【インタビュー】松浦航大、4th Digital sg「カメレオンヒーロー(produced by川崎鷹也)」あるがままの自分を愛してもらいたい

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昨年から着々とオリジナル楽曲のリリースを重ねている松浦航大。シンガーソングライター川崎鷹也が作詞作曲を手掛けた4thデジタルシングル「カメレオンヒーロー(produced by川崎鷹也)」は、恋愛について描いていると同時に、モノマネの世界でも活躍している松浦自身の姿も重ねられる楽曲だ。“自分にしかない魅力とは?”“オリジナリティとは何なのか?”という問いかけ、“あるがままの自分を愛してもらいたい”という強い願いが、ここには刻まれている。楽曲に込めた想いについて、本人に語ってもらった。

■人は状況によって変化する自分自身がいてどれも自分で
■飾らずにいる自分を愛してもらえるんだろうかという不安はある


――「カメレオンヒーロー(produced by川崎鷹也)」は、川崎鷹也さんのプロデュースですね。

松浦航大(以下、、松浦):はい。僕はシンガーソングライターではあるんですけど、ボーカリストとして世の中にたくさんメッセージを発信していきたいんです。だから僕の理念やコンセプトがあれば、僕自身が作っていなくても面白いんじゃないかなと。鷹也に関しては「魔法の絨毯」のモノマネをした時に、SNSで本人と繋がって時々会ったりするようになったんです。“曲を書いて欲しいんだけど”ってお願いをしたら、快く引き受けてくれました。

――昨年の8月にリリースした「七色」もwacciの橋口洋平さんに作っていただいた曲ですけど、あの時もモノマネによって生まれた縁でしたよね?

松浦:そうです。僕のモノマネのレパートリーのみなさんに曲を書いていただくっていうのが面白いですし、お願いするからこそ生まれる化学反応もあるのかなと思っています。



――“ありのままの自分として愛してもらえる存在になりたい”という気持ちが描かれている「カメレオンヒーロー(produced by川崎鷹也)」は、ラブソングであると同時に、モノマネの世界で活躍している松浦さんの想いも込められているのを感じました。

松浦:人は状況によって変化する自分自身がいて、どれも自分ではあるんですよね。“飾らずにいる自分を愛してもらえるんだろうか?”っていう不安は、みなさんも感じることがあるんじゃないですかね? 僕自身もアーティスト活動をする中で、そういう不安を感じることがありますから。

――《誰にでもなれるカメレオンじゃない 君だけのヒーローさ ひとつだけの色さ》というフレーズが印象的です。“モノマネってカメレオン的な行為でありながらも、人それぞれの表現の仕方があるよな”ということも思いました。

松浦:モノマネは誰かの名前を使っているんですけど、ボーカリスト、シンガーとしての技術でもあるんです。その技術を使って自分のフィルターを通して発信するというのは、モノマネをされている本家のみなさんにはできないことでもあるんですよね。僕も自分にしかできないモノマネをしたいと思って、日々、いろいろ考えながらやっています。


――優れたモノマネって、実はオリジナリティの塊ですよね? 例えば前に取材した時に“高音を出す時にカラスのモノマネをする感じで喉の奥に音を当てると、米津さんが「あ」って発声する時っぽくなるんです”っておっしゃっていたじゃないですか。そういう発想もクリエイティブなものをすごく感じます。

松浦:ご本人はもちろんカラスのイメージで声を出していないですし、僕以外の誰かが米津さんのモノマネをする時も、そういうイメージを抱くわけではないでしょうからね。おっしゃる通り、モノマネをする人もそれぞれの解釈、発信の仕方があるんだと思います。


――同じ対象を描いたとしても画家それぞれで異なる印象になるのが絵画ですし、それに通ずるものがあるのかも。

松浦:まさにそういうことですね。先輩のビューティーこくぶさんも、“その人がどう描くのか?”だとおっしゃっていました。モノマネですから似ているのはもちろん大事なんですけど、それ以上に大事なのは“どう描くのか?”。そもそもモノマネは、ただコピーするだけでは面白くないですから。“自分が表現することによってどういうことが伝えられるのか?”が大事なんだと僕も思っています。

――モノマネって“真似”ではありつつも、オリジナルを再現する“コピー”ではないっていうことですよね?

