【ライブレポート】PENICILLIN、30年の歳月を経て感じること

ポスト

時を超えて響く音たちは、30年の歳月を経たことでより磨きのかかったものとなり、今に生きる我々を心から楽しませてくれることになったのだった。

◆ライブ写真

「春の関東サーキット、今日こうしてファイナルまでたどりつけました。ありがとうございます。今回は<The Time Machine>というタイトルで、過去に行ったツアーのセットリストを30周年の今にリバイバルするというコンセプトでやっておりますが、なかなかこれはやっていて楽しいですね。過去の自分たちと遭遇する感覚があるというか、自分たちとしても少し不思議なところがあったりしつつ、まさに<The Time Machine>の名にふさわしいライヴを毎回やって来られたなと感じてます」──HAKUEI


このたび、4月23日に東京キネマ倶楽部にて行われた<30th anniversary 関東サーキット2022 「The Time Machine」>の最終公演となったステージ上にて、フロントマンであるHAKUEI(Vo)がMCの際このように述べたとおり、今年の2月に結成からめでたく30周年を迎えたPENICILLINが臨んできた今回の関東サーキットは、彼らにとってはもちろんのこと、ファンの人々にとっても“過去を追体験していくことにより、またあらたな発見を得る貴重な場”となっていたのではなかろうか。  

ちなみに、初日となった4月2日の新横浜NEW SIDE BEACH!!では、2004年にアルバム『FLOWER CIRCUS』を発表した際のツアーを再現した<Return of Happy Flower Circus Tour>、4月16日のHEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3では2002年のアルバム『No.53』発表した際のツアーを再現した<Return of JOKER IN A POT Tour>、 4月17日の柏PALOOZAでは2001年のアルバム『NUCLEAR BANANA』を発表した際のツアーを再現した<Return of NUCLEAR BANANA Tour>が開催されていた。

そして、ファイナル公演として4月23日の東京キネマ倶楽部で<Return of Japanese Ultra Wars Tour>と題され再現されたのは、2000年に世へ放たれたアルバム『Union Jap』の世界。  

当時、ほぼ大半を米国でレコーディングして来たというこのアルバムの内容は、今現在のPENICILLINが提示しているサウンドとはやや違った傾向を持ってはいたのだが、そこから20年以上を経て今ここに具現化された音は、明らかに“当時よりもさらに深みを増したもの”として我々へのもとへと届けられることになったのである。


O-JIRO(Dr)の叩き出すタイトなドラミングが楽曲に深い滋味と心地よいグルーヴを与えていた「MONSTER」しかり、千聖(G)がスタンドに設置したアコギも駆使しながらエモい音を生み出していった「理想の舌」や、はたまた奇想天外なタイトルに反しブルージーな音が繰り出される中でHAKUEIのストーリーテラー的なヴォーカリゼイションが映えた「UFO対ラオウ」など、今だからこそ聴ける音たちが全編にわたり満載となっていた様は実に興味深かった。

「今回の「The Time Machine」シリーズは初日から時代を逆行していくかたちで進んで来たわけですが、今日やってる『Union Jap』の曲たちは2000年に出したものですね。当時は、さっき2曲目にやった「理想の舌」もアコギはレコーディングだけでライヴでは使ってなかったんだけど、最近はそこもアルバム通りにアコギも出して使ったよ。要は、昔と比べるとスキルはだんだんとアップしてるんだなということなのかなと」──千聖

「多分、あの頃は若さで乗り越えてたこともあったんだろうね(笑)。今は当時よりも経験値が増えたことで、自分の思うところにより近付けるようになった気がします。30年やってると、いろいろ気付くことが出来て面白いです」──O-JIRO

そこは三つ子の魂というやつだろうか。キャリア30年の貫録が音の中にいかんなく溢れ出ていた一方、今回の関東サーキットに関しては各メンバーの衣装が遊び心の活きた斬新なる発想によってコーディネートされており、どうやらそこにも「The Time Machine」のコンセプトはしっかりと反映されていたらしい。

「一応説明しておくと、今回の衣装は“いろんな時代からタイムスリップしてきた”という設定でそれぞれ決めていくことになりました。ちなみに、僕のテーマはべートーベンです。というのも、僕はベートーベンと同じ誕生日なんですよ。彼の200年後に生まれたので、このようなかたちでやらせてもらってます。で、千聖くんはアメリカの西部開拓時代からやってきた派手なガンマンとかカウボーイのイメージなんだよね。そして、O-JIROくんだけは何故か2.5次元から来たチャオズ(ドラゴンボール)です(笑)」──HAKUEI

「まぁ、30年経ってもこういうことが相変わらずに出来てて、特に“やめてよ”って言われないバンドってイイなと思います(笑)」──O-JIRO


30年前の始動当初から、ただカッコ良いだけのバンドでは飽き足らずエンタメ精神をことあるごとに発揮してきたPENICILLINのブレないスタンスが、このように今もって健在であるというのはつくづく喜ばしい限り。バンドとしての成長は続けつつも、いくら時が経とうと変に老成することなく、良い意味で変わらない彼らの姿勢は極めて尊いの一言だ。

そして、PENICILLINだからこその持ち味は本編後半に演奏された誰もが知る代表曲「ロマンス」でのハジけぶりや、ダブルアンコールの最後で聴けた初期の名曲「Chaos」が纏っていた錆びつくことのない刺々しさからも堪能出来たことは言うまでもない。

なお、PENICILLINの“30th anniversary”にまつわるアレコレは今後もさらに続いていくそうで、来たる8月7日には渋谷Veatsにてファンから聴きたい曲を募ったうえでセットリストを構成する<ファン感謝祭リクエストライヴ「祭り」>が開催されることが既に決定している。

時を超えて響く音たちは、30年の歳月を経たことでより磨きのかかったものとなり、これからも我々のことをたっぷりと楽しませていってくれるに違いない。

取材・文◎杉江由紀
写真◎折田琢矢

SETLIST


The Time Machine Final
Return of Japanese Ultra Wars Tour(Union Jap Tour)
4月23日(土)東京キネマ倶楽部

SE Theme from STAR WARS
1 MONSTER
2 理想の舌
3 BVB
4 ウルトライダー
5 DEAD or ALIVE
6 扉の向こう
7 冷たい風
8 UFO 対ラオウ
9 野生の証明
10 CRASH
11 ロマンス
12 Japanese Industrial Students

EN1
1 JULIET
2 Blue Impulse

EN2
1 Chaos

◆PENICILLIN オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報