【インタビュー】「チグハグ」TikTokバズの理由をつば男チーフマネージャーが明かす

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TikTokで「チグハグ」が特大のバズを記録したことで、多くのテレビ番組にも出演して知名度を急上昇させた、7人組の男性版清純派グループのTHE SUPER FRUIT。「チグハグ」の音源を使ったTikTok動画は、実に12万本以上が投稿され視聴回数は12億を超えている。「TikTokでバズりたい」と多くの音楽関係者が考えているなか、THE SUPER FRUITはなぜここまでバズることができたのだろうか? つばさレコーズのA&Rであり、THE SUPER FRUITのほか、CUBERS、世が世なら!!!が所属する「つばさ男子プロダクション」のチーフマネージャーである堀切裕真に話を聞くと、1年に及ぶ準備期間があったというのだ。

◆THE SUPER FRUIT メンバー画像

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■TikTokは超フラットに闘えるフィールド

──まずCUBERSが2019年にメジャーデビューされて、2021年にはTHE SUPER FRUIT、世が世なら!!!も結成されて、同時につばさ男子プロダクションが設立されました。CUBERSまでの堀切さんのキャリアはどんなものだったのでしょうか?

堀切裕真:僕がもともとつばさレコーズの新人養成部みたいなところにいたアーティストだったんですよ。でも、そのうちバンドのプロジェクトみたいなのに参加して事務所の代表の吉永さんから「こいつは人当たり良さそうだからプロモーターをやらせてみたら?」って周りに言い、宣伝部で働くことになり、露出をとってきたらお金がもらえるし、自分のことも売ってきていいことになったんです。とにかく吉永代表はエネルギッシュでパワフルで、めちゃくちゃで、無茶振りが多かったのですが(笑) そんな中でも宣伝のお仕事はロッキング・オンなんて普通は行けないから、ワクワクしながらアポ取って、自分の資料を作ったりして、最後に「実は僕もアーティストで」と言って驚かれたりしました。それでうちのアーティストの「24時間テレビ」の露出が決まったり、「スッキリ!」の出演とかも決めたりしましたね。雑誌の表紙を取ってきたりとかもしました。

──まずはアーティストとプロモーターの兼業だったんですね。

堀切:それを2年半ぐらいやってて、淳之介さん(渡辺淳之介/BiSマネージャー)や水江さん(水江文人/当時は井上苑子マネージャー)や福永さん(福永泰朋/水曜日のカンパネラマネージャー)と仕事をしていくと、裏方も面白いかもしれないと思ったんです。つばさレコーズがほぼメジャーアーティストになった時期があって、宣伝部が廃止になったんですよ。でも、僕は当時社長の福原から「音楽やってたからA&Rになれるよ」と言われて、トップダウンで最初の男性アイドルのオーディションをやることになって、CUBERSの5人を集めたって感じですね。

──そこに後にTHE SUPER FRUIT、世が世なら!!!が続くわけですね。「チグハグ」は、いかにバズるかを研究して制作された楽曲ですよね?


堀切:最初にお話ししておくと、このようなプロデューサーインタビューとかで「こうゆう計算で狙ってやりました」的な記事を見ると「ほんとかなー笑 後付けじゃない?」って思っちゃうタイプなので、本当に本音で話しますね。「ここはある程度狙ってて」「ここはまぐれです」とか、全部包み隠さずお伝えしようと思っています。

──ありがたいです。

堀切:CUBERSもスパフルも世が世なら!!!も、TikTokをきっかけに楽曲がヒットする以外は、今の時代なかなか考えられないっていうか。一昔前だと、ドラマやCM、映画のタイアップをヒットのために取っていたわけですけど、TikTokは大手事務所とか行政とか関係ないじゃないですか。超フラットに闘えるフィールドで、それにまず可能性を感じたのと、もうそこ以外でアイドルがヒットさせるっていう絵がなかなかないと思って。企画書にも「TikTokでヒットできるイメージをもっておく」みたいな感じで書いてたんです。「チグハグ」に曲を決める時も“A”と”B”があって最終悩んだんですけど、攻撃力があるBのチグハグにしようみたいな。

▲「チグハグ」初回限定盤

▲「チグハグ」通常盤

──そして「チグハグ」は見事に大きな話題になりましたが、想定内のバズだったでしょうか、予想以上のバズだったでしょうか?

堀切: もちろん、TikTokでヒットさせるっていう気合いで作りました。あの、バーッて全部話していいですか?

