【レポート】<氣志團万博2022>2日目、放送直前に振り返る「今日は房総魂の血でやってやるぜ!」

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<氣志團万博2022 〜房総魂〜>が9月17日から19日の3日間、千葉・袖ケ浦海浜公園で開催された。2003年にスタートし、2012年からフェス形式で開催されている<氣志團万博>は2022年、10周年10回目の節目となった。袖ケ浦海浜公園にて有観客の形で実施されたのは3年ぶり。

◆<氣志團万博2022> 画像

WOWOWでは11月から12月にかけて、<氣志團万博2022 〜房総魂〜>3日間の模様がのべ18時間にわたって放送/配信される。この放送直前に、<氣志團万博 2022>2日目公演の模様を振り返るレポートをお届けしたい。

初日は好天だった<氣志團万博2022 〜房総魂〜>だが、2日目は時おり大雨となる荒天。降りしきる雨も、雨上がりの虹もすべてがドラマとなった2日目、MOSSAI STAGEのWELCOME ACTは仙台貨物。

【仙台貨物 (WELCOME ACT)】








▲撮影◎上山陽介 / MOSSAI STAGE

初日と打って変わって朝から雨模様の<氣志團万博2022 〜房総魂〜>2日目。WELCOME ACTとしてMOSSAI STAGEに立ったのは、<氣志團万博 2016 〜房総ロックンロール★チャンピオン★カーニバル〜>以来6年ぶりの出演となる仙台貨物だ。

イガグリ千葉(Vo)がなまり全開で熱唱する「One Night Carnival 千葉さんver」をSEに登場すると、「<氣志團万博>始まるよー!」と宣誓し、「開運ざんまい」「日本でいちばんアツイ夏」と、雨に負けないテンション最高潮なロックナンバーでオーディエンスの心を掴んでいく。

マッチョなダンサーが登場した「MUKI MUKIさせてよ」やコミカルな振り付けの「絶交門」など、歌詞やパフォーマンスで笑いを取りつつ、卓越した歌唱力と演奏力でもしっかり魅了。ラストに「この不況を吹き飛ばせ-!」と「腐況の風」を放ち、タオルの乱舞とともに景気よく<氣志團万博2022 〜房総魂〜>のWELCOME ACTを務めた。

【綾小路きみまろ(OPENING CEREMONY ACT)】





▲撮影◎中野修也 / YASSAI STAGE

YASSAI STAGEのOPENING CEREMONY ACTは、漫談家・綾小路きみまろ。金の扇子を手に花道のど真ん中に現れ、「皆さんのお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんの世代です。中高年向けの漫談をやります」とロックフェス会場でも遠慮のない毒舌中高年漫談を披露。

「皆さん、漫談のような人生にならないように気を付けてください(笑)」と会場のムードを温め、高らかに開会を宣言した。

【ゴールデンボンバー】







▲撮影◎青木カズロー / YASSAI STAGE

<氣志團万博2022 〜房総魂〜>2日目、YASSAI STAGEのトップはゴールデンボンバー。LEDビジョンに映し出された紹介映像はお約束の全裸。團長から「4人のゴールデンボンバー」への愛情あふれるメッセージに背中を押され、1曲目「#CDが売れないこんな世の中じゃ」でタオルを回しながら全力疾走で登場した鬼龍院翔、喜矢武豊、樽美酒研二の3人だ。

すべての曲にネタが満載で、喜矢武が「久しぶりにHYDEさんと共演できて嬉しい。この間までは和歌山でHYDEさんの電車が走っていて、<万博>に合わせて今は千葉で走ってるらしい」というフリから南海電鉄とHYDEのコラボによる特急“HYDEサザン”にダンボール工作で扮したり、樽美酒が相変わらずの限界下ネタ“陰毛ロン毛”をかましたりとやりたい放題。会場に午前中から爆笑をもたらした。

