【インタビュー】平岡優也、アップテンポナンバーを中心に新たな表情を見せる1stミニアルバム『∞ - infinity -』

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■いろいろな人と出会っていろいろなことを知りたい
■そういう部分はこの先もずっと変わらないんだろうな


──4曲目は「うつろうた」。くたびれている感じと、奮い立たせる感じが絶妙なバランスといいますか。気持ちが移り変わっていく様子を描かれていますけども、この曲もご自身のリアルな体験が生々しく出ているのかなと思いました。

平岡:確かに、実体験で思ったことを率直に書いた曲です。東京という街に出てきて、いろいろなものが輝いて見えていたので、自分もこうならなきゃいけないんだ、こうしなきゃいけないんだみたいな、同調圧力みたいなものがずっと取り巻いていて。そのために必要なものを手に入れてきたつもりだったんですけど、はたしてこれって必要なものだったのかなって、20代後半に差し掛かったときに思い始めたんです。でも、30代に入るとなったときに、これは結果的にいるかいらないかはわからないけど、持っていて別に損はしないよねとか、いらないと思っていたけど持っていて良かったなとか、いろんなことが自分なりに見えてきて。そこは今後もっと見えてくると思うし、精査もしていくと思うんですけど、そういう部分が20代から30代までの10年間はすごく目まぐるしく自分の中で出入りしていて。この曲にはその部分が出ているんだろうなと思います。

──そういう意味では、『20s』のその先というか、ここからという面がすごく出ているというか。

平岡:そうですね。あと、僕は路上ライヴもするんですけど、ファンの人とか、歩いていて足を止めてくれた人とか、そういう人達との出会いをより大事に感じるようになっていて。上京してきたときは、こっちに親族もいないし、もちろんファンなんてひとりもいなかったので、自分が歌っているときに誰かひとりでもその空間にいてくれることが、どれだけありがたいことなのかというのを常に感じていました。だから、カラッポだった当時の自分が「うつろうた」の中にはいるんですけど、どんどん満たされていくものがあって。その一部はまぎれもなく、僕のことを応援してくださっているファンの方だったり、これから出会ってくれる人だったりするので、そういう方達への感謝の歌でもあります。


──確かに感謝の歌ですね。それと、時間の流れといいますか。これは必要かそうじゃないかという選別ではなく、いま自分の中にあるいろいろな部分を受け入れるというか、認め始めているような感じもあるなと思ったんですよね。そうやって自分のことを認めてあげてもいいんじゃないかと思う瞬間もあったりしたんですか?

平岡:ありました。20代後半ぐらいからそういうことを思うようになって。僕は20歳からピアノを始めて、歌が好きで音楽人生を歩み始めたつもりだったんですが、やっぱりいろいろな人達と横並びになったときに、上手い人とか、魅力のある人とか、良い歌を歌う人がいっぱいいて。その方々と比べてしまうと、自分がすごくちっぽけに見えてしまっていたんです。でも、積み重ねていくことで磨かれてきた部分とか、根性がついてきた部分もあるんですけど、それこそオリジナリティというか、僕じゃなきゃできないもの、僕にしか歌えない歌を大切にしようって、ここ最近は思えるようになってきたんです。だから、この先もすごく面食らう場面もあるだろうし、そのたびにきっと落ち込んだりすると思うんですけど(苦笑)、それも無限大のマークと一緒で、繰り返していくと思うんですよね。だから、そうなるたびに、また自分を好きになれたらいいなって思います。

──そして、最後の曲です。「ソングレター」というタイトルで、もう二度と会えない人へ向けた思いや、喪失感と感謝が綴られていて、今作の中で唯一のスローナンバーになっています。

平岡:この曲は8月ぐらいに作り始めたんですが、僕は夏の時期ってちょっと湿っぽくなるというか、しんみりしてしまうところがあるんです。夏って、「海だ!」とか「バーベキューだ!」とか、アッパーな時期でもあるんですけど、どこかで終わってほしくない気持ちがあったり、気づいたら秋に変わってしまっていて、ああ、夏が終わっちゃったね……っていう感覚が強いんですよ。それと同時に、8月はお盆もあるので、もう会えない人のことを思って歌う曲を作ろうと思って。これも実体験から作った歌ではあるんですが、その人への思いを手紙として書きたいなと思ったところから始まった曲ですね。今回はアップテンポ~ミドルが多いので、バラードも1曲は入れたいと思って作りました。



──夏に感じてしまう寂しさと、いなくなってしまったことの寂しさと。

平岡:夏って、やっぱり儚いなって思うんですよ。どこからが夏で、どこからが秋なのかよくわからないまま、「アチぃー!」って言っていたら終わる時期のような気がしていて。それが、ずっと一緒にいられない儚い気持ちとリンクする。僕だけじゃなくて、家族とか友人とか恋人とか、大切な人を失っている人は多いと思うんですけど、その人に何かを伝えることはもうできなくて。でも、生きている僕らはいろんな思いをどんどん募らせていきますよね。その人から返事があるわけでもないのに。でも、そういうふうに思うことが大事なんだろうなと思っていて。お墓参りに行って、ご先祖さまを拝むこともそれと似ているような感じがあるんですよね。「今年も会いにきました」とか、たとえば「結婚しました」みたいな報告をしたりとか。そうやって大切な人を思うことって、すごく大切なことだなと思っていて。だからこそ、その気持ちを歌の手紙にして書こうと思って。冒頭の〈「会いに行くから」それが最後の言葉だっけな〉というのは、実際に最後の言葉が「今度会いに行くから」だったんですよ。まさかこの言葉が最後になるなんて思ってなかったなって、僕も思いますし、本人も思っていなかっただろうし。だからこそ、一瞬一瞬を大事にして、今を生きなきゃいけないんだなって思いますね。