──ぜひ話してください。

堀切:曲作りの段階からTikTokのことを考えてて、タイトルも最初「CHIGU!HUG!」っていうローマ字だったんですよ。でも、ぱっと見で読んでから「あ、チグハグか」ってなるよりはカタカナで「チグハグ」のほうが「ん?何へんてこりんなタイトル」となるし、しかも「それがデビューシングルって何?」みたいに思ってもらえたほうがいいんじゃないかなと。まず曲を聴いてもらえる入り口をいっぱい作ろうって。ファンの方にも、ライブで撮影してもらい、TikTokに動画を上げるのを通常行程に自然にしてもらうように考えました。リリイベで撮影OKにして、普通に「上げてね」って言ってもなかなか上げていただくのは難しいと感じたので、企画にして、TikTokにハッシュタグを付けて投稿すると5ポイント!友達をお会場に連れてきてくれると50ポイント!このような感じでキャンペーン化して、期間中に10万ポイント達成したら、ご褒美に“個別落書き会”を実施しますといった内容にしたんです。結果的にメンバーもファンの方も真剣にその10万ポイントを達成しようと頑張ってくださりファンの方もたくさんの動画をTikTokに上げてくれたんです。

▲THE SUPER FRUIT 小田惟真

▲THE SUPER FRUIT 星野晴海

▲THE SUPER FRUIT 堀内結流

▲THE SUPER FRUIT 田倉暉久

──ファンのみなさんにもTikTokを習慣にしてもらったんですね。

堀切:2回奇跡があるんですけど、一つ目がファンの方が上げた推しカメラがバズったんですよ。バズった要因はいまだに考えても結論は出ないのですが、メンバーの衣装のセーラー服のインパクトとか、たしか雨の中やってたライヴだったこともあったのでその光景もそうですし、メンバーのルックスやスキルもそうだと思うんですけど、やっぱ曲が持ってる力がそこで発揮された感覚がありました。その動画がプチバズりしてから、違うメンバーの推しカメラもプチバズりしたんですよね。8月31日にデビューだったんですけど、8月3日にTikTokに公式音源が登録されて、メンバーと「とにかく初動が大事だから、最初の1週間で公式音源を1000投稿してもらえるように本気でみんなで頑張ろう」みたいな話し合いをしました。リリイベも6月から始めて、ファンの方がたくさん撮ってくださっているので、再投稿でもいいので公式音源でもう一回上げてもえるように、ファンの方にメンバーがちゃんとお願いしたんです。上げ方がわからない子もいるので、アップの仕方、音源の選択の方法とかも教えるメンバーもいたりしましたね。メンバーと一緒にそういう目標を掲げたら、1000投稿どころか最初の1週間で確か2000投稿ぐらい行ったんですよね。これがプチバズりしていた推しカメラ動画と一致したり、あいまったりして、どんどん楽曲が拡散され始めていきました。

▲THE SUPER FRUIT 松本勇輝

▲THE SUPER FRUIT 鈴木志音

▲THE SUPER FRUIT 阿部隼大

──本格的にバズりだしたわけですね。

堀切:いろいろなTikTokerの方があげては広がって、また広がってみたいな繰り返しだった記憶があります。でも、ちょっとチグハグな小ネタや大喜利みたいな話をしてから「それでは聴いてください、『チグハグ』」っていうのは、まったく意図してないものでした。あれは奇跡です。なので普通にダンスでバズってる動画と、大喜利ネタでバズってる動画の二つ走ってて、なんなら後者のそのネタバズリのほうがどんどん大きくなっていきました。その結果、ネタバズリで知った人たちが「MVあるんだ」ってクリックしてくださり、そこでフルを初めて聴いて歌詞のことに気づいてくれたりとか、メンバーのパフォーマンスを見てもらえたり。「ただのトンチキソングとかネタソングだと思ってたら、めちゃめちゃいい曲じゃん」みたいなコメントをいっぱい書いてもらえて。

──どんどん楽曲の魅力が発見されたんですね。

堀切:あと、K-POPトレンドがもう3〜5年続いてるじゃないですか。僕は90年代とか2000年代のジャニーズさんの音楽がすごく好きなので、この最近のトレンドに少しだけ違和感もあったりしたんですけど、僕があまりわかってないそちらのシーンに迎合するのではなく「チグハグ」で正々堂々、僕がいいと思ってる国産アイドルソング的なものを真剣に気合い入れて制作しよう!と思って作ったら、それをほめてくださる方もコメント見ると多かったですね。「日本人はやっぱり英語じゃなくて日本語でいいんだよ」みたいなお声が届いたりしました。あと、「多様性をテーマにして現代の社会を歌った新しいアイドル」みたいな取り上げ方をされがちですが、これは狙ったっていうよりも、スパフルのコンセプトで中世的な部分や男性なのに清純派感みたいな雰囲気があったので、自然に出てきたものなんです。衣装のセーラー服のトーンや歌詞は、そもそもメンバーが持ってる内面的な部分をしっかり前に押しだしただけなので、そこを評価してくださるのはすごいうれしいなと思いました。

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