【インタビュー】NOISEMAKER、EP『AXIS』に覚醒「伝えたかったのは“どう考えてもいい”ってこと」

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■楽曲は最新、最新ってなってるけど
■やっていることはバンドサウンドの原点

──ところで、前回のインタビューはHIDEさんとAGさんのみでしたが、今日はYU-KIさんとUTAさんもいらっしゃるので、ベースプレイやドラムプレイについても聞かせてほしいな、と。NOISEMAKERのサウンドがR&Bやヒップホップの要素をこれまで以上に取り入れるようになったことで、おふたりのプレイや音色作りも変わってきたのではないかと思うのですが。

UTA:前回からドラムテックの方にも入ってもらって、HIDEと俺と3人で話し合いながら音作りしていったんですけど、かなり早かったですね。ほんと20〜30分ぐらいで、これで、これで、これでって。曲を作るHIDEの頭の中で音が出来上がっていると思うんですよ。プレイ的には、4つ打ちが多くなってきていると思いますけど、今回、「SPEAK UP」ではその4つ打ちも上はシャッフルで、キックは4分でみたいなアレンジになっていて、初めてではないですけど、そういう変化が加わってきたのかなと思います。

──リズムを支えることはもちろんですけど、ドラムがフレーズを叩くようなプレイと言うか、アレンジが多くなってきたような印象もありましたが。

UTA:あぁ、デモの段階でドラムも含め、ほぼ完成されているんですよ。なので、まずはそれをなぞりつつ、調整していくんですけど、歌も仮歌がすでに入っているので、それを壊さないようにと言うか、歌に勝っちゃいけないから。

HIDE:勝ったの1回聴いてみたいけどね(笑)。

UTA:いや、やべえよ。そのうち機会があったらね(笑)。


──デモの段階でほぼ完成されているそうですが、HIDEさんはドラムのアレンジはどんなふうに考えるんですか?

HIDE:基本のビートは考えますけど、ハイハットとか、繋ぎのフィルとかは、例えば、「このリズムで」って伝えて、スタジオでみんなにやってもらうんですけど、もう何年もやってきてるから、別に不安もないし。基本のビートは、歌のリズムがあるから、キックとスネアの位置はそんなに変わらないけど、ハイハットワークは、どこで開けるとか、どこでシンバルを使うとかはちょっと考えて、本番でジャッジしていきます。

UTA:ダメならダメって言ってくれるんで。まぁ、言われたら、ダメかぁ。どうしようってなりますけど(笑)。

HIDE:クラッシュシンバルでビートを刻むのが、ロックとか、ラウドロックとかのやり方のひとつにあると思うんですけど、最近、うちの曲はバーンと一発鳴らしたあと、ハイハットでビートを刻むことが多いですね。サビで盛り上げるためにクラッシュで刻むのも全然ありだと思うんですけど、ハイハットで刻むと、3点(ハイハット、スネア、バスドラム)のビートがちゃんと体を揺らすように聴こえるんですよ。ハイハットはツツツツって鳴るからリズムに聴こえなかったりするんですけど、でもクラッシュがずっと鳴っていると、シーケンスと被っちゃって、せっかくシーケンスでおいしいフレーズを入れてるのに聴こえなくなっちゃう。それがハイハットだったら真ん中にあるから、両サイドのフレーズが聴こえる。今回は、そういうそれぞれの位置はすげえ頭を使いました。だから、いつもだったら入れるクラッシュも、「ここは我慢して。頭だけしか入れなくていいから」って。

UTA:そうですね。サビも毎回鳴らすんじゃなくて、「ここは我慢して」みたいなことはけっこうありましたね。

HIDE:ライブだったらいいんですけどね。視覚もあるから、シンバルを鳴らしても全然いんですけど。

UTA:作品として考えるなら、そっちのほうがいいと思うから、「わかった」って。


──YU-KIさんのベースは下を支えながら、曲ごとに疾走感、グルーヴ、跳ねといった、いろいろな役割を担っているのですが、曲によってはサブベースの音も入っているので、ベースの音色作りも工夫していることがあるのではないでしょうか?

