【インタビュー】WOMCADOLEの船出「最高の連続を」

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アルバム『黎明プルメリア』をリリースしたWOMCADOLE。この作品で、彼らはメジャー進出を果たすこととなった。記念すべきデビュー作には、初期の代表曲である「黒い街」や、インディーズラスト作となった「ライター」、そしていまの自分たちの思いを全力で突き刺しにくる「FLAG」など、全13曲を収録。他にも、凄まじい重量感のあるサウンドを放つ「R-18」や、和気藹々とした酒場の様子が目に浮かんでくる「今夜僕と」、ドラマティックなストリングスを擁した「ミッドナイトブルー」など、その振り幅は非常に広く、実にバラエティ豊か。それでいて、ここまで築き上げてきた軸は一切揺らぐことなく、ここまでと、今と、これからをしっかりと鳴り響かせている。現時点での最高傑作を作り上げた4人に話を訊いた。

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■めっちゃ楽しい未来が待ってそうやな

──昔からメジャーというフィールドで勝負したいという気持ちはあったんですか?

樋口侑希(Vo&G):音楽を始めたときから“メジャーデビューしたい”っていうのはずっとありましたね。でも、明確なものではなくて、ぼんやり思っていた感じでしたけど。

──みなさんが結成された頃って、もうメジャーとインディーの垣根もなくなっていた時期だと思うんですが、それでもその気持ちはありました?

樋口:まあ、昔から好きなアーティストはみんなメジャーでやっていたし、俺も憧れというのがあったんで、やってみたいなという気持ちはずっと純粋にあって。今回のお話をいただいたときも純粋に嬉しかったんで、やろうと思いました。いま感じているのは、周りの人がめっちゃ増えたから、船がデカくなった感じ。乗客員が増えた感じがするんで、してよかったなと思うし、めっちゃ楽しい未来が待ってそうやなっていう感じはしてますね。

▲樋口侑希(Vo&G)

古澤徳之(G&Cho):すごいバカな話なんですけど、中学生の頃はライブハウスに出演したらメジャーデビューだと思ってたんですよ。

樋口:ああ、思ってた。

古澤:だから初ライブが終わった後に“ああ、メジャーデビューした〜”って思っていたんですけど。そういったものではなく、バンドを進めていくことで、メジャーになっていく同世代のバンドとかから、その苦しみをわりと聞いていたので、懸念じゃないけど心配な部分もあったんですよ。ただ、樋口とバンドを結成したときにみたいに、“メジャーデビューするか〜”みたいな。本当にそういうノリで決まっていったような感覚もあって。いざデビューしてみると、やっぱり(周りの人が増えて)脳みそが増えた分、自分自身をもっと音楽につぎ込める、もっと音楽を真摯にやれる状況になったんで、行ってよかったなとは思いますね。

安田吉希(Dr):僕は樋口と感覚が結構似ていて。いつかはメジャーデビューしたいなとぼんやり思ってはいたけど、自分たちができる限界まで行って、そこから初めて考えようっていう感じやったんですよ。いまは自分たちのタイミング的に、ここからまたグッと上にあがりたいっていうときで、そのときに手を挙げくれた人が信頼もできるし、自分たちのことを好いてくれたっていう。だから、ほんまにタイミングがいまやったっていう感じですかね。

黒野滉大(B):僕もやっぱりバンドやろうかなと思った頃から、メジャーデビューは絶対に通る道やと勝手に思ってました。でも、まだ全然実感が湧いてないですね。言ってもやることってそんなに変わらないじゃないですか。音源作って、リリースして、ライブしてっていう。だから、このままぼんやりと……(笑)。

安田:いや(笑)、どこかであるやろ? まあ個人の感覚やからな。

黒野:そうそう。だから、ツアーで実感が湧くのかなって思ったりもするんですけど。

▲『黎明プルメリア』初回限定盤

▲『黎明プルメリア』通常盤

──確かに根本的なことは変わらないですからね。そのメジャーデビュー作『黎明プルメリア』が本当に素晴らしかったです。バラエティ豊かではあるけど、バンドの軸足を変えずに様々な表情を見せているところがいいなと思ったんですが、作るにあたって、メジャーデビュー作ということは考えたりしました?

樋口:アルバムは毎回そうなんですけど、タイトルにちなんだ何かとか、一枚通した上で決めているイメージとかが、自分の中でめっちゃ強くて。でも、さっき言ってくれはりましたけど、特にメジャーに行くからといって、音楽に対して俺は根本的には変えたくないし、閃いたもの、自分の中で鳴ったものを忠実に表現したいんで。そういう13曲が集まった感じですね。その瞬間にできた24歳の、いまの俺っていう作品です、今回は。

──いまの自分をそのまま出すのが間違いなく一番リアルだし、気持ちも乗るでしょうし。

樋口:まあ、ずっとそれでやってきたから、変に変われないっつーか……変わってみようかなって最近ちょっと思ったんですけど。でもまだ書きたいことを書いていたいし。

──変わってみようかなと思ったこともあったんですか?

樋口:最近ですけどね。知り合いと話していたときに、そういう考えもあるんや?って、刺激を結構もらって。でも、ほんまに最近ですよ? 昨日とかなんで(笑)。

安田:その話をいま初めて聞きましたからね(笑)。

▲安田吉希(Dr)

樋口:でも、そういうのが自分の中で大きかったりするんすよ。そういうふとしたこととか、ちょっとコツンと当てられたことって、自分の中でめっちゃ痛かったりするから。それを書いていたいし、そういう13曲が集まったのが『黎明プルメリア』ですね。

──リード曲の「FLAG」は特にいまだからこそ歌えるし、強く響くものになっていますよね。



樋口:「ライター」を書いた辺りから、曲を書いている最中に、自然と目の前にいる人間の顔が浮かんできたりしたんですよ。「FLAG」を書いているときも、メンバー以外の顔も浮かんできて、それはライブハウスにいる瞬間のイメージなんですけど……真ん中に旗があるんすよ。それを俺らがみんなで握っている映像が、頭の中にバっと入ってきて、これを書こうって。

──なるほど。

樋口:なんか、痛い部分とか隠せない傷を無理やり隠す必要はないし、この真ん中にある1本の旗を<天辺>にぶっ刺してやるんだっていう。ガタガタな道でも、曲がり角を曲がった道でも、俺たちが歩いてきた道はまっすぐだったって言い合える仲間と出会えている感じがあるんですよ。そこはライブハウスに来てくれている人も含めて。だから、しっかり胸を張れる曲ができたなって感じてます。


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