【Blur Special】『the best of』を形成する偉大なる6作品

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■『the best of』を形成する偉大なる6作品
文●太澤 陽

1st.『Leisure』

'91年発表の記念すべきデビュー・アルバム。
当時流行っていたストーン・ローゼズハッピー・マンデーズ風のマンチェ・ビートや、マイ・ブラディ・バレンタインのようなひび割れサイケギターと言った、当時の流行の雛形をそのまま形にしたようなサウンドと、当時から高かったアイドル性ゆえに手厳しいバッシングを受けることもあったが、当時から楽曲そのもののポップ性は高かった。
かったるいリズムとデーモンの歌が青臭い。

2nd.『Modern life Is Rubish』
マイブラジザメリダイナソーJr.との夢の轟音ギター・ライブ「ローラーコースター・ツアー」での渡米でアメリカの人や文化に対するアンチ心が芽生えたことが契機となって、英国人としての自分を改めて見つめ直すことによって生まれた傑作。
コーラスなどにサイケ風味は残るもののストレートでエッジの効いた小気味いいロックにシェイプ・アップし、「どうでもいい」などと開き直っていた歌詞も英国人らしい皮肉なユーモア満載に。

3rd.『Parklife』
ブリティッシュ・ロック・ルネサンスとでも言うべき「ブリットポップ」の時代を結果告げる事となる'90年代UKロックを象徴する1枚。
XTCばりのシャープなギター、ジュリアン・コープばりのヴォーカル、マッドネス風のアレンジとユーモア、キンクス譲りの諷刺のちょいとキツいイギリス人の悲喜こもごもな生活風景。
UKロックの過去の遺産を継承しつつもブラーたちがとらえていたのは、紛れもなく'90年代の自分たちの世界観だった。

4th.『The Great Escape』
前作で時代の寵児に祭り上げられた彼らが“ブリットポップの王者”的イメージを決定づけてしまった1作。
前作で垣間見せたアプローチをさらに爛熟化させエンターテイメントとして成立させるのに成功しているが、その進歩の少ない保守的なブラーの態度に失望の声を浴びせる向きも少なくはなかった。その事は当の本人たちの方が熟知していたようで、高度に完成された作風の中にブームから抜け出したい気持ちや疲れが刻まれていた。

5th.『Blur』
あまりにも大きくなりすぎたブリット・ポップに対し、先導者であったブラー自らがたたき付けたあまりにも強烈な死亡宣告。
前作までのウキウキしたような気分はいっさいなく、全編を虚脱な空気が支配。
ソニック・ユースやペイヴメントのような、マイ・ペース型のUSインディ・バンドに憧憬を抱き、その結果、バンドサウンド全体がノイジーに歪み、曲の輪郭もふやけた感じのものが目立つ。
イギリスよりアメリカで高い評価を受ける。

6th.『13』
前作でブリット・ポップを完全に破壊させてしまった彼らが各人のソロ・ワークスを経て更にパワーアップした上でリリースした傑作。
そのあまりに重い曲調、混沌とした淀んだグルーヴ、小曲・大曲のランダムな並び方などを指して「問題作」と称する向きも多かったが、そうした様々な実験精神を表面化させる一方で、実は楽曲は手際よくポップにまとめられていたりする点はさすがはブラーである。
前作での新機軸はここに到達した。

■Blur Special「『the best of』にみるイギリスロック文化
■Blur Special「『the best of』に結集した18の作品達
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