【インタビュー】a flood of circle、初のホールワンマン直前に語る「使命みたいなものがどんどん見えてきた」

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結成15周年にリリースされたアルバム『伝説の夜を君と』を引っ提げ、約4ヵ月にわたるツアー<Tour 伝説の夜を君と>を開催中のa flood of circleが7月8日、東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にてツアーファイナルであり初のホールワンマンを開催する。これに先駆けて7月2日から9日まで、ポップアップストア『FIREWORK RECORDS』も渋谷モディ1Fにて展開。会場ではツアー中に生まれた新曲「花火を見に行こう」のCD/カセットテープや限定グッズが販売されるなど、ファイナルへの高揚感を演出する。

◆a flood of circle 動画 / 画像

『伝説の夜を君と』の冒頭を飾るタイトル曲には、“♪俺たち 無敵さ/って思えたあの夜を過ごしたから”という一節がある。この言葉が現実となり得る運命の一夜を前に、バンド史上最大の挑戦に向けて、佐々木亮介(Vo,G)がその心中を独白する。

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■足場を固めたかった
■それができたツアーかな

──現在開催中の<Tour 伝説の夜を君と>も残すはファイナルのみですが、ここまで回ってきてどうでした?

佐々木:テツ(アオキテツ / G)が入ってからの5年間の一つの完成形をアルバム『伝説の夜を君と』では目指していて。今までは“毎回ちょっと違うほうが面白いかな?”と思ってツアー中にセットリストを変えまくってましたけど、今回はほとんど変えずに回って。それも初めてぐらいのことで、フラッドの足場を固めたかったし、それができたツアーかなと。ライブ自体は自信満々というか、精度が上がってるのを感じてますね。

──いろいろと変えて楽しませる良さではなく、繰り返して研ぎ澄ませる良さ。

佐々木:同じセットリストでやり続けることによって出てくる味とかパフォーマンスに、今回は向き合ったというか、一つのことをやり切ることが今のフラッドの自信にもなってるんじゃないかな。


──2月末の大阪 BIGCAT初日公演と、ツアーも大詰めの6月の大阪 umeda TRADの両公演を見ましたけど、長いツアーで疲弊するどころか、より強靭になっていて。

佐々木:コロナうんぬんも関係なく30本近いツアーをやったのは久しぶりだったんですけど、後半は新曲の「花火を見に行こう」をどんな形でやるかを探ってた期間でもありましたね。まずは岡山で1人で弾き語りでやって、次の福岡はナベちゃん(渡邊一丘 / Dr)と2人で。その翌日の大分は姐さん(HISAYO / B)と3人で、そして、大阪でテツも入れて初めて4人で披露したんですけど、ライブの本編で見せるべきものが固まっていたからこそ、アンコールでそういう遊びをやる余裕が俺にもメンバーにもあったのかなって。

──4人で完璧に演奏できるようになってからじゃないと、人前ではやらないというノリだったら、“ファイナルでようやく披露できるかな?”ぐらいの感じだったかもしれませんね。

佐々木:あと、その様子をSNSに上げていったのも含めて、“何か物語が生まれたらいいな”と岡山の朝にふと思いついちゃったんですよね。ちょっと前なら遠慮してメンバーにも言わなかったかもしれないけど、今ならみんな分かってくれるんじゃないかと思って。

──個人的には、結成からここまで共にサバイブしてきたナベちゃんと2人きりでやった福岡はエモかったなと。

佐々木:そんなの初めてだと思うんですよ。意外とナベちゃんが一番抵抗がなくて、2人バージョンの演奏も楽しかったですね。昔は不確定要素が多い=自由だと思ってたけど、今は足場が固まれば固まるほど、もっと自由にできると感じられたのは発見でした。

──ツアーを振り返って印象的な公演はあります?

佐々木:初日の大阪かな。大阪から始まることはなかったと思うし、長いツアーになるのは分かってたんで、すごい緊張感があったんですよ。ここ何年か、ライブでそんなことはなかったんですけど……そういうのも何かいいよなと思ったりもして。“何か俺、真面目にバンドに取り組んでるな”って(笑)。あと、今回のツアーが始まる前、1人でスタジオに入って“歌う”ということをかなり研究してたんですよね。このツアーを絶対いいものにしようと思ってたし、メンバーも同じ気持ちで臨めたのかなって。

──ツアーをして改めて思った、『伝説の夜を君と』というアルバムの特色はありました?

佐々木:実際、ライブのために作った要素が今までで一番大きいアルバムで、自分の引き出しにないものをやってもらうんじゃなくて、ライブを前提にメンバーにアレンジしてもらうほうが、みんなの一番いいところを引き出せるような気がして。自分の世界より、バンドを意識しながら曲を作った良さが出たのかなって。

──アルバム=常にライブ想定な感じだと思ったら、意外ですね。

佐々木:実はそんなこともなくて、毎回“これ、ライブでどうやってやったらいいんだろ?”と思ったり(笑)。イメージを固めて曲順も決めて作ったのもデカいんですけど、それが完成したツアーだと思うから、次の作品ではまた改めて、突拍子もないことをやってもいいのかなと今は思えてますね。改めて、“フラッドっていいな”と思えたツアーでした。

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