【インタビュー】宮﨑 薫、4年ぶりのEPやASKA&デイヴィッド・フォスターとの共演を語る「すごく変化があった1年」

ポスト


■ 実際の自分はすっごい男っぽい

── クリスマスソングの後には、4年ぶりのニューEP『Beautiful』も発売されました。まずジャケットについてなのですが。青空をバックに、顔に影が映っているものの正体は?

宮﨑:これはお花。花の影です。色んなお花で試したんですが、この花は…なんだったかな?(笑)

▲『Beautiful』ジャケット


── はははっ。タイトルに込めた意味を教えてください。

宮﨑:4年間という音楽活動のインターバル、その中ですごく時代も変わったし、私も30歳から34歳になったので、前作の時とは、見えている景色を自分でキャッチする感覚がまったく違いました。どこかで「34歳になっちゃった」という感覚もあるし、「まだまだこれから」という気持ちもあって…みんなどこかで、世の中の時間の流れが速く感じて「なんとなく自分だけ置いていかれてる」という不安感を漠然と感じている部分がきっとある。私自身も『The Light』から『Beautiful』の間はそうだったので、そこを素直に落とし込んでみようと思いました。でも、周りには頑張っている人たちがたくさんいて、特に少し年上の女性の先輩にそれを感じて「カッコいいなと」と思う気持ちもあったので、そういう頑張ってる人たちに刺激を受けて書いた曲なんです。「Beautiful」という曲は。前作からここに至るまでの時間、変化を一番表しているのがこの曲なので、アルバムのタイトルにして、尚且つ1曲目に入れました。

── 1曲目の「Beautiful」に込められた凛として生きる力、その意思を、1番ならBメロの“嘘は”、“ことを”の語尾をスパンと切った歌い方に強く感じました。

宮﨑:この曲を一緒に共作してくださったmiwaflowerさんは、まさに私よりも少し上の先輩の方で。その人と希望や不満をいっぱい書き出して、そこからどんなことを言いたいのかをたくさんディスカッションしながら一緒に作ったんです。miwaさんには、ヴォーカルディレクションにも入ってもらってレコーディングをしました。自分がいいと思うものと人が「いい」と思うものは意外と違ったりするので。そこは『The Light』の時と一番変わったところで、今作はいろんな人に入ってもらって、初めて“共作”というスタイルで作っていったものが多くて、それがいい変化になっているといいなと。

── では、さっき言った語尾の歌い方も?

宮﨑:その変化が表れている部分ですね。私1人でレコーディングをしていると暗いテンションになってしまいがちなんですけど、人がいると「もうちょっとニュアンスを明るい気持ちでやったらどうだろう」とか、いろいろキャッチボールができますね。



── 躍動感を感じる1曲目に対して、2曲目の「Karma」はダークネスがうごめいてます。

宮﨑:テーマもそういうものを扱ってますからね。

── ムーンバートントラップに乗せて、ドロドロな深層心理深を歌ってるのが怖かったです。

宮﨑:ははっ。そうですか? でも私にとっては、歌詞も雰囲気も自然です。奥底にある感情ですけど自然に自分から出てきたものです。

── 最後の“イェ〜”という、宮﨑さんっぽくない地声シャウトには怒りさえ感じましたが。

宮﨑:ああ、あそこは「こんな高い声出るかな」と思いながら、血管が切れそうになるぐらい声を張って叫びました。ファルセットにいかないところも、人とキャッチボールをしながら生まれたので、そこが曲のキーポイントになりましたね。

── ヴォーカルをエフェクト処理して冷たい硬質なタッチにしたのは?

宮﨑:曲の雰囲気とメロディーのキーとの相性だと思います。

── MVでは最後にナイフで刺すシーンがありましたけど。あそこはどう感じましたか?

宮﨑:あそこは私がやりたかったシーンです。刺したと思ったら自分が刺されてたというのは曲のテーマでもあるので、あのシーンは入れたい、とオーダーしました。


── こんな美しいお顔でそういうことを考えてらっしゃるところにギャップがありますね。

宮﨑:本当によく言われるんですよ。ルックスを見て持たれるイメージと本当の自分がすごく乖離していて。そこは1つのコンプレックスですね。小さい頃から大人っぽい落ち着いた雰囲気に見られがちなんですけど、実際の自分はすっごい男っぽいって言われます。

── 3曲目の「ブンブンシナイデ(feat.貴愛)」はアンビエントなメロウトラックナンバー。これを聴いた女性たちは、共感しながらも「“手放しちゃおうかなぁ”って言ってるけど、この人きっと手放せないのよね」という話題で盛り上がりそうですが。

