“スキン<肌>”という肉体のバリアを越えて…

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“スキン<肌>”という肉体のバリアを越えて…

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ライオットのマーク・リアリ(G)とTNTのトニー・ハーネル(Vo)が組んだ話題のプロジェクト・バンドとしてウェストワールドがスタートしたのは'98年のことであった。

共にハードロック/ヘヴィメタルのリスナーにはお馴染みの人気バンドではあるものの、それまであまり接点のなかったライオットとTNTのメンバーが共にユニットを結成するということは、いずれのバンドのファンも予想だに出来なかったことだろうが、ライオットのアルバムを手掛けたプロデューサー氏に引き合わされたマーク&トニーは、それぞれのバンドでは出し得ない魅力を互いに発揮し合い、'98年暮に1stアルバム『ウェストワールド』を完成。

そこには、単純に“ライオット+TNT”ではない、実に豊かなメロディを持った佳曲が満載されていたのである。

そんな“運命の出会い”から約2年、再びマーク&トニーがウェストワールドの名の下に帰って来た。

前作と同じく、リズム隊にはブルーノ・ラヴェル(B:デンジャー・デンジャー)とジョン・オライリー(Ds:レインボー他)が迎えられ、キーボード兼エレクトリック・ヴァイオリン奏者のマーク・ウッドも再度参加している。

1stアルバムの延長線上にあるメロディックでムーディな楽曲で構成された2ndアルバムのタイトルは『スキン』──“肌”を意味するこのタイトルは、ジャケットの写真を自ら撮ったトニーのアイディアだったという。

まずはアルバム・タイトルが先にあった。“skin”という言葉には、人と人とが付き合っていく時、肉体には肌という一種のバリアがあるが故に、その奥にある心と心の本当のふれあいが出来なくなることがある…という意味が込められている。タイトル曲の歌詞には、ある時、見せかけの美しさというものに気付かされた男が出てくるんだけど、彼は自分の恋人にもそれを求め、本来の姿ではない部分を愛していたことを思い知るんだ。マネキンというのは、正にその象徴だね。ジャケットの写真は、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジで偶然に発見したショウ・ウィンドウの中のマネキンをそのまま撮影したもので、ガラス越しのマネキンが、アルバム・タイトルに凄くよく通じると直感したのさ」(トニー)

サウンド面では、より“ウェストワールドらしさ”が確立されてきていると2人は強調している。

正直言って、1stアルバムの時は、初お目見えということもあって、お互いのバンドのカラーも少しは残しておこう…と考えたんだ。具体的には、『イリュージョン』という曲にTNTのカラーが出ていたと思う。でも、今回はセカンドだし、ウェストワールドならではのサウンドになるように心掛けたよ。ライオットやTNTっぽい曲が出来たら、意識的にそれを外すようにしたとも言えるね。まぁ、そもそもウェストワールドでは、自分のバンドで出来ないことをやろうということだったんで、ようやく“らしさ”が出てきたんじゃないかな」(マーク)

曲作りに関しても、2人のコラボレートという面がより強くなったと思う。基本的に、マークがベーシックなリフのアイディアとかを持ってきて、僕が歌詞を付けて…というのは変わっていないんだけど、今回は、何にもないところから2人で…というパターンもあったし、もっと“一緒に曲を書いてる”という感じだね。正直言って、今回のアルバムは、ライオットやTNTのファン以外…もっと言えば、ハードロックやヘヴィメタルのファンにこそ聴いてもらいたい。アラニス・モリセットの『アンインヴァイテッド』をカヴァーしたのは、そのためでもあるんだ。この曲をキッカケにして、新しいウェストワールドのファンが獲得出来れば…と思う。勿論、最初はそんなことは考えてなくて、単に好きな曲だったというのがあったし、“カヴァーと言えば往年の名曲”というパターンを避けたかったかっただけなんだけどね…」(トニー)

