スーパースターはやっぱりブロンドがお好き

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スーパースターはやっぱりブロンドがお好き

 

灰色の空にどしゃ降りの午後、Rod Stewartはセントラル・ロンドンにある会員制クラブにぶらりと入ってきた。日焼けし、しゃれた装いで若いブロンド女性と手をつないだ彼は、L.A.の自宅かフロリダのパームビーチにある別宅からちょっと立ち寄ったという感じで、ロンドンの東に位置する湿気の多い田園地帯エセックスの、成金のお屋敷街にある3番目の家に滞在しているふうには見えなかった。

Rodが英国に所有する地所にはフルサイズのサッカー場がある。それはプロのフィールド規格とまったく同じで、違うのはスポットライトがないこと(隣人からの苦情で取り付けることができなかった)と、周囲にそびえる壁(現在はそれほど高くない。というもの雨で崩れたから)だけ。かつて自分の好きなものは「サッカーと女と酒……この順番で」と公言した男は、今はこう語る。「以前ほどは飲まなくなった。でもサッカーは今でも大好きさ。前ほど素早い動きはできないとしてもね。ただし女には未だに手が早い!

彼は一番最近の恋人、30歳のPenny Lancasterを紹介してくれた。彼女もエセックス出身だ。Rodとブロンド女性たちの関係とは? 彼女たちの名前がごっちゃになることはないんだろうか?

Rachel(Hunter、Rodの前妻)との関係が終わった時、俺はPennyのことをRachelと呼んでいた。でもこれは仕方ないことだよ。Rachelとは10年も一緒にいたから」とRodは笑いながら言う。「俺はそういう人間だから。背の高い女性を好きな男がいるように、俺の好みはブロンドなのさ。実はこの彼女も最初会った時はそれほどブロンドらしくなかった。でも今はその方向へ向かいつつある。おだやかな説得っていうやつだよ!」彼は恋人のおしりを軽くたたくと、お茶とインタヴューのために隣の部屋へ移った。

Rachel Hunterとの別離はRodに打撃を与えたようで、彼はそれを否定しない。 「もちろんだよ。しかもこれ以上ない最悪のタイミングで起こったことだったから。ツアーを始めようという時に、あのでかい爆弾が落ちてきた。どうやって乗り越えられたのか不思議だね。人間の回復力というやつには目を見張る。俺は酒を飲むのを止めたんだ――以前はステージに上がる前に必ず一杯飲んでいたのに。でもこう思った。“ここでしっかりしなきゃしょうがない。飲み始めたら、哀れな姿をさらすことになるぞ”ってね

どうにかロンドンでの最初のショウを乗り切ることができて、アルコールなしのほうが実はより上手く歌えていることに気がついてからは、ツアーの間それを守り通し、結局7カ月間飲まなかった。仕事をしてない時はまだ飲んでるよ。でも以前は酔っ払うまで飲んでいたから。観客の反応や、自分の行動が、初めてはっきり意識できたのは最高の気分だったよ!

Rodは最近、また別のショッキングな出来事にも見舞われた。咽喉ガンという、とりわけシンガーにとっては厄介な病気である。

本当に恐ろしいことだったよ。幸運にも小さなガン腫だったからよかった。去年、喉の手術を受けて、うまくいったんだ。でもちょっと体調をくずしてね。数カ月声が出なかったし、いまもまだ完璧な状態には戻っていない。毎日リハビリとして1時間歌わなければならないし。今年はツアーに出る準備をしていて、完璧な状態に戻るために努力しているところさ。でも俺はラッキーだと思っている。だってあのまま2、3年放っておいたら、手遅れになっていただろうから

最新作『Human』で、RodはMacy Gray、Helicopter Girl、そしてK-Geeといった今どきのシンガー、プロデューサー、ライターたちと仕事をした。それはこのベテランシンガーが、ヒットシングルを必要とするプレッシャーを感じたからだろうか? 「これが今ふうなのかどうかはわからない」と彼は新作について語る。

ギターが多用されてないのは確かだがね、もしそういうことを指しているなら。チャート入りできたらうれしいけれど、でも、それはもはや誰のキャリアにも無関係なことじゃないかな。それに俺のレコードを買う人は、シングルは買わないよ。だってアルバムを買う余裕があるんだから! このアルバムの選曲に関しては、歌詞が一番大事で、メロディがその次、という基準でやったんだ