そしてラストはもちろん「女々しくて」で会場全体を踊らせ、本人たちもオーディエンスも休む隙が一切ない怒濤のエンターテイメントショーを繰り広げた。

【私立恵比寿中学】






▲撮影◎釘野孝宏 / MOSSAI STAGE

<氣志團万博2022 〜房総魂〜>2日目、MOSSAI STAGE のトップバッターは、7回目の<氣志團万博>出演となる私立恵比寿中学だ。

LEDビジョンに映し出された紹介映像では、團長が「俺がエビ中と初めて会ったときから、真山(りか)さんが一番印象強くて。ほっこりした気持ちになるっていう話をマネージャーにしたら、“わかります。團長のお母さんに似てますよね”って言われて。ああ、俺は真山さんに母の影を追っていたんだって(笑)」と明かして、爆笑が起こる中でライブがスタートした。

桜木心菜、小久保柚乃、風見和香といった新メンバーを加えた9人体制初の<気志團万博>となるエビ中は、ステージに上がるなり「えー、ここが<氣志團万博>かよ、超やべえー!」と<氣志團万博>仕様なギャル調の第一声から、「売れたいエモーション!」でライブをスタート。歌詞どおりに“夢見る乙女の野望”がエレクトロビートに乗せて放たれ、それに沸き立つエビ中ファミリーたち。雨が激しく降ったり止んだりを繰り返した午前中だったが、エビ中のライブ開始に合わせたかのように雨が降ることはなかった。

「ちちんぷい」「大人はわかってくれない」と飛ばしまくり、激しくも艶やかなダンスを披露。派手なアレンジが楽しめる「青春ゾンビィィズ」から、アッパーな「HOT UP!!!」で会場が一体となる盛り上がり。激しいディストーションサウンドに合わせて歌い踊るメンバーたち。高い歌唱力に支えられたパフォーマンスが生み出す熱量に圧倒された。オーディエンスは振りコピしながらこれに応える。ラストは岡崎体育が提供した“ファミコン”こと「Family Complex」で、次の時間帯、念願のYASSAI STAGEに立つ岡崎体育にバトンを渡す形となった。

【岡崎体育】






▲撮影◎上山陽介 / YASSAI STAGE

12時35分のYASSAI STAGEには、これまで“MOSSAI STAGEの神”として君臨してきた岡崎体育が、このステージ初登場となった。しかしながら、紹介映像で團長は「“MOSSAI様”にドッキリをかけてみようということで、YASSAI STAGEに呼んでみた」と、聞き捨てならないひと言。MOSSAI様にまつわる言い伝えが仰々しいナレーションで紹介される中、MOSSAI様こと岡崎体育は黒いマントを纏い厳しい表情でステージ上に現れた。

さぞかし怒髪衝天かと思いきや、ステージ中央に立つと、表情を一変。「ラッキー!ラッキー! 出れたよ、YASSAI STAGEに。別に怒ってないよ!」とかなりご機嫌な様子で、観ているこちらはほっと一安心。

「やってきました、YASSAI STAGE! 踊れ、袖ヶ浦!」と地を這う4つ打ちビートでオーディエンスをクラブミュージックの渦に巻き込んでいく。すると、岡崎曰く「MOSSAI様の感涙」が雨となって天から降り注いだ。「踊りすぎて雨降ってきた! じゃあ、ジャンケンして勝った人だけ踊ってください!」と、降雨をネタに独自のルールを導入したり、歌詞中の“パン”という言葉に合わせて手を叩く楽曲「フランスパンゲーム」でオーディエンスを楽しませるライブ巧者ぶり。岡崎体育の場を盛り上げる力は、ここYASSAI STAGEでも健在だ。

「やっぱりいいですよ、袖ヶ浦。緑、海、雨。最高のフェスじゃないですか。一生続いてほしいね」とのMCに、雨音を超える盛大な拍手が送られた。ライブレポートをモチーフにした楽曲「Quick Report」で4回も“観客のボルテージは一気に最高潮”に達したにも関わらず、終盤の「なにをやってもあかんわ」「XXL」で、そのピークをさらに引き上げる。初のYASSAI STAGEで、観客のボルテージを最高潮の向こう側へと連れていってくれた。

【GEZAN】






▲撮影◎中野陽介 / MOSSAI STAGE

この日、激しく移り変わる天候を誰よりも味方につけていたのは<氣志團万博>初出演のオルタナティヴロックバンドGEZANだった。

イーグル・タカ(G)のバグパイプで会場の空気をガラリと変えると、一気に生々しいバンドサウンドを解放。「いい雨が来てるんで、踊りましょう」と誘うマヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo, G)に導かれ、生音にループを取り入れた中毒性溢れる音に飲み込まれた。トライバルなビートと止めどない轟音にオーディエンスが身を委ねるしかない中、雨は激しくなり、遠くで雷の音も聞こえるが、もはや祝祭を彩る演出のよう。マヒトゥ・ザ・ピーポーは「これは祝福の雨なので、どこまでも行こうぜ」と叫んだ。

