ブロック・パーティー、待望の2ndアルバム 特集 INTERVIEW編

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――そういうアルバムを目指したからこそ、ロックとダンス両方に精通しているジャックナイフ・リー(注:U2やスノウ・パトロールの近作を手掛けた)をプロデューサーに選んだんですか?

ケリー:その通り。僕たちはテクノロジーに特に詳しいわけじゃないから、不安もあった。でも彼は“君たち4人が一緒にプレイしている限り、何をしようと君たち独特の音になるから心配するな”と言って支えてくれたんだよ。それに、サウンドを構築するノイズやサンプルも、彼に頼らずにほとんど自分たちで集めたんだ。

――そしてケリーが担当した歌詞も前作よりずっとパーソナルでメッセージが強まり、今の英国社会の問題点を題材にしていますね。

ケリー:やっぱり前作がヒットして評価されたことでリリシストとしてもヴォーカリストとしても自信がついて、もっと率直に自分にとってリアルなことを語るべきだと思ったのさ。特に、'05年にロンドンで起きた連続爆弾テロ事件を境に社会の空気が一変して、脅威を感じているんだ。イスラム教徒とか異質なものを社会から排除しようとしていて、人種差別的な主張がまかり通るようになってしまったんじゃないかな。

――なるほど。

ケリー:英国は多様な民族の共存を理想にしているように見えるけど、現実にはうまく行っていない。そもそも9・11事件以降みんな、言い表せない恐怖や疑念を抱きながら暮らしてる。それって僕たちの世代にとって大きな問題なのに、ほかのバンドが積極的に取り上げないことが不思議でしょうがないよ。でもって、最近の若者は政治に無関心だし、重要なことから目を逸らしてるうちに、世界はおかしな方向に行ってしまう……と警告してるのさ。

――でもブロック・パーティーには様々な人種のメンバーがいるから(注:ケリーの両親はナイジェリアからの移民、マットは中国系の英国人)、その手の問題にはほかの人たちよりも敏感なのでは?

ケリー:それは間違いないね。僕のように移民の子供として育つと差別にはセンシティヴに反応するし、自分の考え方や価値観が多数派とは違うってことを常に意識してる。で、そういう少数派の考え方や価値観の居場所が、どんどんなくなってるような気がするな。

マット:だから、世界にどんな風に関与して、どんなメッセージを発信するかって面でも、僕たちはほかのバンドとは違うんだよ!

取材・文●新谷洋子

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