【インタビュー】TENDERLAMP、楽曲を自身で手がけボーカリストとして多彩な世界観を作り上げたミニアルバム「YUME UTSUTSU」
■ちょっと80年代っぽいニュアンスを取り入れながら
■TENDERLAMPとしての色を作っています
――では1stミニアルバム「YUME UTSUTSU」についてうかがっていきたいのですが、リード曲「まよなかさんぽ」はMVも公開されていますね。
AMI:はい。黒子を3人ほどご用意させていただいたんですが(笑)、あれはダンサーさんじゃないんですよ。匿名でって言われているから名前は明かせないんですが、私を応援してくれているチームの人達が快く引き受けてくれました。
――ワンカメで撮られていますよね。
AMI:そうなんです。いわゆる一発撮りなので、絶対にミスが許されなかったんですよ。それなのに練習は当日の2時間だけだし、やるのは素人の3人(笑)。私としては本当に申し訳なくて(笑)。でもすごくいい作品になりました。チームの皆さんに感謝です。
――MVはこれまでもいくつかありましたが、今回はよりポップで明るい感じが全面に出ていますね。
AMI:はい。繰り返しになりますが、自分の中でモヤモヤしたところを表現して、前を向くために曲を作っていたんですが、フタを開けてみたら割と自分はハッピーだって気付いた。だから今は、ライブのスタイルもバラエティに富んだエンターテイメント性の高いものになってきているんですね。そういう今のTENDERLAMPをMVでも表現してみようということで作ったのが、今回の「まよなかさんぽ」のMVなんです。
――その「まよなかさんぽ」もそうですが、AMIさんの作る曲は夜にまつわるものが多いですね。
AMI:それはなぜかというと、基本的に曲を書くのが夜だからという単純な理由です(笑)。帰り道に、トコトコ歩きながらその日あったことなんかを考えたり反省したり。そういった気持ちで歌詞を書き始めることが多いので、夜の曲っていうのが自分の中で溢れているんですよね。今回のミニアルバムに入れたかった曲も偶然夜の曲ばかりだったから、タイトルもそういうものにしようと。夜だけどアダルトっぽくなくて、お茶目で、おもちゃ箱みたいなタイトルって何だろうと考えた時に、「YUME UTSUTSU」という言葉がひらめきました。
――夢なのか、現実なのかっていう状態ですね。
AMI:夢か現実かはわからなくても、楽しいっていう事実は本物じゃないですか。そういうエンターテイメントを作りたくて、このタイトルにしたんです。
――アルバムの最後に、「YUME UTSUTSU」というタイトルの曲もありますね。
AMI:これは、アルバムタイトルをつけた時、それに見合うキラーチューンを作ろうと思い、夜中に作り始めて朝に完成した曲です。まさに夢うつつ状態で作った曲。すごくわちゃわちゃしていて、何でもアリで、夢なのか本当なのかっていう世界をお茶目に表現しました。レコーディングしているとどんどん楽しくなっちゃって、くわっちさんと「ここ、ラップ入れちゃおう!」とか「ここ、Dメロ作っちゃおう!」って、その場で作っていった部分も多いんです。終始、お腹を痛めながらでした(笑)。
――それは笑いすぎてってことですね(笑)。
AMI:そうです(笑)。拍子木なんかも入れましたね。ちなみに「まあるいガラス」では汽笛の音が入っているんですが、あれはサックスなんです。海辺の音とか街の喧騒とかもあったりして、音の面でも遊び心満載の5曲になっています。
――全体のサウンド感としては、いわゆる電子音だったり、ちょっとレトロ可愛いみたいな音がTENDERLAMPのカラーのひとつとして出ているかなと思います。
AMI:そうですね。ちょっと80年代っぽいニュアンスを取り入れながら、TENDERLAMPとしての色を作っています。自分がもともと好きな音楽もくわっちさんと共有できているので、明確なビジョンに向かって作れている感じがありますね。
――音楽隊や楽団のようなイントロが印象的な1曲目「BURE-NIGHT-MAGIC」も、好きなものが明確じゃないと出てこない世界観だと思いました。
AMI:「YUME UTSUTSU」というアルバムでは、まるで遊園地に行った時のようなワクワク感を表現したいというのがあったから、さぁいよいよ始まるよっていう、心が盛り上がる感じで始めたかったんです。ちなみにこのサックスとクラリネットとフルートは、バンドのメンバーでもある(通称)王子が1人で吹いて重ねてくれたんですよ。レコーディングの時は、スタジオがかなり湧いてました(笑)。
――「MoonLight」は、ちょっとシリアスな一面が出ている曲です。
AMI:この曲は、TENDERLAMPを始める前に作っていたものです。自分が壁にぶち当たってしまった時に、泣きながら作りました。それを人様の前で演奏するのはすごく勇気がいることだったんですが、TENDERLAMPとしてライブをやればやるほど、この曲はもしかしたら誰かの辛い心に寄り添って、明るい明日に繋いであげられる曲になれるかもしれないって思うようになったんです。そしたらすごく前向きな気持ちで歌えるようになって。作った時と今とでは心が全然違うけど、その全部で「MoonLight」だなって思います。
――泣きながら書いたって、よほどのことがあったんですね。
AMI:私、何で悩んでいるのか自分で気付かないことが多いんです。涙がポロポロ出てきて、「あ、何か悩んでたんだ」って知るみたいな(笑)。そうなるまで気が付かないから、周りの人からは「爆発しちゃった」みたいに言われるんですけどね。
――でもそれが曲になってきたわけで、ちゃんと自分の糧にもなっているんですね。
AMI:はい。最近はそうなる前に気付くようになったし、周りの人も気付いてくれたりしています。あとは自分で解消する方法というか、向き合う時間みたいなものを作ることも心がけているので、爆発するみたいなことは減ってきたかなと思っていて。
――今作の楽曲も、きっとたくさんの人の涙や心や笑顔に寄り添っていると思います。
AMI:そうなることを願ってます。…頑張れ、曲(笑)!
