【インタビュー】大久保伸隆、Something ELseでのデビューから25年。ソロ4thアルバムを語る「考えたのは“時間”」

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大久保伸隆が5月16日、4thアルバム『Time』をリリースした。定期開催しているワンマン<FlightNightParty>で披露されてきたCD未収録曲から5曲、10年以上前から歌い続けてきた斉藤和義「歌うたいのバラッド」のカバー、このアルバムのために書き下ろした「未来」といった楽曲群は、ライブで培ってきたものに昨年完成した新曲を加えた全7曲で構成されている。

◆大久保伸隆 画像 / 動画

25年の時を超えて、その声は柔らかく澄んで、切なさと儚さを含み、今もなお瑞々しいままだ。大久保伸隆の4thアルバム『Time』は、SomethingELseのボーカリストとしてのデビューから25周年を飾る作品であり、コロナ禍の時代に確かに響く希望の音色でもある。その長いキャリアについて、音楽ルーツについて、そして新作『Time』について。どんな時も常にシンプルでまっすぐな、静かな力に満ちた大久保伸隆の言葉に耳を傾けよう。

   ◆   ◆   ◆

■ようやくここまで来たな
■という気持ちが強いです

──25周年おめでとうございます。

大久保:ありがとうございます。バンド(SomethingELse)のデビューが1996年10月なので、音楽活動を始めて25周年になりますね。

──月並みな質問ですが、時の流れをどう感じますか。

大久保:どちらかというと、長いですかね。あっという間、という感じはしないです。“ようやくここまで来たな”という気持ちが強いです。

▲大久保伸隆

──その間に、何度かのターニングポイントがあったと思います。

大久保:やっぱり、バンドを解散してソロになった時が一番大きいです。環境も変わるし、音楽のスタイルも多少変化しましたし。バンドの時は、“コーラスワークとアコースティックサウンド”というものを大事にしてやってきたので、ソロになってからは、見せるところが変わるというか、いろいろ考えるところはありましたね。

──あらためて。大久保さんの音楽的ルーツを教えてもらえますか。

大久保:最初に楽器を手にしたのが、アコースティックギターなんですね。高校生の時に、幼なじみの友人の家に遊びに行ったらギターがあって、そこで初めてギターを触らせてもらったのがきっかけです。彼は長渕剛さんが大好きで、僕も練習したんですけど、その後はアコースティックサウンドのアーティストを意識して聴くようになって、サイモン&ガーファンクル、オーリアンズ、キャロル・キングとか、古いところだとエヴァリー・ブラザーズとか、そのへんを聴いてましたね。ただ、さかのぼると、小学校4年生の頃からスティーヴィー・ワンダーが好きだったんですよ。

──それは早いですね。

大久保:母親が聴いているラジオを僕も聴いていて、スティーヴィー・ワンダーの「I Just Called To Say I Love You」(邦題:心の愛)がすごく好きで。英語で何を言ってるかわからないけど、「いいメロディだな。歌がうまいな」と思って、カセットテープで録音して、ずーっと聴いてました。5つ離れた姉がいるんですけど、姉のカセットテープを拝借して、そこに入っていたシンディ・ローパーの「Girls Just Want To Have Fun」とか、大好きでしたね。紙に歌詞を書いて、カタカナ英語で覚えて歌ってました。さかのぼると、そこなんですよね。ジャンルに関わらず、“好き”と思ったものはポップスもロックもブラックも何でも聴きます。

──良い意味で、雑食性というか。

大久保:そうです。年代にとらわれず、自分の好きなものを聴いていた感じですね。インコグニートも聴くし、キザイア・ジョーンズも聴くし、ハービー・ハンコックも好きだし、「これいいよ」と勧められたものも聴くし。そんな感じでした。

▲大久保伸隆

──バンドでデビューした1996年は、小室サウンド全盛で、ミスチルやスピッツがヒット曲を連発して。J-POP界にはキャッチーな押しの強い曲が多かった印象があります。

大久保:バンドでやっていた時は、自分たちの持ち味であるコーラスワークとアコースティックサウンドを主にしてやっていたので。当時の音楽シーンを横目で見つつ、自分たちのやりたいことを探しながらやっていましたね。その時はいろんな人が関わっていて、ビジネスも意識しなきゃいけなかったんですけど、自分たちの表現したいものとバランスを取りながらやっていました。

──そして、2007年にソロ活動をスタート。ソロになってから、まず何をやろうとしましたか。

大久保:バンドでもずっとライブをやってきたので、まずは定期的にワンマンライブをスタートさせました。ただソロになってからは、バンドの曲はしばらく歌わないようにしようと思っていましたね。“歌いたくない”ということではなくて、バンドから応援してくれている人たちの気持ち的に、“今はまだ聴けない”みたいなことを察していたので。少し時間をおいて、ソロでの新曲を作りつつ、自分の好きなカバーをセットリストに入れたりしながら、スタートさせていきましたね。

──ちなみに、どんなカバーを?

大久保:えーっと、何やったっけな? キャロル・キングとか、ビートルズとか、洋楽が多かったです。最初はマニアックなものをやりすぎて、お客さんがついてこれなくて、もうちょっとメジャーなものをやったりとか(笑)。そこから邦楽のカバーもやりつつ、オリジナル曲が増えてからはオリジナルが中心になりました。


──今回のアルバムで、斉藤和義「歌うたいのバラッド」をカバーしてますよね。

大久保:ライブでは10年前ぐらいから歌っているんですけど、原曲よりもバラード調にして歌ったら面白いんじゃないかな?と思って、やってみたら、お客さんがすごく喜んでくれたので、時々歌わさせてもらっていて。いつかCDに入れたいと思っていたので、このタイミングで収録しました。

──2013年の前作『progress』では、バンド時代の楽曲をセルフカバーしましたよね。

大久保:あれは、お世話になっている人からの提案があって、入れたという経緯があるんですね。僕も“いいんじゃないかな”と思ったので、3枚組という形にして、何曲か入れました。セルフカバーという形になるんですけど、それを知って聴いてくれて、またライブに来てくれた人もいますし、そういう意味では良かったのかな、と思いますね。

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