宮﨑:そうなんです。これは、貴愛というアーティストと話しながら生まれた曲ですね。分かっていながらも「助けて」って言われたら助けたくなる性分とか、あとはSNSの問題を歌ってます。「返事来ないのに、めっちゃSNS更新してるんだけど」とか(笑)。そういうのって「あるあるだよね」という会話からできた曲です。元々は、貴愛のアルバムに入れたいということで先に作ったんです(アルバム『Green Flare』収録「ブンブンシナイデ with 宮﨑薫」)。その時は韓国のドラマのOST(サウンドトラック)をイメージして作ったんですが、今回はトラックの雰囲気も歌うパートも変えました。なので、両方聴いてもらうと、同じ曲でもこんなに違うんだというのが楽しんでもらえると思います。



── 4曲目の「Rain」は3連のバラード曲。イントロの雨粒のようなコーラスワーク。“新しい私に生まれ変わる”感じをループさせたシンセを使って表現していくところとか、この曲はトラックが歌詞を見事に表現しているなと思いました。

宮﨑:ありがとうございます! まさにこの曲は、音で捉えてくれたらと思って作ったエピックな曲なので嬉しいです。大きなステージで歌う自分をイメージしながら作って、コーラスもかなり積みました。

── 何層にも重ねていますよね?

宮﨑:はい。何人も私がいる感じにしたくてたくさん録りました。他の楽器の存在を崩さないように、どこまで入れるかはミックスの段階で話し合いながら詰めましたね。

── 全曲コーラスは作り込まれていますが、コーラスは好きなんですか?

宮﨑:レコーディング作業の中で一番好きです。0から1を作る時はどうしても悩む時間が多くなるんですけど、コーラスワークを作るのは制作過程の最後のほうなので「いってまえー」というテンションだから、すごく楽しく作業できるんです。華やかになっていく瞬間なので。

── ああ〜。作った楽曲がコーラスという衣装を纏って。

宮﨑:はい。だから楽しいですね。やりながらトゥーマッチだったら削ればいいので「こんなのどう?」っていう案をたくさん歌います。

── 完成はこれですけど、毎回そうなるまでにもっといろんな洋服を試着させてるということ?

宮﨑:そうです。これはいらない、これはこっちに着せて、という作業が楽しいんです。0から1を作り出す楽しみもあるんですけど、最後にこうして色付けしていく作業、色付けして一気に曲が華やかになる感じが好きなんだと思います。だから、全曲コーラスワークは意識して作ってます。

── 5曲目の「君と空 (2022Ver.)」。バンドサウンドだったオリジナルをテンポダウンさせ、今回はアコースティックアレンジで仕上げていましたね。

宮﨑:曲を作ってくださった矢野まきさんの最初のデモテープはこういう感じで、好きだったんですね。自分がライブをする時はアコースティックギターでの弾き語りが多いので、この曲はしっとり歌う機会がたくさんあって。お客さんも「バンドの感じもいいけど弾き語りの感じもいいよね」と言って下さっていたので、今回録り直しました。

── 「ブンブンシナイデ」に続いて、この曲も主人公が振り回されているんですよね。

宮﨑:はははっ。この曲はデビューする時に頂いた曲で、振り回されていると思いきや、自分が迷走している曲なんですよね。子供と大人の間に挟まれて自分の心が忙しないという曲なので、同じ“振り回す”でも違うんです。

── なるほど。6曲目の「Yellow」。タイトルは、COLDPLAYの「Yellow」と同じような意味で捉えればいいのですか?

宮﨑:COLDPLAYは、クリス・マーティンがテレビでのインタビューで、「イエローページ(電話帳) からインスピレーションを受けた」と言っていましたけど、私にとってはパッと思い浮かんだ大切な存在の色なんです。ずっとYellowをタイトルにした曲を書きたいという思いが私の中にありました。自分にとって大切なものの象徴、それがYellowだったんです。それは、無くなってしまったもの。夢の中では見えるんです。会えるし。当時のまま、綺麗なまま夢には出てきてくれて、時にはそれが自分をホッとさせてくれるものでもあり、ちょっと寂しいなという思いになる時もあるんですけど…。今は夢でしか会えないけど、それぐらい大切な存在で心の支えになっているところがある。そういう気持ちを歌った曲なので、これを聴いて自分の大事な家族やホームタウン、大事な物、それを思い出してもらって、今それがあるのなら、会いに行って欲しいし、見に行って欲しい。ない人は、私のように夢で会う。そんな大切なものを歌った曲ですね。

── ゴスペルのような尊い祈りをこの曲からは感じました。

宮﨑:尊いものを歌った曲ですからね。他の曲に比べると歌詞が具体的ではないんですが、聴いた人が各々尊さや儚さ…何かをキャッチして欲しい。リスナーにそこを委ねる、パスする気持ちでこの曲はEPの最後に入れました。



◆インタビュー(3)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報