――先ほどもともと自分が好きな音楽を共有できているというお話がありましたが、そのあたりのお話も聞かせていただけますか?
AMI:幼少期からピアノを習っていて、ピアノのサウンドは今でもすごく好きですね。J-POPよりも坂本龍一さんや久石譲さんなどのインストゥルメンタルを聴いて、センチメンタルになるっていうマセた子供でした(笑)。歌詞のないメロディーを聴いて見える景色を自分も表現してみたいって思うようになったのが、作曲を始めたきっかけです。私の中では、綺麗なピアノの旋律というのはすごく大きなポイントですね。あとは小学校と中学校で吹奏楽部に入り、パーカッションをやっていたのでドラムも叩くようになりました。テーマパークに行くのも大好きだし、ミュージカルも好き。異世界に行けるような壮大なものがとても好きですね。
――AMIさんは、以前から舞台やミュージカルにも出演されていますよね。
AMI:はい。役者ということに関して最初は未知なるものでしたが、いざやってみたら、普段自分では出さないような感情まで出していかなきゃいけない。発見することも多かったし、単純にすごく楽しいなと思いました。それで、今も役者のお仕事をやらせていただいているんです。
――いったい何足の草鞋を履いているんですか(笑)。
AMI:(笑)。でも表現というものは、方法が違うだけで全部一緒だなって思うんです。だから楽しいんですよ、全部。いろんな草鞋を履かせていただける立場になって思うのは、人によっては「本当はどれがやりたいの?」って思うかもしれないけど、全部私なんだから、1つに決めるのはちょっと違うなっていうこと。最終的には、全部をごちゃ混ぜにしたものがTENDERLAMPだぞっていう風にしたいなって思っているので。
――スタッフとかお客さんとかだけじゃなく、自分の表現のバリエーションも含めてTENDERLAMPだと。
AMI:はい。ミュージカルの要素も、アーティストとしての私も、ドラマーとしての私も、全部私。そういうエンターテイメントを、TENDERLAMPっていうものにしたくてやっているんです。
――AMIさんのお話を聞いていると、人生がすごく充実している一方で、ものすごく忙しそうですよね。暇とか嫌いなんだろうなって思います(笑)。
AMI:暇は苦手です(笑)。止まったら死んじゃうみたいな感じ。そういえばこの前、怠惰な時間を過ごしてしまった日があったんですよ(笑)。ずっとグータラ。で、「うわ!グータラしてる!!」って気付いて、グータラした曲を作りました(笑)。
――グータラしてもただでは起きないと(笑)。
AMI:リラックスするのが下手なんですよね。リラックスするために、リラックス方法を見つけなきゃ!って考え始めるともうリラックスできないっていう(笑)。でもグータラも曲にできたから、その日はよく眠れました。
――(笑)。そういえばTENDERLAMPが始動した日である6月1日には渋谷のWWWでワンマンライブが行われますが、今はその準備の真っ最中でもあるそうですね。
AMI:はい。ライブに向けてのリハーサルもそうですが、今回はクラウドファンディングでTENDERLAMPの看板を作れることになったので、業者さんと何度も打ち合わせをしたりしています(笑)。私が誰かを照らせるようになりたいという思いで掲げたアーティスト名ではありますが、私自身もみんなからのあたたかい光をもらって光ることができているので、その思いを具現化したくて、みんなで光る看板を作れたらって考えたんです。今後長く使っていきたいと思っているので、ワンマンや自分の企画の時には、みんなの気持ちとともに掲げていきたいなって思っています。
――ステージのセットや演出なども、ご自身でアイデアを出されるんですか?
AMI:そうですね。口で伝えるのは難しいからiPadでお絵描きして提出するんですが、今回も「こういうステージが作りたいです」っていうことを相談しました。看板もそうですが、背景の装飾もすごくいい感じなのでワクワクしています。
――では最後になりますが、TENDERLAMPとして今後はどういう活動をしていきたいと考えていらっしゃいますか?
AMI:私の根本には、弱くなってしまった人達が前を向けるような環境づくりがしたいというのがあるんですね。弱音を吐けなくて困っている人が「この曲を聴いてどうにか発散できました」とか、そういうコミュニケーションが取れるようなアーティストになっていきたいなと思っているんです。エンターテイメントの面では、すっごく大きなステージの真ん中にドーン!とメリーゴーランドを置いて、思いっきり「イエーイ!!」っていうライブをやりたい(笑)。
――お金がかなりかかりそうですけど(笑)。
AMI:めっちゃお金かかるけど、それすらも許される人間になりたいなと思っています(笑)。そういう景色が自分の中に浮かぶ限り、やっぱり実現させてみたいですから。
取材・文●山田邦子
リリース情報
発売日:2019年5月8日(水)
品番:HCB-016
価格:¥2000(税込)
<収録曲>
1.BURE-NIGHT-MAGIC
2.まよなかさんぽ
3.まあるいガラス
4.MoonLight
5.YUME UTSUTSU
ライブ・イベント情報
2019年6月1日(土)渋谷WWW
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