サンタナ、ディレクターが明かす紙ジャケ化までの苦難の道程

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★完璧を目指したデザインと音の復刻 1973年、日本の熱き若者達の血と汗と涙、そして努力が結晶した。日本の独自企画、日本スタッフによるレコーディング、日本人によるパッケージ・デザイン(横尾忠則氏)と、すべて日本人の手で作り上げた、史上最高のライヴ・イン・ジャパンがこの『ロータスの伝説』である。絶頂期のサンタナのライヴの凄さを伝えてくれるこのライヴ盤は、1973年7月3日と7月4日、大阪厚生年金会館でのライヴの模様を収録し、“22面ジャケット”という前代未聞の特殊パッケージでリリースされた。 そして2006年、CDの紙ジャケ化として、当時の日本のスタッフが再集結し、新たに紙ジャケにて甦った。 横尾忠則氏をサポートし、22面ジャケットの企画者の一人である、当時CBSソニー・デザインルームだったデザイナー田島照久氏によるデザイン復刻。70年代、シカゴ、ボブ・ディラン、チープ・トリックなど様々なライヴ・イン・ジャパンの録音制作総指揮していた当時CBSソニー信濃町スタジオの伝説的エンジニアの鈴木智雄氏による新たなるミックスで、音質が遥かに向上している。そして当時CBSソニー洋楽サンタナ担当で、今作の制作企画者である磯田秀人氏によるライナーノーツと、その当時のスタッフの手によりオリジナルLP通りの3枚組で完全復活することができたのだ。 1991年の最初のCD化の時に一部の曲順が変更されていたのを元に戻し、カットされていたオープニングのMEDITATION(瞑想)も復活させるために、静岡の倉庫で発見された当時の4chオリジナルマスターテープを当時のエンジニアの鈴木智雄氏がCD用のフォーマット2chへの再ミックスを行い、その後DSDマスタリングを行なっている。
 「瞑想」の部分ではシーンとした中、観客の咳払いやざわめきがはっきり聞こえ、まさに、会場にいるかのような“空間”を感じられる。一番驚いたのはドラム・ソロ。「京都」とクレジットされている曲だが、ドラムソロで10分!? 普通なら敬遠してしまうかもしれないが、そのドラム・ソロを聴いて欲しい。スネア、タム、ハイハットなど一つ一つがクリアな音質でぐるぐる回っているような。30年の月日を経て甦った、アナログ感覚溢れるサウンド。これが今回の復刻の最大のポイントの一つである。

 

★30数年ぶりに発見された幻のドキュメンタリー・フィルム 実際のCDとは関係ないが、実は非常に驚くシロモノが発見された。元々は91年にCD化された際の『ロータスの伝説』の磯田氏のライナーに、そのときの日本公演を追っかけたドキュメンタリー・フィルムがあったということがキッカケだった。今まではソニーには「ない」と言われていたシロモノだったのだが、いろいろ裏をとって調べてみたところ、静岡のマスター倉庫のリストの中にどうも気になるものがあった。そこには他のものは全てタイトルや内容が示されているのに、「サンタナ・プロモーション用16mm」というだけのコメントが書いてあった。取り寄せてみたら、缶に厳重に保管されたものが2巻。残念ながら音声部分は入っていなかったが、これがドンピシャ! なんと、まず出てきたのがカルロス・サンタナがホテルの一室で写真に向かって拝んでいる場面、その後リハ映像や楽屋でのオフショット映像など、1973年サンタナの来日公演の模様をドキュメンタリーで追ったものであった。元々は井出情児氏がずっと張り付いて撮影していたもので、本人にも確認したところ、間違いないとのこと。30数年間眠っていた幻のフィルムが、今回の紙ジャケ化をきっかけとして、時空を超えて見つかったことは、何か運命的なものも感じる。音声部分がまだ発見できていないので、今すぐどうのこうのというものではないが、いつの日か何らかの形で世に出したいと強く願う次第である。 今回の紙ジャケを期にこれまでサンタナを知らなかった若いロック・ファンへも一人でも多く何とか伝えていければと思っています。
 by 白木哲也(ソニー)

 

  
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