YU-KI:サブベースってすげえ便利で、曲はカッコよくなるけど、ベーシスト泣かせなところもあって。確かに曲としては新しいことをやっていってるけど、自分の趣味嗜好としては、どんどんオールドになっているんです。そういう音も楽曲にハマるという印象があって、もうちょっと俺は生っぽいほうがいいっていうのはあるけど、UTAも言ったように作品として、HIDEと話し合いながら音は決めていますね。プレイについて言えば、今回、5曲それぞれにすげえキャラが立っていて、楽しかったです。いろいろな曲があったので。

──その中で一番楽しかった曲と言うと?

YU-KI:「CROWN」で、HIDEがギターソロを弾いている間、HIDEのエフェクターを押しまくったところですね(笑)。

AG:全然ベースの話じゃない(笑)。

YU-KI:あのギターソロはワーミーペダルを使っているんですけど、HIDEが他の操作があって踏めないから、代わりに俺が手で押したんですよ。めっちゃ派手なソロなのに、めっちゃ地味に押してたのが楽しかったです。一発OKだったんですよ(笑)。

HIDE:あれ、よかったね。

YU-KI:いや、簡単なことなんですけどね。それはさておきですけど、今回、レコーディングしながら、HIDEがギターを弾いて、俺がベースを弾いて、自然にグルーヴが合うのがって言うか、そういうことも再確認できて楽しかったです。新曲だからまっさらな状態なわけじゃないですか。それにもかかわらず、気持ちよく合う。ブレイクとか、次の頭とか。そういうのが楽しくて。楽曲は最新、最新ってなっていってるけど、やっていることは、バンドサウンドの原点に戻っているって思いました。


──HIDEさんはギタープレイに関しては、どんなことを意識しましたか?

HIDE:そんなに意識してないんですけど(笑)。何だろうな。今回もデモのギターをそのまま使っている楽曲が多いんですよ。そうですねぇ、たいして珍しいことしてないですね(笑)。

──さっき話が出た「FREEZE」は、空間系って言うんですか……。

HIDE:あぁ、なんか広がってますね。

──空間系の音色のリフが、歪ませた音色のリフとは違うのかなという印象でしたけど。

HIDE:あれ、シーケンスの音と重ねているんですよ。ギターのリバーブがあるんですよ。ちょっとシーケンスの音っぽくなるリバーブが。それと同じフレーズをシーケンスで重ねていて。ちょっと生々しくなくなっちゃうんですけどね。最初のデモはもうちょっとラウドっぽかったと言うか、「Hunter or Prey」を歌ものにしたみたいなイメージのデモだったんですけど、それをどうしようかって考えたとき、歌ものの曲って、歌にリバーブをかけようとしても他の楽器で埋まっているから案外、隙間がないんですよ。

──音の定位の話ですか?

HIDE:そう。左右にギターがあって、シンバルがバーって鳴っていて、下もベースとキックがあって、歌の入るところが真ん中の点しかないんです。そこで歌にリバーブをかけても、あんまりかけた効果が出ない。だったら引き算で、左右のギターをシーケンスっぽくしたら、歌のリバーブを強めた時に効果が出るんじゃないかというのをやってみたかったんです。

──その結果、ありそうでなかった曲になった、と?

HIDE:そうですね。狙い通りになりました。歌を抜くと、けっこうドンシャリなサウンドになってるんですよ。そういう意味では、曲の作り方がパズルみたいになってますね。ここにこれが欲しいから、これは要らないとか、それがあるから、これは1回なくそうとか、そういう考えで作ってます。曲のことをトータルで考えてから、ギターの音色を作るので、ギターだけの話になっちゃうと困っちゃうんですよ(笑)。

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