「東京」で混沌のピークを迎えたあと、穏やかなミドルチューン「Third Summer of Love」と「DNA」がMOSSAI STAGEのオーディエンスを包み込むように響く頃には、空に光が差していたのだった。

【氣志團】








▲撮影◎青木カズロー / YASSAI STAGE

<氣志團万博2022 〜房総魂〜>の折り返し地点とも言える13時55分。この時間帯にYASSAI STAGEへ登場した主催者の氣志團は、アコギのイントロから團長が「房総魂」の優しいメロディを歌い上げて幕開け。開催への切実な想いが伝わる歌声に、雨の中オーディエンスが拳を掲げて応える光景に胸が熱くなる。ダンサーを従えての「NIGHT THE KNIGHTS」「男帝 -Dandy-」など痛快なロックナンバーを畳みかけ、「One Night Carnival」で会場の熱気と一体感は最高潮へ。

曲間のMCでは、「以前はここからみんなで歌うところがあって、俺はそのシンガロングのパートが大好きでした。2年半、その歌声を聴いていません」と語り、「歌わせてやれなくてごめんな!」と彼らしい素直な言葉も。さらに「来年はあの景色を取り戻したい。来年はハグしよう! できればチューもさせて!」と笑顔で来年への希望を繋いだ。

後半は、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔と仙台貨物のイガグリ千葉とともに歌った「喧嘩上等」から、私立恵比寿中学らを交えての「The アイシテル」。氣志團からの愛情と、氣志團を愛する全員の想いが結実したステージだった。

【RIP SLYME】







▲撮影◎釘野孝宏 / MOSSAI STAGE

5年ぶりの<氣志團万博>出演となるRIP SLYMEが14時40分、MOSSAI STAGEに立った。RYO-Z、ILMARI、DJ FUMIYAにサポートのWISEを加えた編成で登場して、1曲目「楽園ベイベー」からオーディエンスを踊らせる。RYO-Zが「Clap your hands!!」と煽ると、雨にも負けない拍手が沸き上がり、オープニングから会場が一体となる盛り上がり。

「RIP SLYME、ただいま帰りました! 5年ぶりの<氣志團万博>です。この5年間、溜まりたまったものを、今日すべて吐き出そうと思うんですけど、みなさん受け止めてもらえますか?」とRYO-Zが呼び掛けると、受け入れ準備OKなMOSSAI STAGEが再び大きな拍手で応えた。

新曲「サヨナラSunset」では、同曲で共演しているフレンズのおかもとえみが参加。躍動的で清涼感のあるキラキラしたサウンドは、初めて聴いた人も反射的に踊らせる。そのサウンドに乗せた軽快なラップと、切ないメロディが際立つデュエットで大いに盛り上げた。すると唐突にヴァン・ヘイレンの「JUMP」のイントロが流れ、2015年リリースの「JUMP」へ。「ジャンプ!ジャンプ!」と煽り続け、ライブのラストは「熱帯夜」でさらなる熱気を生み出した。

最後にRYO-Zは、「今年、配信シングルをリリースして活動を再開したときに、一番初めに連絡をくれたのが翔やんだった」と、アーティスト同士の絆を感じさせるエピソードを明かし、爽やかな余韻を残してステージを降りた。

【ももいろクローバーZ】








▲撮影◎上山陽介 / YASSAI STAGE

氣志團に続いてYASSAI STAGEに登場したのは、<氣志團万博>皆勤賞を継続している唯一のアーティスト、ももいろクローバーZだ。“剥離性食道炎”のために残念ながら高城れにが欠席となったが、百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏の3人に加え、ステージ上に高城れにの顔写真と衣装を設置。また、DMBことダウンタウンももクロバンドのドラムをTHE YELLOW MONKEYの菊地英二(ANNIE)が務めるなど、レアなステージとなった。

