オールド・スクールここにあり!

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オールド・スクールここにあり!

 

“オールド・スクール”という単語を辞書で調べたら、6人の男の写真が写っているはずだ。それは、ロサンジェルスを拠点とするJurassic 5である。Black SheepやThe Pharcyde、The Beatnutsなどの偉大なグループと同様に、Jurassic 5が前面に押し出しているのはサンプリングとディギング(レコードを深くえぐるスクラッチ)である(それらを担当するのは、有能で多産な2人のDJ、Nu-MarkとCut Chemistだ)。彼らのラップはけっしてビートから外れず、内容はたいていなにかの自慢で、しばしばユニゾンである。9月13日House Of BluesでのJurassic 5のライヴは実際、Marc 7even、Chali 2na、Zaakir、AkilのMC4人全員による一斉ラップで始まった。

Jurassic 5のディスコグラフィーはほんの短いもので、ラップファンなら全アルバムを持っていることも珍しくない。そこでこの日、Jurassic 5は“Jayou”“Action Satisfaction”“Quality Control”“Jurass Finish First”など彼らの曲をほとんどすべて披露した。分厚いビートとめくるめく歌詞に観客は満足したが、いちばんのハイライトはインプロヴィゼーションだった。ライヴが最高潮に達したところで、2人のDJ、Cut ChemistとNu-Markがヴォーカルなしでターンテーブルと小型ドラムマシンを使ってファンキーなパフォーマンスを行なった。ライヴ終盤には、XzibitThe AlkaholiksのDJ、E-Swift、そしてSupernaturalとDilated PeoplesのEvidenceとIriscienceがステージに参入。全員自由に振る舞っていたが、なかでも場をかっさらったのは、Xzibitのモノマネで笑いを取ったSupernaturalだった。最後にラップでステージ上にいる全員の出席を取って、Jurassic 5のライヴは幕を閉じた。

この日の素晴らしいオープニングを務めたのは、Dilated Peoplesだ。彼らはJurassic 5と同じくロサンジェルス出身の純粋なオールド・スクールだから、この組み合わせは順当だ。2人のMC、EvidenceとIriscienceは冒頭から力強くライヴを進行した。バックには、Cut ChemistとDJ Babu、E-Swiftがサポートしていた。観客に人気の“Work The Angles”や“No Retreat”では激しく、また戦争についてのメッセージ色の濃いラップではアカペラでパフォーマンスを行なった。アカペラのときには、観客が熱い手拍子を送っていた。

たしかに最近のヒップホップは、作品にスキがなくて、重いR&Bのヴォーカルが入り、おカネや自慢の持ち物のことをあからさまに取りあげるのが普通になっている。しかし、この日のライヴを見ているときには、みんなそんなことを忘れていただろう。

 

 

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