【インタビュー】LUNA SEA、真矢が語る『MOTHER』『STYLE』とドラム「音の幹の太さ…それがバンドの歴史の全て」

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LUNA SEAが11月29日、アルバム『MOTHER』(1994年発表)とアルバム『STYLE』(1996年発表)を完全新録したセルフカバーアルバムを二作同時リリースした。そして開催中の<LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023>は、1995年当時のツアー<MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE>と、1996年当時のツアー<UN ENDING STYLE>を現代に蘇らせたもの。10月7日および8日のKアリーナ横浜公演を皮切りに、福岡、仙台、名古屋、大阪のアリーナ会場を巡る5大都市ツアーであり、各地土日2Daysは土曜日に<MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE>、日曜日に<UN ENDING STYLE>が実施されるなど、LUNA SEAの2大アルバムツアーが並走する形だ。

◆真矢 [LUNA SEA] 画像

約30年前にリリースされたアルバムの再現は、オリジナルのイメージを損なうことなく、原曲アレンジを基盤としてリテイクされたものだが、そこに込められたエネルギーは膨大で強烈。転がる石は角が取れて丸くなるものだが、尖りまくって痛快極まりない。先ごろ公開したRYUICHIインタビューで語られたように、エンジニアリングを務めたスティーヴ・リリーホワイトの手腕は驚愕に値すると同時に、30年の重みとメンバー個々の力量の高さを改めて実感させられる仕上がりだ。

真矢のパーソナルインタビューでは、1990年代中盤を振り返り、途方もない音へのこだわりと当時ならではのレコーディングエピソードを語ってもらいつつ、現代との対比や現在開催中の<LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023>にもスポットを当てた。最新ドラムセットの登場は思わず納得のシステムに裏付けられたものであり、その詳細にはほっこりポイントも。爆笑に次ぐ爆笑が繰り広げられた13000字のロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■アナログRECには緊張感があった
■ドラムは一発録りみたいなもの


──『MOTHER』と『STYLE』をセルフカバーすることは、いつぐらいに、誰からの発案で決まったんですか?

真矢:けっこう急な感じだったよ。コロナ禍もあったし、その後はRYUICHIのノドの調子でちょっとお休みした期間もあったりして、いろいろバタバタしていたからね。今年10月から<LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023>をやることが決まったとき、それならライヴの軸になる作品『MOTHER』と『STYLE』を、セルフカバーしてみるのもいいんじゃないかって。avexさんやスタッフも含めて、みんなで話が盛り上がって決まっていったんだと思う。

──真矢さんにとって、オリジナルの『MOTHER』『STYLE』はどう映っていました?

真矢:1曲1曲が、パリッとスーツを着て、襟を正して演奏していたような雰囲気。本当に作り込んだからね。

──『MOTHER』のレコーディング時期に、たしか世田谷のレコーディングスタジオへ取材に行ったことあるんですよ。そのときにリアンプを本格的に採り入れたんだってことで、かなり時間を掛けて制作を進めていたようでした。相当、こだわって音作りしていたことを思い出します。

真矢:そうだね。『MOTHER』の頃から、もっともっとこだわりを持って楽曲を作れる環境になってきたんだよ。『MOTHER』に収録された「ROSIER」がまず先行シングルとして発売されたよね。「ROSIER」のデモテープを聴いた当時のレコード会社のスタッフや事務所のスタッフが、楽曲の良さにめっちゃ賛同してくれて。シングル「ROSIER」で勝負をかけてくれた。世の中的にもLUNA SEAってバンドが認知されたと思うんだけど、それが1994年くらい。だから認知された時期だったというものもあったし、レコーディングではちょっと襟を正したような感じで。


▲<LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023>11月4日+5日@福岡公演

──緊張感を持って作曲からアレンジやレコーディングもやっていたような?

真矢:うん、そうだね。今もライヴやレコーディングなど演奏に対しての緊張感はもちろんあるよ。でも当時は緊張感に硬さがあったね。

──バンド内のムードはどうだったんですか? 意思はひとつ、という感じでした?

真矢:いや、違うでしょ(笑)。その頃はメンバーがライバルみたいな感じだったから。いい意味で、火花がバチバチ散ってたよ。

──言わんとしていることは分かります。それ以前はメンバー全員でのインタビュー取材が多かったんですけど、『MOTHER』を作っているあたりからパーソナル取材がメインになってきましたから。

真矢:ああ、そうかもしれないね。

──ひとつの作品に向かうにしても、メンバーごとに考えや意思、アイデアなど、いい意味でバラバラになってきたような時期だったと解釈しています。

真矢:そうそう。だからこそ、多種多様の楽曲とか音色の詰まったアルバムができたんじゃないかな。


──オリジナルアルバム『MOTHER』レコーディング当時のドラムシステムのことは覚えていますか?