パンツスタイルでステージに登場した3人は、「行くぜっ!怪盗少女」で勢いよくライブをスタート。センターステージへ移動すると、午前中から降ったり止んだりを繰り返していた雨が、ここにきて土砂降りになった。強く打ち付ける雨の中、止まることなくパフォーマンスを続ける3人。「労働賛歌」を歌い終わると、「ちょっと待って(笑)。初めての経験かも」と百田夏菜子。佐々木彩夏は「エビ中が晴れてたせいだよね(笑)」と語り、“雨女”なエビ中が雨に降られずにMOSSAI STAGEでのライブを終えたことが原因だというMCでオーディエンスを笑わせた。しかし「みんなも濡れてるから気持ちは一緒ですね」という玉井詩織のトークは、どんな状況でもポジティヴさを忘れない彼女たちらしいものだ。

一向に止む気配がない雨の中、「ココ☆ナツ」を歌う3人は、サマーチューンと豪雨シチュエーションというギャップをものともせず、笑顔で踊る。ひるむことないその姿にモノノフ(ももクロファンの総称)も応えて存分に盛り上がっている。

終盤、氣志團のカバー「One Night Carnival」を披露すると、途中のブレイクで氣志團を呼び込み、百田夏菜子が感謝の気持ちを綴った手紙を読み上げる。「10年前、右も左もわからない私たちをこの<氣志團万博>に呼んでくれて、それから10年間呼び続けてくれてありがとうございます。これからも私たちは、氣志團さんに…“恋しているのさ〜”」と歌い上げた。

思いが伝わる手紙と歌に、「ありがとう!」と感激した様子の團長。するとももクロの3人は後ろを向いて、その衣装の背中についたゼッケンを剥がすように促し、團長が剥がしてみると、そこには「HYDEさん大好き」の文字が。團長は「わかるけど…俺、結構泣きそうだったのに」と脱力した様子だ。最後は「HYDEさんに会いに行こうぜ!」と団結してステージを去った。激しい雨をものともせずに感動と笑いの最高のステージを見せた“本人達曰く”今年の<ももクロ万博>は、後年まで伝説として語られそうだ。

【DOPING PANDA】






▲撮影◎中野修也 / MOSSAI STAGE

2022年に電撃復活を遂げたDOPING PANDAは、氣志團と同じ1997年結成の同期。しかも所属事務所も同じということで、お互いの念願叶っての<氣志團万博>初出演となった。

ステージに3人が並び立つ姿に大きな拍手が湧く中、「YA YA」「The Fire」とキラーチューンを次々に披露。今なお身体と心に一瞬で届くキャッチーさと、より研ぎ澄まされたタフなビートに、早くもMOSSAI STAGEがダンスフロア状態だ。ステージ前方に躍り出てギターソロを響かせ、さらに熱狂を煽るフルカワユタカ。

「I LOVE 氣志團で死ぬほど盛り上げるから!」と雨上がりの虹がかかった空の下、タッピングのフレーズで魅せる「transient happiness」から「MIRACRE」へ繋ぎ、“ロックで踊る”多幸感ここに極まれり。フルカワ自身も空を見上げ、「虹だぜ、虹! I’m ROCK STAR!」と叫んでステージをあとにした。

【湘南乃風】








撮影◎釘野孝宏/中野修也 / YASSAI STAGE

雨が上がった16時台のYASSAI STAGEには、<氣志團万博>6年ぶりとなる湘南乃風が登場した。RED RICE、若旦那、HAN-KUN 、SHOCK EYEの4人は「SHOW TIME」で威勢よくライブをスタート。HAN-KUNの「あれあれ!? 太陽も目覚めちゃったみたいですけど!?」との言葉の通り、先ほどまでの土砂降りが嘘のように空は澄んでいる。しかし「Joker」はまるで暗雲立ち込める空のように不穏なサウンドだ。「今日は湘南乃風と“房総乃風”の抗争だ!」と宣言すると、「全員タオルを掲げろー!」とRED RICE。HAN-KUNは「湘南乃風、めちゃくちゃしつこいです。誰のファンとか関係ねえ。掲げたタオル、全員回すまで終わんねえぞ」とオーディエンスに迫る。“冗談じゃねえぞ こんなんじゃねえ”と激しく歌い、「本気出せば、全員が繋がってヤバい房総乃嵐に変わるって俺らは知ってるよ」と、ひとつになることを促すと、会場一面タオルの海となった。

