【コラム】milet×Aimer×幾田りら、3人3様の表現力

ツイート

LiSA×Uruが共演し話題となった「再会(produced by Ayase)」に続き、YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』アーティストコラボレーション企画の第2弾、milet×Aimer×幾田りらによる「おもかげ(produced by Vaundy)」が、12月17日に公開、配信限定リリースされた。

◆milet×Aimer×幾田りら - おもかげ (produced by Vaundy) / THE FIRST TAKE

公開1週間足らずで動画の再生回数は800万回を超え、現在も伸び続けており、2021年を代表するアーティスト3人の初の共演と、現役大学生にしてヒットチューンを生み出し続ける気鋭のクリエイター・Vaundyという最強タッグへの注目度は高い。

目には見えないし大げさなものではないけれど、たしかにそこにあって、時に大きな心の支えになる“愛”の歌を、3人3様のヴォーカルでパーソナルに、また3人のハーモニーでスケールの大きな歌にもなっている「おもかげ (produced by Vaundy)」。曲を書き下ろし、プロデュースを手掛けたVaundyは、「Aimerさん、miletさん、幾田りらさんの魅力を最大限に引き出せるようイメージして挑みましたが、実際レコーディングしたら想像をはるかに超えるかっこよさで、最高の仕上がりになりました」と語っている。

また「歌に貪欲に取り組んでいる姿勢を目の当たりにして、また一緒にいろんな音楽をやってみたい、と思うとても刺激的なコラボでした」と今回のコラボレーションについて振り返っており、高次元での化学反応があったことが伝わる。また『THE FIRST TAKE』の動画では、笑顔でアイコンタクトを送りながら歌う3人の姿が印象的で、ファンクテイストの洒脱なポップスを、軽やかにアンセミックに響かせている。

milet、Aimer、そしてYOASOBIのボーカル・ikuraとしても活動する幾田りら。それぞれがシンガー、シンガー・ソングライターとしてキャリアを築き、独自の歌の世界、ひと聴きでそれとわかる独自の歌のグルーヴを持っている3人。



「東京2020オリンピック」閉会式で「愛の讃歌」の歌唱でも注目されたmiletは、バイリンガルで、曲、ボーカルにもそのグローバルなグルーヴが冴える。五線譜をなめらかにドライブし、英語ならではの母音や押韻を生かして、日本語詞の曲でも単語を崩した特有のリズム感で“音”としての心地よさや違和感を巧みに混ぜるボーカルのスタイルを持つ。その声質も、フォーキーで普遍の物語を感じさせる曲にもデジタルで先鋭的な曲にもフィットし、アルバムでは幅広い曲調を網羅する。この「おもかげ」では主に、一捻りあるサビ前のブリッジ部分でその声の存在感が生きている。フラットなメロディラインだが、緩急を感じるのはそのボーカルのグルーヴがあるゆえだ。

また2021年にデビュー10周年を迎え、現在放送中のテレビアニメ『鬼滅の刃』遊郭編のオープニングテーマ「残響散歌」がヒット中のAimerは、これまでも多くのアニメやドラマのテーマやイメージソング等を手掛け、野田洋次郎(RADWIMPS)が書き下ろした「蝶々結び」や内澤崇仁(androp)が書き下ろした「カタオモイ」、菅野よう子とのコラボレーションによる「誰か、海を。」や梶浦由記が手がけた「春はゆく」など、多くのクリエイターがその声に物語を託した。Vaundyとは6thアルバム『Walpurgis』(2021)収録の「地球儀」でコラボレーションを果たしている。柔らかな霧がかかったようなボーカルは、その奥に様々な感情を潜めている。晴れやかで美しい歌の裏に切なさや不穏な蠢きを、また物悲しい歌の奥にはあたたかな光を湛えて、その歌の世界の深度を高め、リスナーの想像力を刺激する。本楽曲では1コーラス目の物語のはじまりを担い、憂い混じりのボーカルでグッと惹きつける。

このアーティストコラボ企画第1弾「再会 (produced by Ayase)」のプロデュースを手掛けたAyaseとともにYOASOBIのボーカルikuraとしても活動する幾田りらは、2021年12月にYOASOBIとして初の有観客ライブを日本武道館で行なった。活動間もなく新たな試みで2020年代のJ-POPの顔となったYOASOBIの魅力は、ボカロシーンの手法も取り入れた曲や映像表現と、ikuraの凛としたボーカルだ。ボカロ曲のような細かな動きのあるメロディラインをも正確なピッチで歌い、なおかつその余韻に感情の機微をにじませる。シンガー・ソングライター幾田りらとしては、よりオーガニックなサウンドでその透明感のある歌声を聴かせる。「松本隆トリビュート」で「SWEET MEMORIES」をカバーした、瑞々しく細やかな表現力も印象的だった。「おもかげ」では、パンと抜けのあるボーカルを聞かせ、コーラスパートではふたりに対してより明るい色調の声やリズミカルな高音のパートで、曲の明度を上げていく。

まさに3人3様の歌声で、歌番組などで一緒になる機会はあっても、3人揃ってのコラボレーションは貴重で、オリジナル曲となればなおさらだろう。ソングライターでありプロデューサーという立場で、この3人にタクトを振ったVaundyのポップマエストロぶりも素晴らしい。今、それぞれの輝きを放つ3人のボーカルと美しいハーモニーを響かせるこの曲で、そばにあるあたたかい愛の気配を感じてほしい。

文◎吉羽さおり

この記事をツイート

この記事の関連情報