ホリエアツシが語る、傑作アルバム『Dear Deadman』 -INTERVIEW-

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──今後のストレイテナーを考えるうえでも、非常に重要な作品『Dear Deadman』がリリースされました。個人的にはかなりストレートな作品に仕上がったと思うんですが。 ホリエアツシ(以下、ホリエ):(前作の)『TITLE』は、本当にやり遂げた感のある作品だったんです。 “誰がなんと言おうとも、このアルバムは傑作だ!”って、ぼくは思ってたし(笑)。あの作品では、1曲に対するアプローチも色んな角度からやったから、曲の中の要素も、そこに込めた想いもすごく強くて。でも、(ストレイテナーに)何の思い入れもない人からすれば、普通に過ぎて行っちゃうのかなって気もしたんですよね。ガッツリ入り込まないとないと、見えてこない部分が多いというか。 ──では、今回のアルバムは、その反動として……。 ホリエ:うん。今回は肩の力もすごい抜けてて。衝動のままに、シンプルに、ナチュラルに作れたという感覚があるんです。詞も自然に生まれてきたし。あまり入り込まずにパッと聴いても、自然と“絵”が浮かんだりとかするんじゃないかな。 ──アルバムの手応えという部分ではどうでしたか? ホリエ:そうですね。ぼくが作った手応えは『TITLE』の方があったけど、今回のは聴いた人の反応ですごく手応えを感じたというか。このアルバムはぼくが好きに作った自然体のアルバムなんで、これが評価されるかどうかは人に任せます、みたいな部分があって。そういう意味では、今回のアルバムもものすごく手応えはありますよ。 ──今回のアルバムって、全10曲/トータル・タイム36分59秒とかなりコンパクトな作品ですよね。でも、全然短い感じはしなくて。この10曲に到るまでに、表に出ない曲がすごくたくさんあるんだろうなって。 ホリエ:そう思いました? ないんです、実は(笑)。アルバム用に書いた曲は1曲も捨ててません。一番最後にできたのが「Dive」っていう曲。この曲は、やるだけやった、みたいな曲で(笑)。でも、アルバムはシンプルにしたかったから、(シングルの)「Melodic Storm」にカップリングで入れました。 ──曲順も割と自然とできた感じなんですか? ホリエ:ぼく、曲順考えるのは好きなんですよ。レコーディングやってるときに、曲順を色々考えてるんです。1曲目と最後の曲はすんなり決まったんですが、あとは流れというか。歌詞の世界とかも、自然に景色が変わっていくような感じで。でも、この作業って楽しいんですよ(笑)。だから、悩んだっていうより、楽しんだって感じかな。 ──(笑)音楽好きが、友達に自分選曲をテープを作ってあげるような。 ホリエ:あー、そんな感覚! DJやるときとかの感覚に近いですね。 ──DJとかもされるんですか? ホリエ:ロックの、曲をかけるだけのやつですけど。友達のDJがやってるイベントに遊びに行って、時間もらって。なんでもかけますよ! マニアックなものから、ぼくらの世代なら誰でも知っているような曲まで。 ──ちなみに、このアルバム制作時に、ホリエさんはどんな音楽を聴いていたんですか? ホリエ:(しばし考えてから)……WHYっていう人かな。元々ラッパーで前作ぐらいからロックをやり始めて、段々ヒップホップからロックに移行していった人でね。最初からロックやってたワケじゃないから、(ロックの)解釈がすごく面白くて。生と打ち込みのバランスだったり、ギターや鍵盤の鳴り方とか、アレンジの仕方とかが変わってるというか。たぶん、いろんな音楽を聴いて、色々吸収してる人なんだろうなぁって。Anticon(アメリカのアンダーグラウンド・ヒップホップを代表するレーベルの1つ)周辺のバンドなんですけど、すごく面白い。

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