【インタビュー】Rhythmic Toy World、通算100曲目の現在地に新局面と集大成「長い年月を経てここに辿り着いた」

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Rhythmic Toy Worldが11月10日、デジタルシングル「命の絵」をリリースした。記念すべき100作目となる新曲には、これまでのバンド人生の集大成というテーマがありつつ、Rhythmic Toy Worldがこの先も続いて行くという明確な意思が込められた作品だ。「何回だって夜を越えて、始めることができる」と語られた言葉は内田直孝(Vo, G)の決意の表れでもある。

◆Rhythmic Toy World 動画 / 画像

内田の力強くも儚さを感じさせる歌詞と歌声には磨きが掛かり、岸明平(G)、須藤憲太郎(B)、佐藤ユウスケ(Dr)によるバンドアンサンブルは変幻自在で縦横無尽、高度なアレンジが聴きどころのひとつ。生粋のライブバンドながら、サウンド&プレイへのこだわりは深く、アイデアを具現化する技量も併せ持つ。それが現在のRhythmic Toy Worldでもある。通算100曲目ならではの経験も思い入れも注ぎ込まれた「命の絵」制作過程について、メンバー4人が語るロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■100曲目なのでバンド感を重視
■集大成として今を入れたい


──「命の絵」は通算100作目の楽曲ということですが、どんな思いで書いたものですか。

内田:現在地から自分たちの音楽人生を一度振り返ってみてどうなのか? その時々でどう思っていたのか? みたいなことを客観的かつ主観的に書いた曲です。100曲目じゃなければ、こうはならなかったとは思うので、めちゃくちゃ意識してました。

──ファルセットを重ねた歌い出しからのボーカルに驚きました。こういう始まり方ってこれまでにありました?

内田:なかったと思います。こういう始まり方もカッコいいかなと。

岸:ボーカルに関しては結構練ったよね、今回は制作する時間も結構あったし。

内田:簡単に言っちゃうと、今っぽさも採り入れようという感じでしたね。現在のチャートに乗るような音楽のボーカルの重なり方って、だいたい二声とか三声のオクターヴ違いを被せてたりするんです。それは最近の僕らの曲では結構意識して採り入れてるところ。それと、冒頭が歌で始まるのが僕らのひとつの代名詞なような気もしていて。そこにファルセットを重ねたことで、しっかりとアップデートしている今の自分たちを表現した感じ。プロローグっぽさと、長い年月を経てここに辿り着いた感じが、この1フレーズに入ってると思います。

──デモはどれぐらいまで出来た段階でメンバーさんに聴かせるんですか?

内田:この曲に関しては雛形みたいなものが少し前からあって、僕がっていうよりは、メンバーが「あの曲をちゃんと形にしたい」と言ってくれたのが一番強いきっかけではありましたね。

佐藤:曲の種みたいなものは制作タイミングより前に聴かせてもらっていて、「次はどれにしようか」っていう話は常々あるんです。「命の絵」は、「結局使わなかったけど、あの曲は結構いいよね」みたいな話をメンバー間でしていたので。


▲内田直孝(Vo, G)

──毎回アレンジは凝っていますが、「命の絵」は1番と2番で繰り返すフレーズがないほど趣向を凝らしている印象でした。特に鍵盤を使った音を多用していますけど、これは岸さんですか?

岸:鍵盤は最初、入れていなかったんです。だけど、自分たちの集大成みたいな曲にしたいという気持ちがあったので、シンセ、ピアノ、ストリングスを入れたいなって。ただ、鍵盤を入れるとドラムとベースとの兼ね合いが結構難しいんです。そこは僕のアレンジをリズム隊の2人がブラッシュアップして構築してくれるので、すごくうまく成り立ったというか、バンド感がしっかり出ていると思います。

須藤:アレンジに関しては、本当に同じところがないくらい、みんながやりたいようにやってるんですけど、やっぱりこれって、ウッチー(内田)の歌を真ん中にしているから成り立つんですよ。特に、2番Bメロの後、ドラムがめちゃくちゃ叩いているところに、ベースがスラップで合わせたり。そういう絶妙なアンサンブルって今までなかったし、それって(佐藤)ユウスケ君とだからできるアプローチなので、すごく面白かったです。結果、100曲目の節目であり、集大成になったなっていうことはすごく感じています。