──先ほどもお話しされていた通り、喪失で終わるのではなく、明日へ向かっていく、この先のことを曲に落とし込みたかったと。

平岡:そうですね。僕も含めみんなそうですけど、いまの自分を構築しているものって、これまで歩いてきた中で得た経験とか、出会った人とか、昔の自分が触れたものが詰まっていると思うんですよね。だから、亡くなってしまった人ともう一度会えるとしたら、何を伝えたいかなって考えると、本当にいろんなことを話したいし、なんでこうなっちゃったんだろうねとか聞きたいこともあるんだけど、でもやっぱり、一番最初に伝えたいのは「ありがとう」だよなって。それはいま隣にいてくれる人に対しても同じ気持ちでいますし。あなたと出会えてよかったという気持ちで書きました。

──この曲が最後に来ることで、『∞ - infinity -』というタイトルの意味がずっしりと残るものになりましたね。

平岡:ありがとうございます。

──その作品を持って、初の東名阪ツアーを開催されます。初なのもあってやはり気合いは入りますか。

平岡:そうですね。でも……もっと早くやればよかったなって(苦笑)。

──はははは(笑)。

平岡:大阪、名古屋って、東京から行けない距離ではないじゃないですか。それこそ路上ライヴをやりに行ったりもしていて、全然行ったことのある土地ではあるんですけど、考えてみたらワンマンライヴってやったことなかったと思って。

──でも確かに、路上ライヴをしに行っていると、やっているものだと思い込んでしまいそうというか。

平岡:そうなんですよね。現地で応援してくださっている方には申し訳ない気持ちもあるんです。いつもワンマンは東京でやっているから、わざわざ来てくださっているわけで。でも、このコロナ禍で、やっぱり人には会いに行かなきゃいけないんだなって改めて思いました。僕の音楽人生の夢でもあるんですけど、ちゃんと全国ツアーをやれるようになりたいんですよね。47都道府県全部をちゃんと廻れるアーティストになりたい。それだけじゃなくて、その土地に行って、僕の歌を聴きたいと思ってくれる人が、ひとりでもふたりでも増えてくれるような人になりたいですし、ちゃんとその行動ができる人でありたいなと思っています。

──こういうステージにしたいというのはご自身の中で決めていたりするんですか?

平岡:本当は映画みたいなのを流したいんですけど(笑)、それはちょっと予算的に難しいので、今回は歌をシンプルに届けにいくツアーにできればいいなと思います。歌とピアノで勝負しようと思っています。

──バラードの弾き語りもすごくエモーショナルではありますけど、特に今回の楽曲は、鍵盤を叩くようにして歌っていたら、かなりグっとくる感じもありそうですし。

平岡:ありがとうございます。鍵盤壊す勢いでやります。全部レンタルですけど(笑)。

──いいですね、レンタル機材をぶっ壊す30歳(笑)。

平岡:事務所に全部ケツ拭いてもらいます(笑)。

──はははははは!(笑) 30代で挑戦してみたいことはあります?

平岡:自分ひとりで完結するライヴが多かったので、いろいろなミュージシャンの方とか、ライヴでいったらサポートバンドとか、いろいろな人達と音楽をやっていきたいですね。その中で生まれる気持ちとか、自分の中での答えが見つかると思うんですけど、そこで得たものをまた曲にしていけたらいいなって思っています。

──やっぱり人には会いに行かなきゃいけないんだと思ったというお話もありましたけど、そういう意味でも、いまはいろいろな人と出会いたいという気持ちが改めて高まっているんでしょうか。

平岡:そうですね。出会いたいという気持ちはすごくあります。元々、人が好きなので、話すことも大好きですし、いろいろな人と出会って、いろいろなことを知りたいですし。そういう部分はこの先もずっと変わらないんだろうなって思いますね。

取材・文:山口哲生

リリース情報

DIGITAL 1st mini album『∞ - infinity -』
10月12日(水)配信リリース
◆https://linkco.re/xdxYZP1e
10月14日(金)CD発売開始
1.パラレル
2.ビギナーズ
3.春舞
4.うつろうた
5.ソングレター

ライブ・イベント情報

<平岡優也 Tour 2022「∞ - infinity -」>
11/12(土) 大阪・南堀江knave
11/13(日) 愛知・名古屋sunset BLUE
12/04(日) 東京・代々木LIVE STUDIO LODGE

<原宿RUIDO presents True Playground~pleasing music!!!~>
11/6(日) 原宿RUIDO
出演:H.M.C/小野雄一郎(butterfly inthe stomach)/山口諒也(Absolute area)/平田勝久(tk2tk)/平岡優也/齊藤真生

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