春のぬくもりを予感させるオーガニックなステージ

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春のぬくもりを予感させるオーガニックなステージ


バックバンドの産み出すロー・ビートの海をしなやかに浮遊するヴォーカル

最新DVD

『FILM LOTUS II 』

Sony Music Associated Records
2003年03月05日発売
AIBL-9054 4,935(tax in)

「HEAVEN ON EARTH」「HELPLESS RAIN」「WILL」「RESISTANCE」「愛してる」のビデオクリップの他、メイキング映像、プレイミア・ライヴ映像も収録されている。ライヴにいけなかった人には必見のDVD。


最新シングル

『愛してる』

Sony Music Associated Records
発売中
AICL-1406 1,365(tax in)

1 愛してる
2 marionette
3 THE ROSE
4 愛してる(Jazztronik Mix)
5 愛してる(Instrumental)

★ MONDO GROSSOとして常にインターナショナルにクラブ・シーンで活動を続ける大沢伸一をプロデューサーとして迎え、2003年4月16日シングル「LOVE ADDICT」をリリース
※全ての画像と文章の無断転用を禁止します。
小雨がちらつく憂鬱な週末。凍てつく寒さのなか(春も間近だというのに!)、人もまばらなゆりかもめに乗り込み、窓の外を眺めると、薄暗く淀んだ曇り空とお台場の海が果てもなく拡がっていた。

こんな日にライヴなんて…という筆者の予想に反して、会場であるZEPP TOKYOの前は人、人、人で長蛇の列。学生っぽい男子グループやOL2人組、カップルなどで活気付いている。

本日の主役は初の全国ツアー、東京での初日を迎える中島美嘉だ。

lotus:【植】 ハス 【ギリシア神話】 ロートス ((実を食べれば世の苦を忘れる))

lotas eater:安逸[怠惰]に暮す人、夢想家

彼女のアートワークには蓮の花がしばしば登場する。

なるほど、花の持つミステリアスで気だるい雰囲気と彼女のイメージがぴったりはまる。(TYCOON GRAPHICによるPV「WILL」でも乱れ咲いてました<「FILM LOTUS2」収録>)そう、彼女はネコのように気まぐれなクール・ビューティの風貌と菩薩のような慈愛の表情とが交錯する、まさに2000年代を代表する新しい“顔”だ。異性のみならず、同性をも惹きつける彼女の魅力は、そこにあるのかもしれない。

満員御礼のフロアを眺めながら、そんなことをぼんやりと考えているとバンドによる力強いビートが鳴り響き、イントロを経て、COLDFEET編曲によるエッジの効いたファンク・チューン「HEAVEN ON EARTH」でステージはスタート。

真っ赤なドレスに裸足というスタイルで登場した彼女に大きな声援が飛び、「ONE SURVIVE」、「TRUE EYES」とヒットチューンが続いて会場もいきなりヒートアップする。

「とても緊張しています…。」

そんなMCとは裏腹に、その歌声は情感豊かで、確かな歌唱力を有する"シンガー"であることを存分にアピールした。ダンサブルな前半から一点、「Helpless Rain」「STARS」、「WILL」とステージがアコースティックになってゆくに連れ、彼女のプラスティックなメディア・イメージは完全に覆った。

そのステージは実に力強く、すぐそこまで来ている春のぬくもりを予感させるほどオーガニックで、話題のTVスターを一目観ようと会場に訪れたファンの期待をいい意味で裏切る、ストイックでアーティスティックなものだった。

中でも白眉は五島良子・作曲、渡辺貴浩・編曲によるジャジーな「aroma」、そして本人が「今、一番大事にしている曲です」と語る新曲「愛してる」

一語一語、丁寧に歌い上げるその姿が印象的でとても好感が持てた。 何より、バックバンドの産み出すロー・ビートの海をしなやかに浮遊する中島のヴォーカルの暖かいこと! その緩やかなグルーヴに会場全体が飲み込まれた。

これまでのハウス路線とは一線を画す、オーガニックな新境地だ。 4月16日には大沢伸一プロデュースによるクラブジャズ・チューン「LOVE ADDICT」もリリース!  中島美嘉からまだまだ目が離せない。
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