ULTRA BRAiN 、『NEO PUNK』特集 INTERVIEW編

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──待っていても出てこないなら作っちゃおうという。 TYUNK BRAiN:カマしてやろうとか、突き抜けてやろうとか、どこまでも行ってやるぜっていう若者が……「若者」とか言うとおっさんくさくて嫌だけど、いないんですよね。僕から見てると。そこにジレンマを感じていて、「じゃあオレがカマしてやるからついて来いよ!」って言ってやるしかねぇかなと思って。たとえばオリンピックで、全然メダルを取れなかったじゃないですか。それで、「いい滑りができたから良かった」とか言って、全然意味がわからない。勝ちにいくべきなんですよね、スポーツは特に。まぁ音楽に勝ち負けはないけど、もっとアグレッシヴになってほしいなと思いますね。そういう姿勢が音に表れるし、スキーだったら滑りに表れるし。全体的に日本の人たちの、特に若い世代のムードが、そんなにアグレッシヴな感じがしないんですよね。そこにちょっと触発を、僕なりにカマしてやろうと思って。 ――まさにそういう音だと思います。 TYUNK BRAiN:で、「この野郎!」とか思ってもらえたら最高。「なんかこいつ意味わかんねぇ音楽やってんな、NEO PUNKとか言ってるし」って(笑)。「テクノをナメてんだかなんだかわかんない音で」とか(笑)。何でもいいんですよ。そういうところで僕は触発してるつもり。ハウス・ミュージックも作れるし、バンド・サウンドだってできますよ、はっきり言って。だけど、なんでこういう形かというと、僕なりの、そこを揺さぶる表現なんです。 ――1曲目「DRILL MAN」だって、バンドでやれば絶対カッコいいパンクにもなるけど、打ち込みをガンガン使うことで新しいサウンドになってるわけだし。 TYUNK BRAiN:「DRILL MAN」というのはね、穴をあけてやりたいということ。聴いた人に「オレもやろう」っていう気にさせたい。社会的なムードとして。やっぱり僕も、クラッシュを聴いてセックス・ピストルズを聴いて、YMOもそうだったけど、すげぇ何か言ってる感じがしたんですね。YMOだって、すげぇハイセンスなところで何か言っていて、その感じがオレはすごく好きだったから。何にも媚びてなくて、自分らの世界の中での確かなものを、社会に向けて発していく。そういう表現方法が大好きなんですね。やっぱり音楽って人が奏でるものだから、その人が本気で言いたい人だったら、絶対それを音に乗せて言ってると思うんですね。そこは妥協なくやると思うんで。もっと言いたいことがいっぱいあるはずなのになって思うんですよ。バンドだとかロックだとか言ってるんだから、もっとみんな言えばいいのに。 ――ULTRA BRAiNも、歌詞として歌われるメッセージは少ないじゃないですか。ほとんどインスト・ミュージックと言ってもいいけど、「ヘイ、ヘイ、ホー!」っていうかけ声だけでもちゃんとパワーが伝わるから。 TYUNK BRAiN:今回、言葉数を少なくしたのはそういうことで。言いたいことを、こうやって言えばいいじゃんって。難しいことを言葉にしなくても、声だけでもいい。音楽の持ってるパワーの原点が、僕ももう一回わかったし、余計なことを言わなくても「これでいいじゃん」ってなったんですね、みんなで。僕はそういうところにダンス・ミュージックを感じるんですね。たとえば僕がクラブに行って、いろんな音にまみれて踊ってるとするでしょ。踊りながら、今自分が悩んでることとか、すごく解消してることがある。そこには言葉なんかないし、でもクラブから出るとスッキリしてる。僕は、そういうところに音楽のパワーを感じるんですね。 ――言葉より音楽それ自体で通じるものがある。  TYUNK BRAiN:「ああだよね、こうだよね」と言ってる音楽は、あんまりタイプじゃないですね。そんなこと言いたいんだったら弁論大会をやればいい(笑)。そういう音楽が多いから。みんなもっと、楽器を持って“ジャキーン!”ってカマせばいいんですよ。だから、さっき「音楽に勝ち負けはない」って言ったけど、僕の中ではある意味「勝ったな」という感じがすでにある。それは「自分に勝ったな」ということで、それ以上のものになってるから。ここから先は誰とも比べなくていいし、自分から出てくるものを信じて、もっと人を楽しませるように努力していけばいいんだなっていうところまで来てますね。 取材・文●宮本英夫

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