ということはつまり、いまのところ彼は自分で曲作りはしていないのだろうか? 「今は曲作りができるような状態にはないということさ」とRodは説明する。

過去2年の間に俺の身に起きたことを考えれば、曲のテーマは山ほどあっておかしくないけど、曲作りの境地にはそう簡単にたどり着けないんだ。ぴったりのコードや構成が浮かんできてこそ、曲作りへと駆り立てられる。俺が怠け者だってことも、もうひとつの理由だけど。曲作りをしたいとは思ってはいるよ。Ronnie Woodと一緒にアルバムを作るとでもいうなら、曲作りはずっと簡単だろうな。彼と一緒だと自然にわきあがってくるから

実際にRodは、Facesの元バンド仲間であるRonと、今一緒に仕事をしている。最近、Ronのウェスト・ロンドンにある自宅スタジオで2曲の新曲を録音したのだ。「アルバムタイトルはもう考えてある。『You Sing, I'll Strum』さ」とRodは明かしてくれた。「いつ完成するかは分からない。つまりさ、Woodyのやっているあの“ちっぽけなバンド”(別名、Rolling Stones)の予定次第ってことだよ!

長年のファンなら考えずにはいられないだろう。StewartがWoodyとの再会を喜んでいるなら、Facesの再結成もあり得るのでは? 

俺のツアーが終わると、Woodyのツアーが始まる……。いつもたいていこんな感じ。でもFacesのツアーをやりたくはないよ。ツアーの終わりには死んでいるだろうから」とRodは笑う。「Facesは徹底した酒飲みのバンドだったよ。俺達のレコードは全部パブで飲みながら作った。“こんな感じは?”とか“俺がこう歌うから、おまえはああ弾けよ”とか。さらにまた飲んで、それからスタジオへ行って、トライしてみる。それがいつもうまくいったんだ。そして終わったらまたパブに戻るという感じだった。それでも、あの時代はだらしないのがかっこいいとされていたから、俺達はそれを存分に味わったね

その時代にアメリカをツアーしたFacesが、Fleetwood Macになりすましたという話があったが……。

まったくその通り」とRodはうなずく。「あの頃Fleetwood Macは、まだ本格的にブレイクしていなかった。'70年代の終わりだったらああはいかなかっただろうけど、当時の彼らはまだ奮闘中というところだったから俺達もあんなことができたんだ。フロリダのどこかのHoliday Innでプールの周りを走る子供列車があって、俺達はそれに乗って脱線させ、あやうくプールに落としそうになった。次の夜はタンパに行かなければならなかったけど、Facesの名前ではHoliday Innにチェックインできないって分かってたから、Fleetwood Macになりすまそうぜ、バレやしないさ、ってことになったのさ。その作戦はうまくいったよ。Fleetwood MacもHoliday Innから閉め出されることになったことを別にすれば!

子供と言えば、Rodにも5人の子供がいる。『Human』は子供たちの「かっこいい」テストにパスするのだろうか? 

なんともうれしいことに、子供たちはこのアルバムが大好きだ。みんな音楽好きだよ。言葉に表せないほどかっこいい21歳の娘、カルヴァン・クラインの下着が見えるようなだぶだぶパンツをはく20歳の息子、それに13歳ですでにレコード契約があるRuby。彼女はすばらしい声をしている。それから、毎日CDを買いに行く8歳の娘もいる。子供たちはみんな俺のアルバムを気に入ってるよ! 俺は彼らをソファに座らせてアルバムを聴かせたのさ。それが親のしつけってもんだろ!

音楽界のベテランであり、5人の子供の父親であり、離婚したてでもあるRodに、あとひとつ、どうしても訊きたい質問がある。彼は自分をセクシーだと思っているのだろうか? 

何かしらの魅力はあると思うよ。でも特にセクシーだとは思わない」というのが彼の返答だ。「朝一番に鏡で自分の姿を見ると、それほどいかした姿でもないしね! でも、まだまだ捨てたもんでもない。声はいい調子で出ているし、“オールド・ボーイ(たぶん彼のアソコのこと)”もかなりいい仕事しているし! つまりすべてがかなりいい状態にあるってことさ!」 

結局のところ、彼もまた人間(Human)なのだ……。

 

 

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