【BARKS編集部レビュー】驚異のサウンド、カスタムIEMの超新星Livezoner41 LZ 4

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ハイブリッド、多ドライバーから、アコースティック・フィルターの新設計まで、イヤホンの進化はまだまだとどまるところを知らないようで、年々素晴らしいサウンドを繰り出す新商品が登場してくる。年を追うごとにサウンドの品質自体も上がっているのはカスタムIEMの世界でも同様で、マイフェイバリットNo.1と思っていたモデルのサウンドを、さらっと凌駕する新モデルがさくっと登場したりするから気が抜けない。

◆Livezoner41 LZ 4画像

▲Livezoner41 LZ 4。目に飛び込むのは斬新なフェイスプレートのデザインだが、そのサウンドも見た目以上に魅力的でクールなサウンドだ。

▲1723 AcuPassドライバー。ご覧のようなローパスフィルターが組み込まれており、そのサウンドははじけるように若々しく明るいトーンを持つ。

▲フェイスプレートはクロックワークと名付けられたデザイン。機械式時計の小さなパーツをフェイスプレート形状に合わせて配置するという非常に手の込んだもので、まさしく世界にひとつしか存在しない個性が楽しめる。

▲付属品は、オリジナルのハードケース、ソフトケースにメンテ用のナプキンとツールが付属する。

世代交代も激化する中で、是非とも紹介したかった要注目モデルのひとつが、このLivezoner41のLZ 4というモデルである。特筆すべきポイントはいくつもある。まず、1723 AcuPassという最新のドライバーを含むマルチドライバー構造が世界を見渡しても最新の設計であろう点、そして何よりそのサウンドが、これまでの数多のカスタムIEMでは味わえなかった低域のパンチ力とクリスピーな高域再生の伸びをあっさりと両立させているところ。その上で素晴らしい装着感を保持し、独創的で美的センスあふれるフェイスプレート・デザインをも有している。

Livezoner41は、2005年に立ち上がったイタリアのカスタムIEMメーカーで、オーナーのオリバー・マリーノ氏が設計、デザインを担っているブランドである。170ユーロの1ドライバーLZ 1から920ユーロの3ウェイ6ドライバーのフラッグシップLZ 12まで幅広いラインナップを有しているが、今回紹介するLZ 4はその中でも最も新しいモデルとなるものだ。

LZ 4は3ウェイ4ドライバーという構造で、2ウェイの1723 AcuPassというドライバーに、低域用ドライバー33AJ007i/9を組み合わせた設計となっている。ラインナップの中ではミドルレンジに位置するモデルで、500ユーロと値頃感の高い価格だが、このサウンドはともすると世のハイエンドモデルがかすんでしまうほどに素晴らしい。

1723 AcuPassというドライバーは、Sonion社のツイーターとウーハーの2つのBAを積み重ねてひとつにまとめた2階建てドライバーなのだけど、最大の特徴は低域のサウンド処理にある。低域ドライバーから出力されるサウンドをAcuPassという極細のチューブを通すことでハイをカットするローパスフィルター機能を有しているのだ。

この2階建て1723 AcuPassをそのまま1発搭載しているモデルは、カスタムIEMでも汎用のユニバーサル・イヤホンでも世に登場しており、いずれも素晴らしいサウンドを聞かせてくれる。これらはすでに日本でも発売されているが、LZ 4のように、さらに他ドライバと組み合わされたモデルは、現時点では極めて稀有な状況にある。

1723 AcuPass一発でも、引き締まった低域から伸びの良いクリアな高域までを絶品のバランスでノリ良く楽しめるのだが、LZ 4では、さらに低域用のドライバーが追加されている。どのようなネットワークが組まれているのかは全く分からないが、LZ 4のサウンドは、1723 AcuPass一発のサウンドからさらにもう一歩先へ踏み込んだ絶品の音世界を覗かせる。

まず、高域の抜けは世界随一のレベルだ。素晴らしい清涼感を持つUnique MelodyのMageの高域をそのまま再現しながら、さらに解像度を上げた感じであろうか。煌びやかさと淀みないクリアさはこれ以上望むべくもないだろう。

そしてその上で、ぶっとく安定した低域がしっかりと音楽のベースを支えてくれる。非常にタイトで見通しがいい中低域で、粘り気もある。よくある2ドライバーの乾いたドンシャリではなく、跳ねるように弾む低域で、非常にダンサブルに音楽を表現してくれる。丁寧にバランスがとられたドンシャリ…というのも変な表現だが、低域のインパクトと高域の派手さをしっかり主張させながら、ボーカル域の主張を全面に推しだすワイルドなフラット・バランスなのだ。

音導管チューブの太さも低域用と中高域用で使い分けられており、デリケートなサウンドチューニングの様子がうかがえる。なおLivezoner41の場合、カナル部分は比較的太く短めなのが特徴だ。個人的にはきっちりとした遮音とみっちりと耳にフィットしている感覚が好きなので、外耳道の第2カーブに届くような長いカナルが好みなのだけど、Livezoner41の場合はコンチャ部の形状が優れているのか密着感に不安がなく、しっかりと密閉されているので、短くとも不満を感じることが全くない。

なお、ファイスプレートにはクロックワークという名のフィニッシュを施してもらった。その名の通り素材に使われているのは機械式時計の内部パーツで、小さなギヤやクランクなどがひとつひとつバランスよく配置して作られ、オンリーワンのフィニッシュが出来上がる。他にもシリコンカナル、アートワーク、ラッシュオーダーなど追加注文によって価格は変動するが、バリエーションも豊富に用意され満足度高いオーダーが可能だ。

カスタムIEM界でも激戦区であろう4ドライバーモデルの中で、LZ 4のサウンドは頭ひとつ突き抜けている。日本代理店が存在するわけではないので、メールにて連絡しオーダーする手間はあるものの、労を取ってでも手にする価値のある、今最も注目すべきモデルのひとつだと明言できる。是非ご注目を。

text by BARKS編集長 烏丸

●Livezoner41 LZ 4
価格:日本正規販売価格\102,600(2014年12月13日 23:59まで)
周波数特性:20~20,000 Hz
インピーダンス:30オーム@1kHzの
効率:122デシベルSPL@1kHz


◆Livezoner41 LZ 4ページ
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■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
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