センターステージへ全員で移動しての「黄金魂」では“立ち上がれ 上がれ”とアジテーションする。午前中から午後にかけて雨に打たれて弱った身体に気合いを入れてくれるような曲が続く。RED RICEが、「雨の後には虹が、嫌なことの後には喜びが。全員、空に向かって拳を上げてくれー!」と空を指すとオーディエンスが一斉にこれに応えた。

「俺たちは6年ぶりにこの夢のステージに帰って来ることができて、みんなと同じぐらい幸せ。もらった愛があればあるほど、俺たちは強くなれる。だから今日、溢れた愛を俺たちになりにマイクを通して1人ひとりの心に届けていきたい。俺たちはいつもこんな風に愛の交換をしてる」とHAN-KUN。このMCからアカペラへと繋がり、「愛の歌を」という言葉を合図に清廉なピアノの音色が流れ、「純恋歌」が歌われた。序盤とガラッと雰囲気が変わり、包み込むようなシンフォニックなサウンドで、たっぷり愛を伝えてくれた。

「こんな天候の中、こうやって音楽を鳴らせること、本当に幸せなことだと思ってます。ウクライナ、台湾、世界ではいろんな争いごとが起こっている。でも俺らはここで平和な愛の歌を歌うことができた。それが今の日本。ずっとこのまま続いてほしい。そのためには、俺たち強くなきゃいけない。強く戦う心が必要なんだよ。湘南乃風は武器じゃなくてタオルを持つ。みんなもう一回タオルを上げてくれ! すべてのバッドマインドやネガティヴな心を全部吹き飛ばして、もうこれ以上雨がこないように!」──若旦那

そして奏でられた「風乃時代」で再びフィールドにタオル回しが広がっていく。ラストは「木更津、調子どうだー!? 朝からのヤバい雨でビチョビチョ? 汗かいてビチョビチョ? 濡れたまんまでイッちゃってー!」と、「睡蓮花」へ。ステージには氣志團、ももクロらが参加。真摯なメッセージと楽しいパフォーマンスが夏の想い出として心に残るエンディングとなった。

【Def Tech】





▲撮影◎青木カズロー / MOSSAI STAGE

夕暮れ時のMOSSAI STAGEには、ShenとMicroからなるDef Techが登場。心地よいグルーヴィな楽曲で、<氣志團万博>に集まったミュージックラバーを魅了した。房総の海とリンクする静かな波音から、ゆったりと「Surf Me To Ocean」を歌い出した2人。先鋭的なサウンドに乗せて運ばれてくる懐かしさと温かさを持つ歌声に一気に惹きつけられた。さまざまなジャンルの音楽を聴くことができる<氣志團万博>の中にあっても、彼らの音楽は他のアーティストとはまったく異なる時空にあるようだ。オーディエンス1人ひとりが自由に音楽に身を委ねているようで、雨が上がり暮れていく空気感にもピッタリだ。

「High On Life」の心地よいリズムトラック、深いリバーブギターが身体に染み込み鼓動を高鳴らせた。続く波音のSEもリゾート気分をますます増幅させて、「Catch The Wave」でじんわりと熱く盛り上がっていく。会場後方ではお酒を片手に、リラックスムードで楽しんでいるオーディエンスの姿も多い。

パワフルなビートに支えられた新曲「2 Good 2 Be True」から、「これがリアル“THE FIRST TAKE”でございます。1曲お付き合いください」とのひと言で始まったのは、“THE FIRST TAKE”でも披露した代表曲「My Way」だ。冒頭の見事なハーモニーに、拍手喝采が起こって身体を揺らす。ハートフルにして洗練された楽曲でMOSSAI STAGEを自然と染め上げたDef Techの世界。間違いなく<氣志團万博2022>イチのオシャレ音楽であった。

【HYDE】






▲撮影◎上山陽介 / YASSAI STAGE

「HYDE様、ご降臨!!」という重厚な紹介映像のナレーションとともに、9度目の<氣志團万博>出演を果たしたHYDEは、豪華絢爛な神輿に乗って登場。まるでこの瞬間を待っていたかのように空が昏くなり、ヘヴィなサウンドとともに闇の世界に包まれていく。

