【インタビュー】Ken Yokoyama、2023年第3弾シングルに魔法の言葉「愛情深くて、人間らしくて、大切なこと」

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■これを言っておかないと
■「These Magic Words」の歌詞の話はできなかった


──ともかく曲が生まれてテンションも高くなり、次に歌詞ですよね。歌詞を書くときは、横山さんの思考モードも変わると思うんです。これまでやこれからに関して見つめる作業も、自然と行うと思うんですね。この曲の歌詞には気持ちが包まれます。特にサビの“Oh yeah, it’s alright. It’s gonna be OK (=オーイェー 大丈夫さ そのうち オッケーになる”。

横山:僕としては、すごくいい曲が書けたから、しっかりしたテーマを乗せたいと思ったんですよ。それで出てきたのが、サビの言葉。なんとなく自分らしくないなとは思ったんですけどね。僕はそこまでポジティヴなことを歌うほうではないから。でも今回は、あのサビの言葉が自分の気分だったんですよね。

──メッセージをストレートに言ってくれるから、すごく力があるんです。しかも今、この瞬間だけじゃなく、ずっと響き続ける言葉なんですよ。

横山:人間がポジティヴに生きていくための要素のひとつなんじゃないですかね、あの言葉って。そう、だから“マジックワーズ”だなと思ったんですよ。あの言葉って愛情じゃないですか。子供の頃からちゃんと人から言われて生きてきた人と、そういう愛を受けずに生きてきた人って、同じ世の中を生きていくにしても、息苦しさは違うと思うんです。というのも、僕にはまだ3歳にもならない子供がいるんで。奥さんと子供が接している中で、そういうシーンがすごくあったんですね。なんにも知らない生まれたばかりの子供に、そう言ってあげられるのは、きっと大事だろうなってすごく感じたんです。で、言っている自分たちにも、そういった形で返ってくる。だから、僕たちが子供たちに言ってあげられることでもあるし、キミが言わせてくれたことでもあるから、キミから教わったことでもあるんだよっていう。



▲横山健 (G, Vo)

──それだけ愛情に包まれた歌ですよ、「These Magic Words」は。褒めて伸ばすって教育があるじゃないですか。叱ってばかりではなく、認めた上で伸ばすっていう。

横山:叱る場面っていうのも当然あると思うんですね。だけど最初の段階で、キミには家族がいる、お父さんとお母さんがいるんだよってことをちゃんと言われた子は、もっと自信を持って生きられる。叱られても、親とか外圧によって道を限定されそうになったとしても、その中で明るく強く生きていける気がするんです。僕なんか、親は言ってくれてたかもしれないけど、あまり自分の中にないんですよね。“大丈夫だよ”っていうのが。だからなおさら、うちの奥さんが子供に言ってるシーンが、すごく愛情深くて、人間らしくて、大切なことだなって感じたんですね。Junちゃんは、そういうふうに思ってるらしいんですよ。なんでも、“大丈夫だ”って。

Jun Gray:自分の人生においてね。楽天家と人からよく言われるんですけど、確かにシビアな困難にブチ当たったときも、その不安を打ち消すために、“大丈夫。なんとかなる”って思い込んでいるところあるし。俺にも子供がいて、うちの子は出来も良くないから、失敗もたくさんするんですよ(笑)。それでヘコんだりするけど、俺は子供に「大丈夫だ、なんとかなる」って、しょっちゅう言ってるし。なんとかなると思ってないと、なんとかならないから。それも常に言ってるし。ちゃんとそれをイメージしておけば、なんとかなるもんだよ。俺自身そうやって生きている。

──なんとかなるって思っていると、最終的に自分でなんとかしますからね。

横山:そう。

Jun Gray:つまずいたとき、ネガティヴに考えていっちゃうと、そのネガティヴから抜け出せなくなる。“なんとかなるんじゃないの”って思っておくと、実際に自分もそういうふうになんとかなってきたんだよね。だから子供にも常々言ってますよね。「なんとかなるから」って。

横山:それはJunちゃんの性根かもしれないけど、Junちゃんの親御さんが良かったんだろうね。

Jun Gray:どうだろうな。それはそれでね、俺もいろいろあったよ(笑)。



▲Jun Gray (B)