松浦:はい。“二番煎じ”とも違いますし。僕の1stシングルの「オリジナリティ」に込めたメッセージでもあるんですけど、好きなもの、憧れているものをたくさん吸収したその先には、その人らしさが出てくるんですよね。

――素晴らしいモノマネは“なるほど! 確かにあの人らしさって、そういう部分に表れているよな”という納得感がありますから、その発想と表現は創作活動だと思います。

松浦:“どこを誇張するべきか?”って、いろいろな形がありますからね。失礼なところもあるのかもしれないですけど(笑)。でも、ご本人にも気持ちよく“面白い”って思っていただける絶妙なところを探している芸人さんは、たくさんいるはずです。“どこを捉えるか?”は“どう描くか?”に繋がるっていうことですね。

――そういう世界でも活躍しながら《ひとつだけの色》を探してる松浦さんが歌っているから、「カメレオンヒーロー(produced by川崎鷹也)」は説得力があるんですよね。

松浦:僕は“モノマネをしている自分がどういう音楽を届けていけるのか?”っていうのをすごく考えているんです。モノマネを使った自分のオリジナル曲を作っていきたい気持ちもありますし。そういうのも自分だけの発信になったらいいなと思っています。僕はモノマネを通して歌の技術の発見をしていますから、リスナー、視聴者のみなさんにも真似から何か発見をしていただけたら嬉しいですね。声色って顔の表情によっても変化するんですよ。

――演技もそうですけど、声を発する時に抱いている感情によっても声色のニュアンスは変わりますよね?

松浦:はい。全然変わります。“どういう心で臨むのか?”っていうことの影響はすごく大きいです。僕は『ものまね番組』とか、歌でバトルする番組に出演させていただくことがありますけど、良い歌を歌えるのは自分の中で圧倒的な自信がある時なんです。抱いている自信によって自己暗示をかけて、“いけるっしょ?”っていう心を持つことが大事というか。心作りによって声は変化するんですよね。だから最近はそういう気持ちに持って行くようにしています。ヤンキーになった気分というか(笑)。歌う前だけオラオラ系になるっていう。でも、ちょっと脱線した話をすると……自信満々な発言をすると審査に響く場合があるんですけど。


――そういうさじ加減の難しさもあるんですね?

松浦:そうなんです。審査員のみなさんも生身の人間ですから、歌う前に大口を叩いているのを聞くと“なんだこいつ?”ってなってハードルが上がっちゃう(笑)。だから最近は歌う前の発言についてもちゃんと考えるようにしています。

――松浦さんの姿がすごく重なる「カメレオンヒーロー(produced by川崎鷹也)」ですが、作っていただくにあたって川崎さんとはどのようなお話をしました?

松浦:《カメレオン》っていうワードは伝えていました。僕が“松浦航大”という名義で音楽活動を始めるにあたって、曲名の候補が既に5、6個決まっていたんですけど、その内の1つでした。《カメレオン》は鷹也に書いてもらったら良いものになりそうな気がしていて、実際にすごく良い曲を作ってもらえましたね。

――カメレオンは様々な色に染まれるものの象徴的存在ですけど、何色にも染まれるのって、それ自体が唯一無二の色だという捉え方もできますよね?

松浦:そうですね。様々な色に染まれる性質を持って生まれてきたっていうのは、おっしゃる通り唯一無二ってことですから、それによって自分自身を喩えられるのかなと思ったんです。僕もいろいろなモノマネをしますけど、それは“柔軟性”という性質を持った人間だということなんですよね。だから何も身に纏っていない素の色に戻ったとしても、みなさんに真摯に向き合って歌いますし、“みなさんにも愛していただけたらいいな”と。そういう想いもこの曲には込めています。

――恋愛に関しても素の自分を好きになってもらうのが一番ですし、無理して自分を装っても上手くいかないですからね。背伸びしたレストランに連れて行って大失敗する話とか、よく聞くじゃないですか。

松浦:変に知ったかぶりをしないで、“このメニュー、何書いてあるのかわからないよね?”って、ありのままの姿で過ごせる方が大事ですよね。

――この曲に関して川崎さんは、“航大くんなら僕以上に歌い上げてくれることが想像できたので高音の伸びるようなメロディを書きました”というコメントを寄せてくださっていますね。

松浦:その期待に添えるようにレコーディングでものびのびと歌いました。

――楽曲を提供していただくと、自分の中にある良い部分を引き出してもらった感じにもなるんじゃないですか?

松浦:そういう感覚はありますね。お願いする方々によって“松浦航大”っていうものの描き方も様々なので、今回も“鷹也はこう捉えて描いてくれたんだ”っていう喜びがあります。

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