【インタビュー】 The Driver Eraは今日も「ハプニング」を起こす

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ロックバンド“R5”のメンバー、ロスとロッキーのリンチ兄弟によるデュオ・The Driver Eraが、9月19日からジャパンツアーを行う。同プロジェクトとしては初の日本公演であり、目下注目のライブだ。9月16日には最新アルバム『Summer Mixtape』をリリースし、盤石の状態で日本を訪れる。

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“オルタナティブ・ロック”を標榜する彼らの音楽は、90年代に一世を風靡したそれとは一線を画すものだ。音楽ジャンルとしてではなく、本来の意味における「オルタナティブ」。すなわち、テンプレートから外れたサウンドを目指す態度を意味する。その指針は、2018年にリリースされたデビューシングル「Preacher Man」から一貫しており、先述した『Summer Mixtape』でも見事に継承されている。

ポップスを基軸に、ロックやR&B、ヒップホップにダンスミュージックと、彼らの音楽には多くのリファレンスが散見される。サイケやLo-Fiハウスを見出す人もいるかもしれない。しかし、彼らの音楽はその“どれでもない”のだ。



   ◆   ◆   ◆

──The Driver Eraを開始された当初から、お二人の音楽にはヒップホップの影響が垣間見えます。2018年当時のインタビューではPost Maloneに言及されていましたが、本作『Summer Mixtape』でもヒップホップにアイデアを求めることはありましたか?

ロッキー:このアルバムに関しては特定のジャンルやアーティストからの影響はないかな。僕たちは以前よりもさらに幅広いジャンルの音楽を聴くようになったから。でも確かに、ヒップホップを聴いて育った影響は今もあると思う。ただ、今作に限らず、僕らが音楽を作るときは「白紙」から作るんだ。未知の状態で制作に挑みたい気持ちが常にあるね。

ロス:スタジオに入って、そこから即興的に生まれることがほとんどだよ。

ロッキー:「この曲がクールだよ!」とか、アイデアをシェアしあうことはあるけどね。アーティストは自分たちが影響を受けたものから逃れるのは不可能だと思っていて、それが何かしらの形で反映されたものが作品になる。僕らはそれに対して意識的であるけど、そこから意図的に離れようとする場合もあるんだ。カッコイイと思ったことの反対を行ってみるとかね。



──本作に収録されている「I Got You, You Got Me」はまさに方法論で作られたのかなと感じます。「Preacher Man」にも言えることですが、トラップからアイデアを引っ張りつつ、ハイハットの間隔が広いんですよね。それはプロパーなトラップともまた違う。

ロッキー:そう言ってもらえると嬉しい。「I Got You, You Got Me」はロスのアイデアから生まれたんだよね。これまで作ったトラックやビートがウチのハードドライブに山ほどあるんだけど、ロスがそれらをスクロールしていたら「これ使えるんじゃない?」って言ってくれてさ。

ロス:数年前に作られたビートなんだけど、「I Got You, You Got Me」のトップに使えると思ったんだ。最近ではこの曲がロッキーのお気に入りになってきたみたいで、僕としても提案して良かったよ。

──楽曲をプロデュースする上で意見が衝突することはありますか?

ロス:それが全くないんだよね。さっきもロッキーが言ったように、僕らの制作は白紙から始まって、手探りでプロデュースしてゆくうちに段々形が見えてくるんだけど、大体2人とも同じところを目指してるんだ。自分たちが好きなことを追求するっていうか。即興的に成立するんだから作品としても成立するはずで、そこをわざわざ変える必要もないよね。はたから見ると魔法のように見えるのかもしれないけど、僕らの曲は本当にそういった形で完成するんだ。

ロッキー: 稀に意見が異なることがあっても、簡単に妥協点を探せるし。


──具体的にはどういったプロセスを経て楽曲が完成するのでしょう? 例えば「The Money」や「Keep Moving Forward」は明確に4つ打ちですが、そういった場合も「ダンスミュージックを作ろう!」という意図は最初の段階にもないのですか?