さらに「DEFEAT」では渾身のシャウトで煽り、「THE ABYSS」では儚く美しいファルセットで魅了するなど、多彩な表現力でステージを完全掌握。「<万博>と言えば氣志團ですが、もう1組の立役者が。さっき大好きって言われてしまいましたけど」とももクロについて触れたHYDEは「衝撃的なライブでしたね、どんな曲でしたっけ」とももいろクローバーZの「ココ☆ナツ」を歌い、ゴリゴリのラウドロックにアレンジされた「ココ☆ナツ」カバーをサプライズ披露。<氣志團万博>でしか生まれないであろうコラボで狂騒空間を作り上げた。

この日が今年最後のライブとのことで、「今年最後にひと暴れしていきます。みなさん、よいお年を!」と告げて「MIDNIGHT CELEBRATION II」へ。ステージ中を大暴れし、ライブモードで過ごした2022年の集大成とも言える圧巻のパフォーマンスを見せつけた。

【ROTTENGRAFFTY】






▲撮影◎釘野孝宏 / MOSSAI STAGE

MOSSAI STAGE2日目のトリを飾ったのは、<氣志團万博2019 〜房総ロックンロール最高びんびん物語〜>以来2度目の出演となるROTTENGRAFFTY。前回出演時は角材片手にカラースーツ姿で現れた彼ら。それを振り返って團長が「KAKUXILEが来るから。油断しないで」とイジる紹介映像を前フリに、今回はカラージャージにリーゼントヘア、そして角材片手に「氣志團刑務所から脱走してきました!」と殴り込み。

爆笑を生んだ後、いきなり「切り札」「夕映え雨アガレ」と初期の攻撃力満載な楽曲を叩きつけ、今度は音でオーディエンスの心に火を放っていく。N∀OKIとNOBUYAがステージから身を乗り出して熱い言葉を届け、獰猛なミクスチャーロック「THIS WORLD」や、手拍子が湧いた「響く都」などキラーチューンを容赦なく投下。

ラストは不動のアンセム「金色グラフティー」の輝くメロディーがMOSSAI STAGEを熱く染める。前回は氣志團に連行されるエンディングだったが、今回は氣志團警察が取り締まりに来なかったために「脱獄成功!」と狂乱の祭りをド派手に締め括った。

【聖飢魔II】













▲撮影◎青木カズロー/中野修也 / YASSAI STAGE

<氣志團万博2022 〜房総魂〜>2日目、YASSAI STAGEの大トリは<氣志團万博 2015 〜房総!抗争!天下無双!妄想!狂騒!大暴走!〜>以来7年ぶりに聖飢魔IIが降臨して<黒ミサ>が行われる。ソリッドなギターリフが奏でられる中、運び込まれた棺桶の中から、白煙に包まれてデーモン閣下(Vo)が現れた。人間界でもお馴染みの「フハハハハ!」という高笑いを房総の夜空に響かせると、「期間限定再集結再延長、聖飢魔II」と凄み、ハイトーンでシャウトしながら「WINNER!」で本格的に<黒ミサ>を開始した。早速センターステージに足を運び、メロディアスなサビを歌い上げる閣下に平伏す信者(聖飢魔IIファンの呼称)たち。キメを連発するアップテンポのハードロック「SAVE YOUR SOUL」から、「悪魔の<黒ミサ>へようこそ! 今年の<氣志團万博>、できてよかったな!」との優しい悪魔ぶりを見せる。また、一昨年去年と<氣志團万博>に招かれていたこと、念願の出演であることを明かした。

9月発布の23年ぶり大教典(アルバム)『BLOODIEST』収録曲にして先行発布曲「LOVE LETTER FROM A DEAD END」では、閣下の驚異的なロングトーンに圧倒される。<氣志團万博>へ帰ってきた聖飢魔IIと信者による<黑ミサ>は熱狂的な盛り上がり。ルーク篁参謀(G)の様式美的超絶速弾きと、ジェイル大橋代官(G)のブルージーでハードロック的なフレーズの対比が面白い。またちょうど40年前、聖飢魔II結成前から出来ていたという「JACK THE RIPPER」で2人のギタリストが向かい合って競うようにソロを弾くシーンは2日目のハイライトのひとつとなった。

