増田勇一のライヴ日記 2007年1月30日(水)メイレイ@東京・恵比寿リキッドルーム

ポスト
「永遠のハーモニー」という、超ベタだけども的確な邦題が冠された本邦デビュー・シングルが昨年夏からラジオを中心に人気を集めてきたカリフォルニア州オレンジカウンティ出身の4人組、メイレイの東京公演を観た。

まずステージに登場したのは、急遽フロント・アクトとして出演することになったという新進シンガー・ソングライター、マット・ホワイト。通常はバンドを伴ってのライヴを行なっているようだが、今回は単身来日ということで「ギター、ときどきピアノ」の弾き語り。彼自身の言葉によれば、アメリカで昨年10月にリリースされた彼のデビュー・アルバムは、この3月には日本でも発売される予定だとか。控えめなオーディエンスを騒がせようと「ニューヨークからこっちに来るのに14時間もかかったんだぜ。だから、もっと!」などとおどけてみせるなど、せつない歌声に加えて茶目っ気も充分。ちょっとした収穫だった。

そして肝心のメイレイのライヴ・パフォーマンスだが、正直、想定していた以上の楽しさだった。ぶっちゃけ、日本盤で出ているのはメジャー・デビュー作の『デヴィルズ&エンジェルズ』1枚だけだし、国内未発売の『EVERYDAY BEHAVIOR』を入手している熱心なファンがそれなりの割合でいたとしても、ヘッドライナーに相応しい空気感でワン・ステージをやりきることには無理があるのではないかと思っていた。しかも彼らは各々のソロ・パートをじっくり聴かせるようなバンドではないし、視覚的演出を重んじるというわけでもない。が、シンプルに結論を言うとすれば、やっぱり「良い曲は最大の武器である」ということだったりもする。メイレイには圧倒的なカリズマも、きらびやかなロックスターも存在しない。しかし楽曲に、そしてクリス・クロンの歌声そのものに“華”があるのだ。

さらに言えば、“ノリ”というものの良い意味でのコワさをこの夜のライヴから感じさせられたのも事実だ。最初にメンバーたちがステージ上に現れたときには、率直なところ「なんだか華に欠けるなあ」と感じたものだが、演奏曲を重ね、場内の温度が上昇していくなかで、ことにクリスの表情は時間経過と比例しながら、どんどん見る側を惹きつけるものへと変わっていった。彼らは本日も同じリキッドルームでライヴを行なうが、おそらく今夜は最初から自信満々の笑顔を振りまいてくれるに違いない。

演奏曲目などについては敢えて触れずにおくが、ちょっとマニアックなネタを明かしておくと、「イミテイション」を演奏する前の“つなぎ”の部分にあたるジャム・パートで彼らが演奏していたのは、ボストンの「フォープレイ」(1976年発表の『幻想飛行』に収録)の一節。さらに「シーズ・ゴナ・ファインド・ミー・ヒア」ではイーグルスの「ならず者」のフレーズをクロージングにあしらってみせるなど、おやじゴコロをくすぐる演出も。そこで実際にくすぐられている僕などはまさに連中の思うツボだが、そんな小技も含めて楽しさいっぱいのステージだった。

最後にひとつだけ忠告しておきたい。今夜、当日券狙いでリキッドルームに駆けつけようとしている人は、早めの現地到着を心掛けたほうが良いのではないかと思う。昨夜のライヴの楽しさを踏まえて考えると、リピーター発生率が高いのではないかと想像できるからだ。実際、僕自身も時間さえあれば今夜もまた観てみたいと思えるほどなのだから。

増田勇一

[問]ウドー音楽事務所
http://www.udo.co.jp/
この記事をポスト

この記事の関連情報