また、“ウェストワールドらしさ”という点では、完全にプロジェクトとしてスタートしたファーストの時と比べて、ライヴ活動も予定されている今作では、よりバンドらしくなっていることも忘れられない。

基本的に、リズム隊の2人は曲作りにはタッチしないけど、アレンジ面ではかなり貢献してくれているよ。特に、ベースのブルーノには、曲作りの段階で長くなってしまった楽曲の無駄な部分を取り除いて整理するという重要な役割があるんだ。あと、マーク・ウッドの存在も欠かせない。彼は最後の味付けというか、サウンドの仕上げを担当しているのさ。多分、次の3rdアルバムでは、マーク・ウッドが曲作りの段階からもっと関わることになるんじゃないかな」(トニー)

当然ながら、キーボード兼ヴァイオリンのマーク・ウッドの存在は、今後のライヴ・ステージにおいても、アルバムの再現という面で重要となってくるのではないだろうか?

きっと、12月の来日公演では彼のヴァイオリンが大活躍するだろうね。彼の独特なエレクトリック・ヴァイオリンはリズムも刻めるし、ギター・リフをプレイすることだって出来るんだ」(トニー)

勿論、ツイン・リードの部分をヴァイオリンとギターで再現することも可能だ。多分、彼はステージの50%をキーボード、残りの50%をヴァイオリン…という感じでプレイすることになるんじゃないかな」(マーク)

ライヴと言えば、ウェストワールドのステージでライオットやTNTの曲はプレイされるのだろうか? 両バンドのファンならずとも、興味深いところだが…?

どっちの曲もプレイすることになると思うよ。但し、あんまり知られていないような曲がプレイしたい。ライオットなら『ファイアー・ダウン・アンダー』('81年発表の3rdアルバム)からの曲とか…ね」(トニー)

僕は、TNTの「セヴン・シーズ」('85年発表の2nd『ナイツ・オブ・ザ・ニュー・サンダー』収録)とか「イントゥイション」('89年発表の4thのタイトル曲)がやりたいんだけど、トニーがメジャーな曲はダメだって言うんだよね(笑)」(マーク)

まぁ、少なくとも…デンジャー・デンジャーの曲はやらないから(笑)! ブルーノには悪いけどね!」(トニー)

では、最後に初来日公演に向けてのメッセージをもらっておこう!

僕にとっては、TNTの最後のツアー以来、約3年振りの日本なんで、凄く楽しみなんだ。早く皆に会いたいよ! 12月だからね…早いとこチケットを買ってくれ!(笑)」(トニー)

ウェストワールドとして日本でライヴが出来るなんて…実現するとは思ってもなかったから、本当に夢のようだよ。とっても楽しみだ!」(マーク)

そんな彼らだが、取材の後、雑談の中で、話は今ミュージシャンにとって最も旬であり、重要な問題…音楽の“データ配信”に及んだ部分をお伝えしておこう。

最初にMP3の存在のことを知った時は恐ろしかったよ。簡単に音源がダウンロード出来るなんて、アルバムの売り上げを左右すること間違いないからね。とは言え、今のアメリカの音楽シーンの状況を考えれば、僕達のようなバンドはMTVでも紹介されることなんてないから、そういう意味では、インターネットを通じて多くのファンに知ってもらうことは素晴らしいと思う」(マーク)

未契約バンドにとっては素晴らしい売り込みの手段だよ。でも、ディールを持ってるバンドにとっても、きちんとコントロールされてれば…例えば、曲の全てを聴けないようにするとか、きちんとコントロールさえできれば非常に有効だと思うよ。素晴らしいよ。ただね、色々な芸術形態の中でも、金銭的な価値という点では、音楽だけは明確な“形”として存在しないため、どうも軽んぜられているような気がしてしょうがないんだ。実際、'60年代にMP3があったとしたら、ビートルズだってあんなに大儲け出来なかっただろうな(笑)! ナプスターとメタリカがモメてる理由もよく理解出来るしね」(トニー)

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