。

――新曲は全て最近作ったものなんですか?

OHTORA:「Utopia」と「Silly Love」は、アルバムのリリースが決まってから作りました。「アイリーアイ」は結構前に作ってましたね。今回のアルバムに関してはいわゆるバランスとか全然考えていなくて、ちょっとチルポップが好きな時期だからふんだんに詰め込みたいなみたいなところがあったんです。だから、「Utopia」はチルポップの王道みたいな曲だと思うし、「アイリーアイ」もそんな感じ。いい曲出来たな、好きな曲だなと思ったから入れたので、ジャンルレスではあるけどバランスとかは特に気にしませんでした。

――「Silly Love」についてはいかがですか?

OHTORA:「Silly Love」は今回のアルバムの先行曲としてもリリースしたんですが、これはレーベルメイトのmaeshima soshiくんがプロデュースしてくれた曲で。サウンド的には、すごく今っぽい感じのR&B曲になっています。MVは以前から一緒に映像を作ってくれているナリタくん(Yuki Narita)に今回もお願いしたんですが、お洒落なんだけどちょっと尖った感じのモーションが使われていたりして、すごく見応えがあるものになりました。


――すごくプライベート感があるのにしっかりとした映像作品になっていて、思わず引き込まれるようなMVでした。

OHTORA:たぶん僕とナリタくんの距離感だからこそ、ああいう感じが出るのかなと思います。やっぱり映像も表現の上では欠かせないものだと思うので、ぜひ見てもらえたらなと思います。

――今回は全10曲が収録されていますが、ご自身の中で時間の経過みたいなものも感じますか?

OHTORA:感じますね(笑)。「In My Videotapes」なんかは「ここ、何でこんな歌い方しているんだろう」って自分の中ですごい恥ずかしくなる感じが(笑)。ラップも、録音するのはその時が初めてだったから、全然出来てないなあって。でもこれも全部、僕の音楽なので。はい(笑)。

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