【インタビュー】ZYUN.、叙情豊かな歌詞の世界を繊細かつエモーショナルに歌い上げる最新2ndシングル

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9月12日に2ndシングル「雨の日に逢いたくなるのはいつも君だけ。」をリリースするZYUN.。これまでミニアルバムで表現してきたスケール感はこのシングルでも健在。独特の言葉で綴られる叙情豊かな歌詞の世界を繊細かつエモーショナルに歌い上げている。BARKSでは久々のインタビューだったが、ZYUN.から開口一番に繰り出されたのは前日に撮影していたという「雨の日に逢いたくなるのはいつも君だけ。」のMVのエピソード。まずは、魂を入れて撮影に挑んだことがわかる、撮影秘話からどうぞ。

■ラブストーリーを想像する人がほとんどだと思うんですけど真逆
■サスペンス要素があるんですよ。血糊のタイアップがついてる(笑)


――移籍第二弾のシングル「雨の日に逢いたくなるのはいつも君だけ。」が完成しましたね。

ZYUN.:はい。今回のMVは爽やかな心を表現した曲からは想像できない感じになっています。昨日撮影してきました(※編注:この取材は7月中旬に行われた)。MVの撮影が13時頃に終わったんですけど、夢の中でもまだ撮影が続いてたくらい、役どころがずっと抜けないんです。よくわからない部分が開いちゃったような、まるでワンマンライブのあと、ステージでの感覚が1日抜けないのと一緒。撮影のたびにこうなっちゃうなら、きっと僕、役者はできないですね(笑)。

――「雨の日に逢いたくなるのはいつも君だけ。」のMVは、「ケイゾク」「トリック」「SPEC」の堤幸彦監督が撮っているんですよね。

ZYUN.:はい。堤さん節が炸裂した映像なんですよ。それこそ「SPEC」とか堤作品の世界観というか、ほぼその場で「色」が出来上がっていくんです。編集もいらないんじゃないかっていうようなものをその場で作り上げながら撮っていくというのが、監督のすごいところなのかなって。


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――ドラマ仕立てなんですよね?

ZYUN.:はい。相手役がSKE46の高柳明音さんなんですけど、彼女とのドラマシーンとリップシンクのシーンと盛りだくさんなんですよ。

――堤監督とは撮影前にどんな話を?

ZYUN.:僕、「SPEC」(SPECサーガ完結編『SICK'S 怒乃抄~内閣情報調査室特務事項専従係事件簿~』)にも出演させていただいたんですけど、監督の指示って、「ここでこうして」というような細かいものじゃないんです。今回のMVの時も、「二人はまだ付き合う前で、ちょっとはにかむ感じの関係。はい、行こうか!」くらいな感じなんです。それだけ聞いて、「なるほど!OKです!」ってやるしかない。僕はもともと監督のファンだったから、監督の空気感が好きだったんです。今こうして可愛がっていただいていて、距離感がグッと近づいた時に、僕らが合わさった時の共鳴感という不思議な心地よさがあって。監督も同じことを言ってくれたんですけど、周りからも「前世は親子だったね」ってよく言われるんです。だから、MV撮影も結構スムーズでした。実は高柳さんとも「いつか一緒に仕事ができたらいいね」って話していたので、それが叶って彼女も喜んでくれたし。そもそも彼女は女優さんなので、演技もめっちゃ上手いんです。映像を見ているときに罪悪感でいっぱいになりました。

――一みどころはどんなところですか?

ZYUN.:この歌詞みたいな、手を繋いで、ハグしてバイバイみたいな恋愛っぽいラブストーリーを想像する人がほとんどだと思うんですけど、真逆で。サスペンス要素があるんですよ。今回、血糊のタイアップがついているので(笑)。

――なんと!血糊!? ますます見たくなります。通常のインタビューって、楽曲の話を聞いたあとにMVの話になるのに、いきなりMVの話からスタートするというイレギュラーな展開なんですが、昨日のMV撮影がいかに濃かったかというのが伝わりますね。監督もこの曲の世界観に合わせて、そういう映像を作っているわけですよね。