「おまえも蝋人形にしてやろうか!」という決め台詞から始まった代表曲「蠟⼈形の館」では、鬼死團(氣志團)と血の色クローバーMAD(ももクロ)が7年ぶりに登場。“房総ラララ魂ラララー”と<氣志團万博>バージョンのコーラスで房総を支配した。再び聖飢魔IIのみに戻ったステージで閣下は、「実は、吾輩の世を偲ぶ仮の母方の祖父は君津出身なのだ。ということは吾輩の体の中にも房総の血が流れているということだ。今日は房総魂の血でやってやるぜ!」と叫び、客席に盛大な拍手が鳴り響く。

ラストはスラッシーでラウドな「FIRE AFTER FIRE」にて荒れ狂う演奏とシャウトを聴かせ、<氣志團万博>2日目ヘッドライナーの大役を終えた。エンディングでは、再び鬼死團と血の色クローバーMADが合流して、百田夏菜子が三転倒立。そのままの姿勢で「行くぜっ!怪盗少女」を歌って閣下を仰天させるシーンもあり。「疫病を封じ込めるために」という閣下によるカウントダウンから、花火が房総の夜空を焦がして、<氣志團万博2022 〜房総魂〜>2日目は大団円。「フハハハハ! 明日も盛り上がるといいな」と、最後まで心優しい悪魔・デーモン閣下だった。

取材・文◎岡本貴之(私立恵比寿中学、岡崎体育、RIP SLYME、ももいろクローバーZ、湘南乃風、Def Tech、聖飢魔II)/後藤寛子(仙台貨物、綾小路きみまろ、ゴールデンボンバー、GEZAN、氣志團、DOPING PANDA、HYDE、ROTTENGRAFFTY)
撮影◎青木カズロー/上山陽介/釘野孝宏/中野修也

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■<氣志團万博2022 〜房総魂〜>2022年9月18日(日)@千葉県・袖ケ浦海浜公園 セットリスト

【仙台貨物】MOSSAI STAGE
〜WELCOME ACT〜
SE ワンナイトカーニバル千葉さんver.
01. 開運ざんまい
02. 日本でいちばんアツイ夏
03. MUKI MUKI させてよ
04. 絶交門
05. 腐況の風
【綾小路きみまろ】YASSAI STAGE
〜OPENING CEREMONY ACT〜
01. 漫談
【ゴールデンボンバー】YASSAI STAGE
01. #CDが売れないこんな世の中じゃ
02. トラウマキャバ嬢
03. 抱きしめてシュヴァルツ
04. デスメンタル
05. 首が痛い
06. かまってちょうだい///
07. 女々しくて
【私立恵比寿中学】MOSSAI STAGE
01. 売れたいエモーション!
02. ちちんぷい
03. 大人はわかってくれない
04. 青春ゾンビィィズ
05. HOT UP!!!
06. Family Complex
【岡崎体育】YASSAI STAGE
01. MOSSAI様鎮静の儀
02. Insane
03. R.S.P
04. フランスパンゲーム
05. Quick Report
06. なにをやってもあかんわ
07. XXL
08. The Abyss
【GEZAN】MOSSAI STAGE
01. 誅犬
02. replicant
03. AGEHA
04. Free Refugees
05. 東京
06. Third Summer of love
07. DNA
【氣志團】YASSAI STAGE
01. 房総魂
02. NIGHT THE KNIGHTS
03. 男帝 -Dandy-
04. One Night Carnival
05. 喧嘩上等 w/鬼龍院翔、イガグリ千葉
06. The アイシテル w/私立恵比寿中学、鬼龍院翔、イガグリ千葉
【RIP SLYME】MOSSAI STAGE
01. 楽園ベイベー (Remix)
02. Human Nature
03. サヨナラSunset feat.おかもとえみ
04. JUMP
05. JOINT
06. 熱帯夜
【ももいろクローバーZ】YASSAI STAGE
SE overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
01. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
02. 労働讃歌
03. ココ☆ナツ -ZZ ver.-
04. 吼えろ
05. 孤独の中で鳴るBeatっ!
06. One Night Carnival w/氣志團
【DOPING PANDA】MOSSAI STAGE
01. YA YA
02. The Fire
03. Hi-Fi
04. beautiful survivor
05. transient happiness
06. MIRACLE
【湘南乃風】YASSAI STAGE
01. SHOW TIME
02. Joker
03. 黄金魂
04. 純恋歌
05. 風乃時代
06. 睡蓮花
【Def Tech】MOSSAI STAGE
※セットリスト非公開
【HYDE】YASSAI STAGE
01. LET IT OUT
02. DEFEAT
03. MAD QUALIA
04. THE ABYSS
05. GLAMOROUS SKY
06. ココ☆ナツ
07. 6 or 9
08. MIDNIGHT CELEBRATION II
【ROTTENGRAFFTY】MOSSAI STAGE
01. 切り札
02. 夕映え雨アガレ
03. D.A.N.C.E.
04. THIS WORLD
05. 響く都
06. 金色グラフティー
【聖飢魔Ⅱ】YASSAI STAGE
01. 創世紀
02. WINNER!
03. SAVE YOUR SOUL
04. LOVE LETTER FROM A DEAD END
05. JACK THE RIPPER
06. 蠟⼈形の館 w/鬼死團、血の色クローバーMAD
07. FIRE AFTER FIRE