──そういうアプローチは、セッションしていく中で固まっていくんですか。

須藤:いつもドラムを先に録るので、「ユウスケ君がどう叩くか」みたいなことをスタジオで話しつつ、あらかじめ「ベースはこんな感じで弾くよ」ってものがあれば、最初にすり合わせます。現場でウッチーから、「こういうアレンジはどう?」ってアイデアが出て、そこから変わっていくこともありますし。

──それぞれがアイデアを重ね合わせていくような。

須藤:ユウスケ君も引き出しが多いので。最終調整の段階で、お互いの良さを出しつつ、みんなが「いいね、それ!」って完成したときがすごく幸せというか。今まで積み上げてきたことを、結果的に込めることができた楽曲になったと思います。


▲岸明平(G)

──みなさん、集大成ってことは意識していたんですね。

岸:100曲目なので、バンド感を絶対重視したいこと、集大成として今を入れたいということ。その上で、詰め込みすぎないバランス感というのはすごく考えてましたね。

佐藤:個人的な話をすると、ドラムのアレンジはギリギリまで悩みました。最初にやろうと思ってたフレーズが、叩いてみたら合わなかったりして、とっかえひっかえしているうちに、すごく難しいフレーズになっちゃって(笑)。2番のAメロとかBメロあたりは本当に最後まで決まらなかったんですよ。

──その部分の二拍三連の刻みがトリッキーです。

佐藤:僕が20歳ぐらいのときに聴いてたマスロック系バンド…たとえばtoeの柏倉(隆史)さんとかあの界隈のフレーズをもとにアレンジしてみて。普通に“ドンパン ドンパン”ってリズムを叩きつつ、右手はフロアタムのリムで二拍三連を叩くという。“ああ、やっと決まった!”みたいな感じだったんですけど、気づいたらもうレコーディング当日でした(笑)。

内田:レコーディング直前にスタジオで合わせたときも成功しなかったくらい難易度が高くて。でも、最終的な正解は彼の頭の中にあって、“本番はできる”っていう感じだったから。昔よりしっかりレコーディング準備をするようになったけど、そういう遊びの部分も設けられるようになったし、そのあたりはメンバー個々に任せているんです。結果、自分たちが想像してたものより、さらに良くなることが多いですね。さすがにこの歳になって、めちゃくちゃ意味のわからないミスをすることもないから(笑)。

岸:エンジニアさんが、今までの僕らの全曲を手掛けてくれている方だったので。今回が100曲目ということで、すごく力を入れてくださって、アドバイスをいただいたり。たとえば、音のぶつかりとかも指摘してくれて、ギターフレーズをサビだけ1オクターヴ下げるとか、最後の最後までアレンジを突き詰めました。


──間奏のギターソロ後、ピアノとボーカルだけになるところも岸さんがピアノを弾いているわけですよね。

岸:ライブでは、まだどうするか決めてないんです。

内田:実際のライブではサポートギタリストがいるので、岸が鍵盤を弾くときはサポートギターがリードを弾いてくれたりもするんです。「命の絵」はライブで岸が鍵盤を弾くのか、それともリードギターを弾くのかっていう棲み分けになるはず。

岸:自分でギターソロを弾いてから自分で鍵盤を弾く、というライブでの切り替えは今までやったことないよね。ちょっと検討してみます(笑)。

──内田さんもレコーディングでギターを弾いているわけですよね。

内田:僕らのレコーディングは、ドラム→ベース→僕のリズムギター→岸のリードギター→歌という順番に録ることがほとんどで。たまにフリーテンポのところだけ僕がギターを弾きながら歌って録ることもありますけど、それはエンジニアさんから「歌ってるときのリアルなテンポ感がほしい」って言われたときで。最終的に歌は差し替えるんですけどね。

岸:内田のギターはリズム感がめちゃくちゃいいんですよ。歌とのグルーヴがすごく合ってる。そこは僕が弾くギターと全然違うところで、僕がバッキングギターまで全部弾いちゃうと、リズムが固まっちゃいかねないんですよね。みんなが違うリズム感を持っているからこそ、グルーヴが面白いものになるんだと思います。

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