The Ataris、アルバム『ウェルカム・ザ・ナイト』インタビュー

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全米でミリオン・セールスを記録したアルバム『So Long, Astoria』で、メロディック・パンクの第一人者となりながらも、メンバーの脱退などで活動休止を余儀なくされていたThe Ataris。フロントマンであるクリストファー・ロゥが休息をとる中、ギタリストのジョン・コルーラは新鮮で冒険心に満ちた曲が入ったデモCDをロウに渡したことから、このアルバム『ウェルカム・ザ・ナイト』は始まった。



「僕はこのバンドをそれまでの形のまま続けて行く気にはなれなかった。自分の気持ちを裏切らないで、その時に僕がいちばんインスピレーションを受けていたものをそのままレコーディングしたんだ」と、コルーラは言う。 「あの曲達を聴いた時すぐに“アイツ、やったな”って思ったよ。彼は僕と同じ方向を向いていたんだ」ロウは答える。 「それが僕のインスピレーションとなって僕も再び曲を書く情熱がわいて来た。ある意味バトルみたいなものだったね。“よし、お前が3曲書いて来たんなら次はオレが6曲持ってくるから”みたいな。今までにこのバンドでは経験したことのなかった世界観が明確な新曲が続々と生まれた」



そのセッションの結果『ウェルカム・ザ・ナイト』は今までのThe Atarisにはなかった冒険心とインスピレーションに溢れたアルバムとなった。感情の爆発に身を任せるのではなく、バンドはテクスチャーやダイナミクス、複雑なメロディを追求し、魔法のように彼らの幅広いエモーションを楽曲の中に表現している。しかし彼らのピュアな部分はなんら変わることはない。



「僕達は本当にハートからくる真摯なもの、そして冒険心に溢れたものを書きたいと思ったんだ。これが同じソングライター達とは思えない程の転身だよね。」と、ロウは説明する。


 

そして『ウェルカム・ザ・ナイト』は、直接的な視点で核心に切り込んで行っている。「ホアットエヴァー・ライズ・ウィル・ヘルプ・ユー・レスト」「ファー・フロム・ザ・ラスト、ラスト・コール」などは痛みの告白だ。シンガーである彼の不誠実な愛情という苦悩が彼の意識や良心に対立している。これらの歌詞を書いている時、ロウは自分の孤独を感じ、自分を探せば探す程何も見えなくなり自分を見失ったような気がしたと言う。



「僕は不誠実さに何重にも包まれていたんだ。それが僕をオスカー・ワイルドの小説「ドリアン・グレイの肖像」の登場人物のような気分にさせていたんだ。僕は何かを成し遂げたいともがいてるが、どこにも行けないと思い込んでいるとある日気付いたんだよ。それから自分自身の内面に目を向けるようになった。だからこのアルバムを書くのは痛みを伴う行為であり、詳細な肉迫になってるんだ。僕自身の存在意義を問うためにね」と、ロウは言う。



『ウェルカム・ザ・ナイト』は、ロウが子供の頃から繰り返し見ている夢を基軸に描かれている。その中で彼の母と祖母は小さな教会の中で座っていて、窓からは日差しが差し込んでいる。そして空が黒く曇った所で彼は目が覚めるのだ。



「アレン・ギンズバーグは、人生を2つの暗闇に続くドアからドアの間の廊下に見立てた詩を書いている。その詩と、僕の見る夢、そして僕の苦悩を組み合わせてみたんだ。」
ロウは言う。
「僕は希望、そして宗教に対する疑問と自己の存在理由を探し出すようなアルバムにしたかったんだ。例えば死後の世界というものが存在するならば僕達は若くして死を恐れる必要があるんだろうか。どうしてその存在を確かめる事に恐怖を感じるんだろうか?」


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