Red Hot Chili Peppers、Moby、ビール無しでもフェスティバルで熱演【その2】

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【その1】より続き

 何はともあれ、ステージについては文句をつけるものはいなかった。第2ステージのメインアクトである地元の人気バンド、Clarksは、観客にビールのことを忘れさせ、再び音楽に熱中させてくれた。そしてフェスティバル気分を取り戻した観客は、Red Hot Chili Peppersのヒット曲満載のステージへと向かった。

 この前の早い時間に、FuelのBrett Scallionsが、
「怒涛のモッシュを見せろ!てめぇら馬鹿野郎!分かったか?」と叫び、観客を煽っていたが、午後2時という時間では、それに答えた観客の数はまだまだ少なかった。しかし、午後3時に、Mobyがステージに上がる頃には、「Porcelain」や「Natural Blues」「Why Does My Heart Feel So Bad?」のような静かな雰囲気のある曲でさえ、Mobyの限りないパワーに呼応するように、あちこちでボディサーフィンが起こっていた。
 1人のモッシャーがステージにたどり着き、ファンクアレンジの「Bodyrock」にあわせてブレイクダンスを始めたところを警備員がステージから引き摺り下ろすと、Mobyは演奏を止めその警備員に向かい、自分達の音楽を楽しんで、それを表現している奴から守ってもらう必要なんかないと怒鳴りつけた。そしてMobyは、そのファンをステージ上に呼び戻すと、再び演奏を始めた。
 Mobyはまた、“時代錯誤の隠れナチス共和党員”や女性蔑視のロックを、こういったモノが女性モッシャーが乱暴に扱われたり、胸を見せろと迫られたりするのがあたりまえだと思うようにしてしまっていると言い放った。このコメントは、Rolling Rockの宣伝担当、Jim Gaffiganがステージ上から、
「おっぱい見せてくれてる女性に声援を送れ!ラトロブはこれでなくっちゃ」と言ったことに対して発せられたものである。

 モヒカンにしたばかりのChili Peppersも、Mobyとほぼ同意見のようだ。ハリウッドの生活を歌った「Californication」の演奏中、ステージ後方のスクリーンには、日本風アニメの女性キャラクターのはちきれんばかりの身体や“強欲”“肉欲”“コスチューム”“服従”等の言葉が映し出された。Chili Peppersは、猛烈な勢いでファンクな「Suck My Kiss」「Give It Away」やバラードの「Under the Bridge」「Otherside」を演奏し、アンコールではギタリストのJohn FruscianteがヴォーカルをとってElton Johnの「Your Song」、「Soul to Squeeze」、そして昨年のWoodstockで最後に演奏し、今や定番となったJimi Hendrixの「Fire」でステージを終えた。
 終了の間際、ドラマーのChad Smithがこの日の感想を無言で述べた。緑色のビール瓶をビデオカメラに向け、嬉しそうにラベルを指差した。その指の先にあった文字は…“ハイネケン”

記:Lynne Margolis、ラトロブ、ペンシルベニア州、Darren Davis、ニューヨーク
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