ロス:そうだね。僕らにとって音楽制作は、ただ「起きるもの」なんだ。なぜか自発的にそうなって行くんだよ。

ロッキー:「The Money」に関しては、元々違う曲になるはずだったトラックを並行して作ってたんだ。その曲のシンセラインをロスが聴いたときに、「これ『The Money』のほうが合うんじゃない?」と言われて。それがあって、この曲はダンスミュージックの方向に進化していったんだ。スタジオで変わる僕らのフィーリングにあわせて、曲の内容も変わっていく。「Keep Moving Forward」もそんな感じで、ロスが過去のトラックを引っ張り出してくれたんだよ。彼のディグには助けられてるね(笑)。



──個人的な感覚では「Keep Moving Forward」が今回のアルバムの中で一番好きです。私はダンスミュージックをよく聴くのですが、この曲は恐らく、プロパーなハウスのプロデューサーにはなかなか作れないと感じます。ビートがLo-Fiなのに、ウワモノはHi-Fiっていう。そのエクレクティックなニュアンスが新鮮でした。

ロッキー:最高な意見だね! 確かに僕らが作るダンスミュージックはHi-Fiな要素があると思う。僕らとしてもそういった音楽が好きだし。すべてが鮮明でクリアで、音の細部までちゃんと鳴ってるというか。僕らはそれをポップミュージックとして解釈してるんだけど、それがこの曲では反映されたのかもしれない。そういうふうに聴いてくれると本当に嬉しいよ。



──ダンスミュージックは極めて身体的な音楽ですが、ライブハウスやフェスティバルが復活している今、その意味が非常に示唆的に感じられます。コロナ禍においてはお二人のツアーも中止になってしまうなど多くの影響がありましたが、パンデミックは作品に反映されていますか?

ロス:直接的な影響はないけれど、まぁパンデミックと紐づけて解釈する人もいるとは思うよ。自然とそう感じられちゃうっていうか。実際僕もロックダウン中は様々なことを学んだし、本もたくさん読んだ。そういうものが作品に影響することはあるだろうね。期間中に感情が一切動かなくなったわけじゃなく、オーセンティックな、嘘のない気持ちを持ったことは確かだから。

ロッキー:実際、このアルバムに収録されている楽曲のほとんどが個人的な出来事に即したものだよ。「Endlessly」なんかは、ドジャースの試合を観に行った帰りに感じた高揚感がもとになってできた曲だし。そういう意味では、よりリアルな体験に敏感になっているのかもしれない。だから日本でのツアーも本当に楽しみにしているよ。ずっと戻って来たかったし、The Driver Eraとしては初めてのライブだからね。

取材・文◎川崎ゆうき

『サマー・ミックステープ -ジャパン・スペシャル・エディション』(来日記念盤)

発売日:2022年9月16日
形態・販売価格:1CD 税込2,200円(税抜2,000円)AQCD-77559、配信
配信Linkfire:https://avex.lnk.to/SummerMixtape0916TDE

収録曲数:
CD14曲(11曲+ボーナストラック3曲)
(ボーナストラック3曲中、2曲は日本&アジア限定。1曲は日本CD限定収録)
配信13曲

ECサイト:https://avex.lnk.to/SummerMixtape-JapanSpecialEdition


初来日公演

【大阪】9月19日(月・祝) なんば Hatch
16:00 開場/17:00 開演
1Fスタンディング 7,500円(税込/入場整理番号付き)
2F指定席 8,500円(税込)
※ドリンク代別途 600円

【東京】9月20日(火) Zepp DiverCity
18:00 開場/19:00 開演
1Fスタンディング 7,500円(税込/入場整理番号付き)
2F指定席 8,500円(税込)
※ドリンク代別途 600円

詳細:https://udo.jp/concert/thedriverera2022

◆ザ・ドライヴァー・エラ オフィシャルサイト
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