【インタビュー】OHTORA、音楽シーンを疾走する覚悟をこめた先行シングル「STARGAZER」

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R&B、シティポップ、ファンク、オルタナティヴな音楽をJ-POP に落とし込む、ササクレクト所属のソロアーティスト・OHTORA。彼のニューシングル「STARGAZER」が好調だ。オフィシャルMVの再生回数のカウントペースも速く、ストリーミングサービスでは過去最多のプレイリストに入るなど、今年3月にリリースした『EMPTIE LAND』を追い風にして注目度を上げ続けている。

同曲は秋リリース予定のEPからの先行シングルで、このEPはレーベルメイトであるビートメイカー・maeshima soshiとタッグを組んで制作されることがアナウンスされている。『EMPTIE LAND』でも2曲で共作をし、9人組ミクスチャーユニットSUPER★DRAGONなどへの提供曲でもタッグを組むなど、クリエイティブな結束を急速に強めているOHTORAとmaeshima。今回のインタビューでは、maeshimaとの制作や、『EMPTIE LAND』を経て訪れた心境の変化などにスポットを当て、OHTORAの第2章のプロローグを探っていった。

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■maeshimaくんのビートは、自分の深いところを刺激してくれる

──今年3月にリリースなさった1stフルアルバム『EMPTIE LAND』は、OHTORAさんにどのような効果をもたらしましたか?

OHTORA:『EMPTIE LAND』は10曲それぞれで、その時やりたいことをふんだんに詰め込んだアルバムなんですけど、作り終えてリリースしてみて「ツレナイズム」を筆頭に大衆性があってとっつきやすい曲が多い気がしたんです。ここでコアな音楽ファンの人にもアプローチもできたらいいなと。

──それが7月にリリースした「STARGAZER」につながってくるわけですね。

OHTORA:そうです。小さい頃からずっと“有名になる”という漠然としたでかい目標があって。僕にとってのそれを具体的に考えていくと、サザンオールスターズみたいな老若男女誰もが知ってる存在になることだなと思ったんです。ただ、その場所に行くためには一部の音楽ファンに深く刺さるような、僕が好きというものを突き詰めた曲をやることも必須だと思って。「STARGAZER」にはこれから音楽業界を突っ走っていくという覚悟を込めたかったんです。

▲OHTORA/「STARGAZER」

──「STARGAZER」のビートを制作したのは、レーベルメイトであり『EMPTIE LAND』でも2曲参加しているmaeshima soshiさん。SUPER☆DRAGONや電音部などに楽曲提供するクリエイター仲間でもありますよね。

OHTORA:秋にEPをリリースすることが決まって、レーベルの人たちとの話し合いでmaeshimaくんとがっつり制作することになりました。maeshimaくんはヒップホップ畑の人なんですけど、R&Bもシティポップもどんなビートも作れちゃうんですよね。「STARGAZER」はmaeshimaくんの家に2~3時間くらいこもってパっと作って。面と向かって“こういう曲が作りたい”や“こういった要素も入れたい”など自分の希望を話しながら曲を作るのは今回が初めてでした。

──その結果、「STARGAZER」は前衛的な楽曲になったと。

OHTORA:僕がリスペクトするチャイルディッシュ・ガンビーノの感じを取り入れた曲を作りたかったんです。“ダークな南国”や“エスニックな楽器の音を入れてほしい”といったざっくりとしたイメージをmaeshimaくんに伝えて、彼がその場で作ってくれたんですけど、理想をはるかに上回るビートがみるみるうちに出来上がっていって……。感動しましたね。そこに僕がいつもどおり、デタラメ英語でメロディを作って歌って、その韻や母音と合う歌詞を当てはめていきました。

──お話を伺っている感じですと、OHTORAさんもmaeshimaさんも、本能的な部分がお強いのでしょうね。

OHTORA:そうかもしれないですね。maeshimaくんは曲作りの速さが僕と似ているんです。僕は感覚とか、ファーストインプレッションで作ったものが結果的にいちばんいいものになることがほとんどだから、彼もそうなんじゃないかなと思っています。

──OHTORAさんはラブソングが多いですが、maeshimaさんがビートを制作した「BYAKUYA」と「STARGAZER」は生き様にフォーカスされていますよね。それは今おっしゃっていただいた本能的なところが影響しているのかなと思いました。

OHTORA:それは思いますね。僕は気付いたら恋愛ものの歌詞を書く癖があって(笑)。でもmaeshimaくんのビートは、自分の深いところを刺激してくれるというか。僕は普段から歌詞を書きためているんですけど、そこに書いてあるものは人間の闇の部分というか、自分の思考が多いんです。けどそれを曲に使うとなると、ビートを選ぶんですよね。「STARGAZER」は尖ったビートだから、自分の(アーティストとしての)意気込みを乗せました。唯一無二で、僕にとっての教祖のような存在のチャイルディッシュ・ガンビーノに、ちょっとでもいいから近付きたいという気持ちを全部リリックにぶつけて。

──絶対的な存在を目の前にしたときに生じる、同じアーティストとしての葛藤や反骨精神があらわになっている。先ほどおっしゃっていただいた“音楽業界を突っ走っていくという覚悟”ということですね。

OHTORA:そうですね。でも「ツレナイズム」のようなチルポップとは真逆の楽曲なので、ちょっとリリースには不安があったんです。でも、いざリリースしてみると“かっこいい”という反応をけっこうもらえて安心しました。

──とはいえ、ご自分でビートを作った『EMPTIE LAND』の1曲目「ドラウニングヒル」も、チルポップとは真逆なかなり攻めた楽曲でしたよ(笑)。

OHTORA:あははは、粗削りってだけ、とも言えますけどね(笑)。

──いやいや。OHTORA=チルポップのイメージを壊したい気持ちがおありだったのでしょうか?

OHTORA:それが一番でかかったかもしれない。チルポップが嫌だとかではなくて、ひとつのジャンルにくくられたくないんです。今後も自分の好きなR&B やファンクも突き詰めていくけど、幅広く自由に楽曲制作をやっていきたいんですよね。自分でビートを作ったりもしますけど、そのときに自分のことを奮い立たせられるようなメロディラインは作りづらくて。でもmaeshimaくんのビートにはいつも奮い立たせられて、自分のなかからいいメロディが出てくるんですよね。

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