増田勇一の『今月のヘヴィロテ(5月篇)』
すでに6月に入ってしまったが、遅ればせながら「5月によく聴きまくった10枚」をお届けしておきたい。今月はなかなかの豊作。ただし「国内盤発売の決定が待ち遠しい輸入盤」もいくつか含まれている。
●デヴォーチカ『ア・マッド・アンド・フェイスフル・テリング』
●パーラー・モブ『アンド・ユー・ワー・ア・クロウ』
●ジ・イクシーズ『ア・モダン・ウェイ・オブ・リヴィング・ウィズ・ザ・トゥルース』
●オーペス『ウォーターシェッド』
●36クレイジーフィスツ『ザ・タイド・アンド・イッツ・テイカーズ』
●ザ・ラカンターズ『コンソーラーズ・オブ・ザ・ロンリー』
●ファントム・プラネット『レイズ・ザ・デッド』
●10 YEARS『DIVISION』
●FILTER『ANTHEMS FOR THE DAMNED』
●NINE INCH NAILS『THE SLIP』
まず説明しておくと、カタカナで表記した7作品はすべて5月中に国内盤がリリースされているもの。10YEARSとFILTERは輸入盤を購入し、NINE INCH NAILSについては無料でダウンロードされている音源を、“盤”を待ちきれずに手に入れたものだ。
アメリカはデンヴァー出身のデヴォーチカは、世界各地のさまざまな音楽を飲み込んだ摩訶不思議バンド。なんだかとても郷愁をそそられる部分と、涙とか体温上昇を抑えきれなくなる不思議さを持ち合わせている。もしもジェフ・バックリィがずっと生き続けていたなら、こんな作品を1枚ぐらい作っていたとしてもおかしくなかったかも、なんてことをふと感じさせられもした。元来、僕自身はこうした“いかにも専門家受けの良さそうな作品”というのが苦手なのだが、このアルバムについては無条件にヘヴィ・ローテーションになったし、これからも長い付き合いになりそうな気がしている。
70年代のバンドかと錯覚をおぼえてしまうニュージャージー出身のパーラー・モブのデビュー作は、レッド・ツェッペリンを知りすぎた世代にも、まったく知らない世代にも是非聴いて欲しい1枚。それについてはジャック・ホワイト率いるザ・ラカンターズの「事前プロモーション皆無のまま世に出た新作」についても同様。
8月に来日の決まったオーペスの新作は、まさに「インテリジェント・メタル」とでも呼びたくなるような存在感が圧倒的だし、36クレイジーフィスツも過去最高に自分たちの特性をカタチにできているのではないかという気がする。新作ごとに変貌を重ねるファントム・プラネットは、今回の進化もお見事(とはいえいまだに前々作にも愛着があるのだが)。かのニッキー・シックスのお気に入りバンドでもあるというジ・イクシーズの作品では、そのニッキー率いるSIXX:A.M.の一員でモトリー・クルーの新作(6月18日発売!)も手掛けているジェイムズ・マイケルがプロデュースを担当。とにかく楽曲がいい。“知る人ぞ知る存在”のままではあまりにも惜しいバンドなので、とりあえず騙されたと思って一度聴いてみて欲しい。
そして輸入盤の2作品については、なんとか国内盤リリースの実現を望みたいところ。10YEARSは確実にスケール・アップされていて、まさに度重なるツアー経験が実を結んでいるという印象。FILTERについては、もはや懐かしさすらおぼえるファンもいるだろうが、今作での楽曲の充実ぶりは過去のヒット作群に少しも劣っていないし、まさに“リチャード・パトリック節”が随所に感じられる。そしてNINについては、ある知人も言っていたけども「まだ歌う気、あったんだ?」という感じ。もちろん僕的には大歓迎だし、これは、こうしてダウンロード音源を聴きまくった後であろうと、盤が出回れば財布片手に飛びつかずにはいられない好作品である。要するにトレント・レズナーの思うツボ、ということなのだが。
ちなみに6月も、めちゃくちゃ充実度の高い1ヵ月になりそう。すでにリリースされたウィーザーの『ザ・レッド・アルバム』(まさかBoAの「メリクリ」のカヴァーが日本盤ボーナス・トラックとして収録されるとは!)、前述のモトリー・クルーの『セインツ・オブ・ロスアンゼルス』も必聴だし、ジューダス・プリーストの『ノストラダムス』も、ものすごいことになっている。これらの強力新譜と5月分のヘヴィロテ10枚があれば、とりあえず梅雨も晴れやかに乗り切れそうな気がする筆者なのであった。
あ、そうそう、最後に付け加えておくと、今回は選外となったがギャヴィン・デグロウの新作もよく聴いた。男性シンガー・ソングライターというだけで“癒し系”を連想するのは間違い。僕は彼のアルバムを、ロック作品として愛聴している。