真矢:覚えてますよ。サウンドスカイ川奈スタジオってところがあって、そこがものすごくアンビエントの響くスタジオで。『MOTHER』はそこでドラムを録ってる。でもレコーディングの前、6キロのダイエットをしちゃったんだよ。

──なんでまた?

真矢:いや、一応カッコ良くなろうかなと思ってだよ。ほら、ヴィジュアル系だから(笑)。

──よく分からないことを言い始めてますけど(笑)。でも、「レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムはあの体重だから重い音が出るんだ」と真矢さん自身が言ってたでしょう。

真矢:そう! まず「LOVELESS」からレコーディングをしたんだけど、そのときにキックの音が全然決まらなくて。キックの音だけで丸一日掛かっちゃったんだよ。

──ダイエットしたせいで、以前の自分のキックサウンドとは違うものになってしまって?

真矢:そうそう、全然軽くなっちゃった。今はPro Toolsとか、レコーディングのハードの技術が発達しているから、あんまり問題なく編集できると思うけど。でも当時は、アナログテープで録っていたから。ドラムを鳴らしたときに、部屋も鳴らすようにしないと、本当にいい音で録れない時代だった。ところがキックがいい音じゃなくなっちゃって、すっごく苦労したのを覚えている。それでダイエットはやめたんだよ。

──やっぱりドラマーとしては弊害があったんですね。

真矢:そうだね。今はないですよ、ダイエットできないだけだけど(笑)。


▲<LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023>10月7日@横浜公演

──相変わらず、いちいち笑いをブッ込みますね(笑)。「LOVELESS」の音決め以降も、いろいろ苦労はありました?

真矢:「LOVELESS」だけに12時間かけたことでコツを掴んだから、あとは1日1曲のペースで録れたと思う。僕はドラムのテイクをあんまり重ねたくないから、2〜3テイク叩いて、いいものを選ぶって感じなんですよ。その頃はアナログテープに録っていたし、アンビエントも大切にした音にしていたから、パンチインとかやっても不自然な音になるしね。

──録りの前に、ドラムアレンジはガッチリ固めていたんですか? それともインプロの余白部分も残しながらですか?

真矢:フィルフレーズはインプロ。でもアンサンブルが大切で、ベースやギターのフレーズもそこに大きく関わってくる。だからリズムパターンはけっこう事前に固めていたね。

──ドラム録りのとき、他のパートもガイドとして一緒に弾いてもらったり、デモを鳴らしたりしたんですか?

真矢:当時はメンバーも一緒に弾いていたんですよ、仮ギターと仮ベースを。そういうレコーディング手法の時代。でも仮だから、みんな、ヘベレケでさ(笑)。

──ま、それは冗談として、今の時代から見ると、そういうやり方が懐かしいと思うと同時に、全員で鳴らす感じっていいですよね?

真矢:いい! いいよね。ライヴだよね、ライヴ。レコーディング中にアイコンタクトできるのもいい。世界的に超有名な海外ギタリストの話なんだけど、そのギタリストは譜面が読めなかったそうで。だからレコーディングでギターソロを初めて弾くとき、コンソール側のプロデューサーやメンバーがあるタイミングで手を挙げるんだって。それがソロが終わりの合図になる。そういう緊張感って、たまらなくいいじゃん。ガチガチに決めてやるよりも。もちろんガチガチに決める良さもあるんだけどね、アナログレコーディングにはそういう緊張感があったよね。LUNA SEAは2000年の『LUNACY』まで、ドラムはずっとアナログレコーディングだったんですよ。ドラムはアナログで録って、それをデジタルデータ化してPro Toolsに流すっていう作業をしていた。

──アナログレコーディングは真矢さんのこだわりだったんですか?

真矢:いや、レコーディングエンジニアさんのこだわりだったんだけど、結果的に、当時はアナログのほうが音が太くて。あの当時のPro Toolsは、今と比べたらまだそんなに発展していなかったから、プラグインも今ほどなくて。だからドラムは全部アナログで録って、それをPro Toolsに流すという方法を取ってたので、ドラムは一発録りみたいなものだったよね。

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