■WOWOW番組『氣志團万博2022 〜房総魂〜』

初日 前編:2022年11月26日(土) 午後1:00
初日 後編:2022年11月26日(土) 午後4:00
二日目 前編:2022年11月27日(日) 午後1:00
二日目 後編:2022年11月27日(日) 午後4:00
三日目 前編:2022年12月03日(土) 午後1:00
三日目 後編:2022年12月03日(土) 午後4:00
▼出演(初日):氣志團、ニューロティカ(WELCOME ACT)、松平健(OPENING CEREMONY ACT)、打首獄門同好会、THE ORAL CIGARETTES、香取慎吾、木梨憲武、coldrain、サンボマスター、SiM、10-FEET、Dragon Ash、藤井フミヤ、フジファブリック、布袋寅泰、ヤバイTシャツ屋さん
▼出演(二日目):氣志團、仙台貨物(WELCOME ACT)、綾小路きみまろ(OPENING CEREMONY ACT)、岡崎体育、GEZAN、ゴールデンボンバー、湘南乃風、私立恵比寿中学、聖飢魔II、Def Tech、DOPING PANDA、HYDE、ももいろクローバーZ、RIP SLYME、ROTTENGRAFFTY
▼出演(三日目):氣志團、DJダイノジ(WELCOME ACT)、森山直太朗(OPENING CEREMONY ACT)、きゃりーぱみゅぱみゅ、Creepy Nuts、くるり、倖田來未、純烈□ダチョウ(※□は温泉マーク)、女王蜂、東京スカパラダイスオーケストラ、氷川きよし、HEY-SMITH、森山直太朗、WANIMA
・収録日:2022年9月17日、18日、19日
・収録場所:千葉・袖ケ浦海浜公園
※前編と後編のアーティスト割り当ては追って発表。
※マキシマム ザ ホルモンのオンエア予定はございません。
※この番組はWOWOWオンデマンドの無料トライアル対象外です。

■関連番組『氣志團万博2022 〜房総魂〜 事後スペシャル番組』
2022年12月03日(土) 午後7:00
▼出演:氣志團、ニューロティカ、松平健、打首獄門同好会、THE ORAL CIGARETTES、香取慎吾、木梨憲武、coldrain、サンボマスター、SiM、10-FEET、Dragon Ash、藤井フミヤ、フジファブリック、布袋寅泰、ヤバイTシャツ屋さん、仙台貨物、綾小路きみまろ、岡崎体育、GEZAN、ゴールデンボンバー、湘南乃風、私立恵比寿中学、聖飢魔II、Def Tech、DOPING PANDA、HYDE、ももいろクローバーZ、RIP SLYME、ROTTENGRAFFTY、DJダイノジ、森山直太朗、きゃりーぱみゅぱみゅ、Creepy Nuts、くるり、倖田來未、純烈□ダチョウ(※□は温泉マーク)、女王蜂、東京スカパラダイスオーケストラ、氷川きよし、HEY-SMITH、WANIMA
・収録日:2022年9月17日、18日、19日
・収録場所:千葉・袖ケ浦海浜公園
※マキシマム ザ ホルモンのオンエア予定はございません。
※この番組はWOWOWオンデマンドの無料トライアル対象外です。

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