増田勇一
●デヴォーチカ『ア・マッド・アンド・フェイスフル・テリング』
●パーラー・モブ『アンド・ユー・ワー・ア・クロウ』
●ジ・イクシーズ『ア・モダン・ウェイ・オブ・リヴィング・ウィズ・ザ・トゥルース』
●オーペス『ウォーターシェッド』
●36クレイジーフィスツ『ザ・タイド・アンド・イッツ・テイカーズ』
●ザ・ラカンターズ『コンソーラーズ・オブ・ザ・ロンリー』
●ファントム・プラネット『レイズ・ザ・デッド』
●10 YEARS『DIVISION』
●FILTER『ANTHEMS FOR THE DAMNED』
●NINE INCH NAILS『THE SLIP』
まず説明しておくと、カタカナで表記した7作品はすべて5月中に国内盤がリリースされているもの。10YEARSとFILTERは輸入盤を購入し、NINE INCH NAILSについては無料でダウンロードされている音源を、“盤”を待ちきれずに手に入れたものだ。
アメリカはデンヴァー出身のデヴォーチカは、世界各地のさまざまな音楽を飲み込んだ摩訶不思議バンド。なんだかとても郷愁をそそられる部分と、涙とか体温上昇を抑えきれなくなる不思議さを持ち合わせている。もしもジェフ・バックリィがずっと生き続けていたなら、こんな作品を1枚ぐらい作っていたとしてもおかしくなかったかも、なんてことをふと感じさせられもした。元来、僕自身はこうした“いかにも専門家受けの良さそうな作品”というのが苦手なのだが、このアルバムについては無条件にヘヴィ・ローテーションになったし、これからも長い付き合いになりそうな気がしている。
70年代のバンドかと錯覚をおぼえてしまうニュージャージー出身のパーラー・モブのデビュー作は、レッド・ツェッペリンを知りすぎた世代にも、まったく知らない世代にも是非聴いて欲しい1枚。それについてはジャック・ホワイト率いるザ・ラカンターズの「事前プロモーション皆無のまま世に出た新作」についても同様。
8月に来日の決まったオーペスの新作は、まさに「インテリジェント・メタル」とでも呼びたくなるような存在感が圧倒的だし、36クレイジーフィスツも過去最高に自分たちの特性をカタチにできているのではないかという気がする。新作ごとに変貌を重ねるファントム・プラネットは、今回の進化もお見事(とはいえいまだに前々作にも愛着があるのだが)。かのニッキー・シックスのお気に入りバンドでもあるというジ・イクシーズの作品では、そのニッキー率いるSIXX:A.M.の一員でモトリー・クルーの新作(6月18日発売!)も手掛けているジェイムズ・マイケルがプロデュースを担当。とにかく楽曲がいい。“知る人ぞ知る存在”のままではあまりにも惜しいバンドなので、とりあえず騙されたと思って一度聴いてみて欲しい。
そして輸入盤の2作品については、なんとか国内盤リリースの実現を望みたいところ。10YEARSは確実にスケール・アップされていて、まさに度重なるツアー経験が実を結んでいるという印象。FILTERについては、もはや懐かしさすらおぼえるファンもいるだろうが、今作での楽曲の充実ぶりは過去のヒット作群に少しも劣っていないし、まさに“リチャード・パトリック節”が随所に感じられる。そしてNINについては、ある知人も言っていたけども「まだ歌う気、あったんだ?」という感じ。もちろん僕的には大歓迎だし、これは、こうしてダウンロード音源を聴きまくった後であろうと、盤が出回れば財布片手に飛びつかずにはいられない好作品である。要するにトレント・レズナーの思うツボ、ということなのだが。
ちなみに6月も、めちゃくちゃ充実度の高い1ヵ月になりそう。すでにリリースされたウィーザーの『ザ・レッド・アルバム』(まさかBoAの「メリクリ」のカヴァーが日本盤ボーナス・トラックとして収録されるとは!)、前述のモトリー・クルーの『セインツ・オブ・ロスアンゼルス』も必聴だし、ジューダス・プリーストの『ノストラダムス』も、ものすごいことになっている。これらの強力新譜と5月分のヘヴィロテ10枚があれば、とりあえず梅雨も晴れやかに乗り切れそうな気がする筆者なのであった。
あ、そうそう、最後に付け加えておくと、今回は選外となったがギャヴィン・デグロウの新作もよく聴いた。男性シンガー・ソングライターというだけで“癒し系”を連想するのは間違い。僕は彼のアルバムを、ロック作品として愛聴している。
増田勇一
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増田勇一
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