生演奏カラオケ「LIVE DAM」レコーディング現場に神業を見た

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■ 神業をみせるのはミュージシャン陣だけじゃない

レコーディングブースで演奏された音をチェックするコントロールルームでの作業も、とても効率的だ。演奏のニュアンスからノイズまで、すべては本番録音中にチェックされる。だから録音した演奏を、何度も再生して確認するようなことはない。これは、普通ならとても聞き取れないような微小なノイズも見逃さない、驚異的な耳をディレクター陣が持っているからできることだ。万一、ノイズが入っていても、録音終了直後に瞬時に場所を指定して消去。HDDレコーディングだからそんな処理も本当に一瞬で終わる。すべてスピーディーでスムーズに進行していくのだ。下川 氏によれば、ミキサーを担当するエンジニア 柄沢喜一 氏もプロ中のプロで、、最初に原曲を一度だけ再生している間に各楽器のバランスや定位を聴き取り、何十本もあるフェーダーやその他のミキサーの設定をすぐに済ませてしまうのだそうだ。こういった“プロの技”が随所にあるからこそ、演奏の中身も音質もハイクオリティでありながら、一日に15曲も録ることが可能になるのだろう。

そしてもちろん、さすがに生演奏。音もスゴかった。生楽器をふんだんに使ったアンサンブルは壮大で、迫力がヒシヒシと伝わってくる。ストリングスはときには厳かに、ときには艶やかに響いて曲をリードしていくし、ギターやマンドリンといった生の弦楽器はあたたかみがあって抒情的だ。押し/引きといったニュアンスの表現もさすがプロ。1コーラス目と2コーラス目で微妙に表情が変わるし、サビで盛り上がるところなどは一体感もあって本当にエキサイティングだ。こんな演奏で歌ったら文句なく気持ちいいだろう。

今度カラオケに行ったとき、もし自分のレパートリーに生演奏のバージョンがあったら、迷わずそちらを選んでみてほしい。きっとその音のよさに驚くに違いない。

text by 田澤 仁

◆BARKS オーディションチャンネル

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