──いろいろあったからこそ、Junさんは“大丈夫、なんとかなるもんだよ”って考え方になっていったかもしれないし。親を反面教師のようにしたりして。

Jun Gray:うん、そうですね。すぐなんとかなるかどうか分からないけど、なんとかなると思っていると、時が解決してくれるというか。

──明日にもなっていないのに、明日のことを暗くばかり考えていては、なにも希望がないですよね。

横山:この曲は別に若い子だけに向けて書いたつもりもなく、全世代に聴いてもらいたい曲ではあるけど、歌詞の目線は若い子たちや子供に向けているじゃないですか。こう言ってくれる大人がいるってちょっと分かるだけでも、気持ちの持ちようも違うかもしれないし。

──こういう曲を作ったことで、これからライブに来てくれる若いお客さんが、大きい声でサビを歌うし、叫ぶわけでしょうし。

横山:それがまたいいっすよね。僕も経験あるんですよ。グシャグシャのピットの中で、歌詞の意味とかよく分からないけど、一緒になって声を出して歌っていたら、歌詞の意味がすっと入ってきちゃって、泣きそうになったこととか。この「These Magic Words」でそういう体験してくれる子が増えてくれたらいいな。家でCDを掛けて一緒に歌ってくれるでもいい。

──絶対に響きますね、“マジックワーズ”が。

横山:ここでちゃんとひとつ話しておきたいことがあるんです。僕の話なんですけどね。僕、離婚しているんですよ。そのときにSNSで、“横山健って家族愛を売りにしてなかったっけ”みたいなこととかを。抽象的な温度というか、悪口というか、随分言われたんです。

──SNSで叩かれたわけですね。

横山:うん。みなさんが叩くのは別にいいけど、僕は家族愛を売りにしたことはないつもりなんです。今回の「These Magic Words」も、発想は自分の子育ての中からだけども、でもそれを切り売りしているつもりはない。だって自分が父親として過ごしていることとか、離婚歴があることとか、3歳にもならない子供がいることも、現に事実で。それらが歌詞を書くときに入り込んでこないわけがないんです。だから売りにしていると言われれば、そうなのかもしれないですけど、あなたの言う温度の売りじゃないよっていうふうに思います。しばらくそれを言われるのがイヤだったから、家族の話は一切しなかったし、これからも過去していたようにはするつもりはないんですけど、「These Magic Words」がこういう歌詞なだけに。


──また、ゴチャゴチャ言いがかりつけるヤツも出てくるかもしれないし。

横山:この歌詞を説明する過程で、家族ってものが出てきたときに、そこを説明しておかないとなって。

──歌詞には、その人の経験や心境、置かれた状況など、当然滲み出てきますから。

横山:だからね、僕はかつて、そんなに家族愛を全面に出していた?って思うこともあるんですよ。まあ、見る人によってはそれはそうなんだろうし、それを裏切ってしまったんだったら、それは僕がキミのメガネに適わなかった、と言うしかないんですけど。でも、そこまでじゃないぜってところがすごくあるんですよ(笑)。

──横山さんの歌詞から包み込んでくれる優しさを感じることがあるんです。それが当時の横山さんの状況なども重ね合わせて、家族愛と思ってた人もいるかもしれないですね。

横山:でも、僕は離婚しても、子供たちに対する愛情は一切変わってないし。そりゃね、男と女だから、夫婦にはいろいろありますよ。でも子供は、一生自分の子供。毎日、一緒にいられなくても、新しい形を作って親子になっていくわけで。離婚で息子たちを傷つけたことも間違いないけど、そんなこと、あなた方にいちいち言われる必要ねえよとも思うし。自分が反省すりゃいいだけで。ただ“あんた、息子たちを傷つけたでしょ。それなのに父親としての歌を唄うわけ?”って、今の世の中だったら言われそうな気がするんですよ。言ってもらっても構わないけど、大きなお世話ですよ、本当に(笑)。そこで計る人がいるという事実がある一方、そんな簡単なことじゃねえよっていう、こっちの気持ちもあります。そういうことTwitter(現X)なんかで見れちゃうんで。僕は見なくなりましたね。

──なんでも匿名でメッセージできる世の中だから、攻撃したがりの、ひねくれたヤツはいますから。

横山:ひねくれてなくても、僕が本当に傷つけてしまった可能性もあるから。“健さんの家族愛が好きで、あなたの歌が好きです”って人もいたと思うんです。そういう方には、謝るしかないってわけでもないけど、俺はもともとそんなできた人間じゃないよってところもあるし(笑)。家族と一言で言っても、夫婦にはいろいろあって、子供に対しての愛情は、形は変われど、一切変わらないですからね。これを言っておかないと、「These Magic Words」の歌詞の話はできなかったんですよ。

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