ZYUN.:もちろん。だからこそ、監督は鬼才なんです。監督は、僕が後付けで考えるようなことを先に捉えてくれるんです。だからたぶん、この曲を聴いて、単純に監督のZYUN.というイメージを映像で表現する時に、どういうものがいいのか、僕の心の奥底にあるものをどう表現しようかというのを監督なりにすごく考えてくださっているんですね。同時に聴いている人たちも100人いれば100通り、僕の曲を聴いて、想いがあったり、思い浮かべることも違うわけで。そういう中で、僕と監督で作ったものなので、僕の曲というだけでなく、監督の作品の一部にもなっています。とてつもなく通常ではないイレギュラーな作品なんです。見た方々は、「そっちの切り口なんだ!」って、これが本当なのか、真実のことなのか、空想なのか、僕の頭の中なのか、彼女の頭の中なのか、どれなんだろう?ってなると思います。答えは見た人の中にしかない。

――化学変化がすごそうですね。

ZYUN.:監督は、今作のジャケット写真で着ている衣装を見て、この内容にしたっておっしゃるんです。MVでも着ているんですけどね。なので、衣装にも注目をしてMVを見てもらえるといい感じだと思います。


――きっと、このインタビューを読んでいる人は「どんな曲なの!?」って思っていると思う。

ZYUN.:実はこの曲3回くらい歌詞を書き直しています。僕は今まで、降りて来たものをそのまま出すスタイルしかなかったんです。今回は、最初は「季節はずれのソラボリューション」という題名だったんですが、「歌詞の意味がわからない」とスタッフに言われて、ぶつかりまして。結局、「マジかよ!」って内心は思いながら書き直すことになったんです。でも、僕は去年1年間はインディーズだったので、自分で活動しつつファンの方とたくさんお話しもして、支えてくれる人たちもいて、その中で、自分の音楽観というものが変わってきたんですね。ただ降りてきたものを出すだけではなく、降りてきたものは大事にするんだけど、作家としてもアーティストとしても、世の中に対して、自分が残したいメッセージをどの切り口だったら一番伝えられるかということをやっと考えられるようになった。今までは、そうやって頭で考えるようなことをすると偽物だってどこかで思っちゃってたからブレーキをかけてたんですけど。今回は大人の意見のもと、一生懸命変えまして。なので、曲は変わってないんですけど、3回目でこのタイトルと歌詞になったんです。

――大人の意見を聞いたとしても、ZYUN.くんの言葉だよね。

ZYUN.:はい。言葉自体はなんのアドバイスもいただいてないので。最初から変わってないのは「溶けかけのチョコレートみたいな僕」のところ。ここだけは外せなかったんでしょうね。なので残っているんです。ただ、こうやって言うとすごく重たい歌に聞こえてしまうかもしれませんが、命をなくした女の子が主人公っていうことだけは、最初から一貫して変わっていないです。命を失くすとか、人じゃなくても、何か大きなものを失くして傷ついたり、そこで悲しい想いをしたことって誰しもあると思うんです。なので、世間的にとかではなくて、何か自分にとって大切なものや人を失ったことが一度でもある、それを体験したことがある人たちに向けて、僕ができる最大の曲だと思います。なのにすごいポップなんですよ。

――なんでポップになったか説明できますか?

ZYUN.:ワールドカップをめっちゃ見ていたんで、そのことで頭がいっぱいで、サビに「Oh~」とか入れちゃったんですよね。そしたらすごいポップな応援ソングみたいになっちゃって。楽曲としてはめちゃくちゃアガる曲になったと思います。僕の曲を聴いて、遠い昔の何かを思い出した人も、自分の人生を楽しくする息抜きの場所だとか、新しい挑戦に立ち向かう勇気に少しでもなれたらいいなと思う、そんな曲です。MVで聴いた時、森の中で聴く、夜の部屋でひとりで聴く、渋谷や銀座の街の中で聴く……時間帯や聴く場所、その時の肌に当たる風の感覚、風の匂いとか、聴く状況によって、いろんなものに変化できる、カメレオンみたいな楽曲なんだと思うんです。その時の心のくぼみにぴったりハマってくれるような。

◆インタビュー(2)へ
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