【インタビュー】甲田まひる、ファッションアイコン、ジャズピアニスト、そしてシンガーという多様性に漲る想い「言葉で伝えるって難しい。だからこそ表現している」

■やっぱり女の子として強くいたい
■そこは曲げたくない部分でしたね

──今回のEPには「夢うらら」のピアノバージョン「Yume ooh la la .pf」も収録されました。これは「夢うらら」が完成してから、そのピアノアレンジをしていくという方法ですか？

甲田：そうですね。曲の大枠ができて、“ピアノヴァージョンを作ってみようかな”ってアレンジしてみました。“この曲がこんな風になるんだ!?”っていうのがいいので、全体像は残しつつも7拍子にしたり、めちゃめちゃジャズアレンジをしてみました。

──自分の曲をリミックスに近い感覚で新解釈することができるって、ジャズをやっているからこそというか、甲田さんならではです。

甲田：同じEPの中に、すでに別アレンジがあるってヤバイですよね（笑）。ジャズ自体、シンプルなメロディとコードしか書いていない楽譜があって、それを“自由にやってください”という音楽なので。必然的に弾くときにも自分の解釈で弾くんです。だからアレンジに抵抗がないというか。“崩しちゃえ”っていう気持ちでできますね。


──「ごめんなさい」には、また違ったジャンル感がありますね。

甲田：自分の中でこれはラテン曲です。もともと中東系のメロディがすごく好きなんですよ。ドロップのところでハーフになって、中東っぽい旋律……そういう曲が自分のデモにめちゃめちゃ多くて。ずっとやりたいなって思いながらも、なかなか形にならなかったので、“今回こそ”と思っていたんです。

──そういうイメージの曲ありきで歌詞を作っていった？

甲田：そうですね。恋愛の曲で作ろうと思ったので、そこから歌詞を考えていったんです。恋愛でもそうじゃなくても、“なんで私ばっかり謝ってるんだろう？”という状況ってあると思うんです。別に謝りたくて謝ってるわけじゃないって思いつつも、“ごめんなさい”って言っちゃうみたいな。

──でも、最終的には“私らしくなんて思わないけど 黙って君の後ろを歩くのは もうやめた”っていう、変わろうという思いも強い曲ですね。

甲田：やっぱり女の子として、強くいたいじゃないですか。そこは曲げたくない部分でしたね。弱いところもあるけれど、そこは打ち破っていくことを目指して作った曲というか。もともとは、そこまで考えていなかったんですけど、書いていくとどうしてもそういう歌詞になっちゃうんですよね、負けたくないなって（笑）。

──歌詞に自分自身が出てくるような？

甲田：日頃から“意見をちゃんと言いたい”っていうのが自分のなかにあるので。この曲を聴いて、そう思ってくれたら嬉しいですし。自分を奮い立たせる意味でも、そういうテーマになっていきましたね。

──小さい頃から、自分ががやりたいこととか、“好きなのは、これです”っていうことがはっきりしていた感じですよね？

甲田：そうですね。でも、説明をするのが下手なんですよ（笑）。言葉にした途端に、思っていたことと違うかもな……とか。それがすごく怖いんです。だからこそ表現しているというか。ピアノとかもそう。喋るよりも弾いていたいんですよね。そういうことで、自分がラクになれるっていう感覚が昔からあったので。言葉で伝えるって難しいな、課題だなって思いつつ、だったら自分の好きなことや得意なことで少しでも表現できていたらいいのかなって思うんです。


──今も曲作りは続いていると思いますが、ここから新しく取り入れたいエッセンスや、こんな音楽をミックスしてみたいというものはありますか？

甲田：レゲエが好きで、レゲエダンスも習ったりしていて。解放されますね（笑）。どうしても最近は息が詰まることが多いじゃないですか、閉鎖的になっちゃうので。でもレゲエはちょっと異国の風が吹くというか、それだけでも開放的になれるので、すごくいいですね。

──「ごめんなさい」のラテンもそこに通じていたようですね。

甲田：あの野生的な感じに憧れるんですよね。言葉とか発音もすごく激しくて。男の人がドスの利いた声でラップしていたり、ずっと陽気な感じとか。ああいうテンション感やストレートな感じがすごく好きなんです。そういうのって文化が違うから、自分で出そうと思っても出るものじゃない。だからこそ憧れで。聴いて、何かしら感じ取ったものとかを自分の音楽に落とし込めたらいいなと思ってます。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎堅田ひとみ
ヘアメイク◎MIKI
スタイリング◎甲田まひる




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